NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。
美の壺「きらめきの シャンデリア」File 509
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーションは女優の 木村多江(きむら たえ)さんです。
最新エピソード 美の壺 File 627「組子」 もどうぞ併せてご覧下さい。
BSプレミアム(2023年11月30日まで。2023年12月1日から NHK BS(BS101チャンネル) へ移動)
初回放送:2020年8月14日(金)19:30~20:00
再放送 :2020年8月22日(土)06:45〜
BS4K(2023年12月1日から BSプレミアム4K へ名称変更)
再放送 :2020年8月16日(日)06:45〜、2020年8月17日(月)16:00〜
2020年8月21日(金)09:00〜
Eテレ
再放送 :2022年7月31日(日)23:00〜
でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。 U-NEXT虎に翼・
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美の壺 きらめきの シャンデリア File 509 内容
▽空間に華やぎを与えるシャンデリア。
▽豪華絢爛!明治の社交界を今に伝える日本最高峰のシャンデリアが登場
▽気鋭のガラス作家が生み出す、光と影のアート。
▽光のデザイナー石井幹子さんが追求したきらめき。クリスタルガラスから溢れる七色の光にうっとり!
▽時代の趣を残すアンティーク。様々な装飾に込められた秘密とは?
▽和紙を使った癒しのシャンデリアも登場!進化を続けるシャンデリアの魅力に迫る!
プロローグ
リビングルームでワイン片手に寛ぐ草刈さん。翌日に友人をディナーにお招きする約束をしています。すると突然リビングルームのシャンデリアがしゃべりだし「綺麗にしてくれない?」とねだられます。
美の壺 一、光が咲かせる、魅惑のアート
ひとつめのツボは 光が咲かせる、魅惑のアート 。
人が集う場に華やぎをもたらすシャンデリア。圧倒的な存在感、時代ごとに税が尽くされてきました。
石井幹子さん / 照明デザイナー / サントリーホールのシャンデリア【東京都 赤坂】
紹介されていたのは 東京・赤坂 のクラシック専用ホール サントリーホール。音響の良さで知られ世界のトップアーティストやオーケストラの演奏会が開催される日本有数のホールです。
ロビーを入っていくと目を釘付けにするのが豪華な シャンデリア。照明デザイナー 石井幹子(いしい もとこ)さんが光のシンフォニーをテーマに設計。お客様を迎える「ウェルカムライト」として空間を照らします。キラキラと輝くのは6,630個のクリスタルガラス。
透明なガラスから魔法のように放たれる七色の光。ガラスの細かいカッティングが光を屈折させる現象。クリスタルガラスのひとつひとつが ティアドロップ(涙の滴)という形。ガラスの粒が揺れると光もさざ波のように揺れるのがシャンデリアの魅力だと石井さんがおっしゃっていました。
名前 | サントリーホール |
住所 | 東京都港区赤坂1-13-1 |
WEB | https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/ |
営業時間 | 公演による |
定休日 | 公演による |
名前 | 石井幹子デザイン事務所 |
住所 | 東京都渋谷区千駄ケ谷5-4 |
WEB | http://www.motoko-ishii.co.jp/ |
石井幹子さんの著書。
イイノナホ さん / イイノナホグラスガーデン /手作りガラスの独創的なシャンデリア【東京都 千駄ヶ谷】
紹介されていたのは2019年にオープンした 東京・千駄ヶ谷 の イイノナホグラスガーデン のショップ。店内にには器や照明などの手作りのガラス作品が並びます。シャンデリアも個性的なデザイン。豊かなガラスの表情から溢れる柔らかい光が特長です。
手がけるのはガラス作家の イイノナホ さん。
幻想的な景色をつくる「時の花」と名付けられた作品。400枚近くのガラスの花で構成されたシャンデリア。ガラスの花の中には流れるような模様が入り一枚ずつ全て異なる表情を見せています。煌びやかなシャンデリアとは違う温かみのある光。
イイノナホさんの工房へお邪魔。1日5〜6時間炉の前に立つイイノさん。まずは花の模様となる部分を制作。束ねた色ガラスを溶かして柔らかくなったら二人がかりで伸ばします。棒状になったものをカットしていくと断面に模様が現れました。これを集めて花をつくります。
イイノさんはガラスの層が時間の観念と似ているとおっしゃっていました。移ろう時の流れを表した光の花。豊かな時間を演出する光のアートです。
シャンデリアは受注生産品。きっと手が届かないお値段だと思います。ショップには普段使いのテーブルウェアや花瓶もあります。
名前 | イイノナホグラスガーデン 千駄ヶ谷ショップ |
住所 | 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-3-14 |
WEB | https://www.naho-glass.com/ |
営業時間 | 金〜日:12:00〜17:00 |
定休日 | 月曜〜木曜 |
美の壺 二、時代を写す装飾
ふたつめのツボは 時代を写す装飾。
ザ・グローブ アンティークス / アンティークのシャンデリア【東京都 世田谷】
東京・世田谷 のアンティーク家具の店 ザ・グローブ アンティークス(The Globe Antiques)。店内にはアンティークのシャンデリアが並んでいます。その多くはイギリスやベルギーから買い付けてきたもの。古いもので100年以上前のものもあり、タイムスリップしたような気分になります。
シャンデリア(Chandelier)という言葉はラテン語で「輝く」という意味の「カンデレ(Candere)」から来たとも言われています。
珍しいシャンデリアと紹介されていたのは100年ほど前にフランスで作られたもの。その形は王冠を模しています。吊り下がった無数のガラスは剣をかたどった形。金属部分には天使の装飾も。教会で使われたようです。置かれる場所に応じて様々な意匠が施されたことを伺うことができます。
王道のシャンデリアと紹介されていたのは18世紀に流行した マリア・テレジア スタイル。ハプスグルク家の女王 マリア・テレジア(Marie Theresia)がボヘミアのガラス職人に命じて作らせたことからその名がつきました。流れるような曲線を描く真鍮のアームを高価なクリスタルガラスで装飾、繋ぎ目にはバラの模様をあしらっています。形の美しさだけでなく光の反射も計算されたデザイン。
店長の 板橋怜(いたばし れい)さんは照明はお部屋の印象を変える重要なアイテムのひとつだと語ります。シャンデリアは光を装飾的なかたちでインテリアの一部にできる唯一無二の存在。
気になるシャンデリアのお値段は15万円〜50万円くらい。ショップにはカフェも併設されています。
名前 | ザ・グローブ アンティークス(The Globe Antiques) |
住所 | 東京都世田谷区池尻2-7-8 |
WEB | http://www.globe-antiques.com/ |
営業時間 | 木〜火:11:30〜19:30(新型コロナウイルスの影響により変更あり) |
定休日 | 水曜 |
由水常雄さん / 美術史家 / シャンデリアの歴史
美術史家の 由水常雄(よしみず つねお)さんが シャンデリアの歴史 を解説。由水さんはガラス工芸作家でもあり、東京ガラス工芸研究所の開設に携わった後、現在は箱根ガラスの森美術館顧問。ガラス工芸に関する著作を多数執筆するとともに自らの作品も制作されています。
名前 | 由水常雄(よしみず つねお) |
WEB | http://www7a.biglobe.ne.jp/~yossy-/ |
ローマ時代のシャンデリア
多灯形式の照明の起源は ローマ時代 に遡ります。大建築の空間を照らすには壁に取り付ける照明だけでは照度が足りなかったことから天井から吊り下げる多灯照明がつくられるようになりました。
番組で紹介されていたのは 6世紀東ローマ帝国で使われていたというシャンデリア。複数のオイルランプを吊り下げるシンプルな形状。
11世紀の教会のシャンデリア/ ヒルデスハイムの聖マリア大聖堂
11世紀から残る教会と紹介されていたのはドイツ・ヒルデスハイム(Hildesheim)にある世界遺産 聖マリア大聖堂(Hildesheimer Dom St. Mariä Himmelfahrt)。
中世から残るこの教会のシャンデリアは直径6mの車輪型(王冠型)。中世になるとシャンデリアに装飾性も加わり大きくなっていきました。機能を満たすだけでなくより豪華なシャンデリアが富の象徴として使われるようになったのです。
名前 | ヒルデスハイムの聖マリア大聖堂(Hildesheimer Dom St. Mariä Himmelfahrt) |
住所 | Domhof, 31134 Hildesheim, Deutschland |
WEB | https://www.dom-hildesheim.de/ |
営業時間 | 月〜金:10:00〜18:00、土:10:00〜16:30、12:00〜17:30 |
定休日 | なし |
17世紀フランスのシャンデリア/ ヴェルサイユ宮殿
大きな転機は17世紀のフランス。ルイ14世は ヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)を豪華絢爛に装飾します。鏡の回廊 には貴重な水晶を吊り下げたシャンデリアが飾られヨーロッパ中の評判となります。このシャンデリアが後のデザインの原型となっていきました。
名前 | ヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles) |
住所 | Place d’Armes, 78000 Versailles, France |
WEB | http://www.chateauversailles.fr/ |
営業時間 | 火〜日:9:00〜17:30 |
定休日 | 月曜 |
小泉和子さん / 生活史研究家 / 日本のシャンデリアの歴史
日本のシャンデリアの歴史 について解説してくれたのは 家具道具室内史学会 会長の 小泉和子(こいずみ かずこ)さん。生活史研究家で 小泉和子生活史研究所 代表。
建築技師であった父 小泉孝さんが設計施工した生家は登録有形文化財 昭和のくらし博物館 となって公開され、小泉和子さんが館長を務めています。
名前 | 小泉和子生活史研究所 |
住所 | 東京都目黒区目黒本町3-13-19 |
WEB | https://mail384856.wixsite.com/seikatusi/home |
営業時間 | 火〜金:9:00〜18:00 |
定休日 | 土曜〜月曜 |
名前 | 昭和のくらし博物館 |
住所 | 東京都大田区南久が原2-26-19 |
WEB | http://www.showanokurashi.com/ |
営業時間 | 金土日祝:10:00〜17:00 |
定休日 | 月曜〜木曜 |
迎賓館赤坂離宮
明治時代の日本の西洋建築の究極が 迎賓館赤坂離宮(げいひんかんあかさかりきゅう)。明治42年に東宮御所として建てられた建築ですが現在は一般に公開。最も豪華なシャンデリアは「羽衣の間(はごろものま)」と呼ばれる舞踏室にあり、重さ800kgのフランス製。約7,000個ものクリスタルガラスが使用されています。
華美であることが目的、華やかで美しくないといけなかったと小泉さんは語ります。文明開化の時代にシャンデリアは直接見る西洋文明として相当インパクトを与えたのではないでしょうか。
シャンデリアには舞踏会をテーマにした細かな装飾が施されています。舞踏会の仮面、ラッパやバイオリンなどの楽器など隅々まで趣向が凝らされたつくり。
名前 | 迎賓館赤坂離宮(げいひんかんあかさかりきゅう) |
住所 | 東京都港区元赤坂2-1-1 |
WEB | https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/ |
営業時間 | 木〜火:9:00~17:00 |
定休日 | 水曜 |
美の壺 三、心潤す、癒やしの灯り
最後のツボは 心潤す、癒やしの灯り 。今の暮らしにシャンデリアはどのように息づいてうるのか探ります。
小林順子さん / 和紙デザイナー / 和紙のランプシェード【大阪府 南河内郡】
大阪府南河内郡 和紙デザイナーの 小林順子(こばやし じゅんこ)さんのアトリエ。和紙を使った照明作品 を作り続け、ながはる株式会社の専属和紙デザイナーもつとめていらっしゃいます。
新しいシャンデリアの製作に取り組む小林さん。モチーフは滴り落ちる雫。作品の不思議な造形は自然から着想を得ています。
使うのは 楮(こうぞ)という木の樹皮。繊維が丈夫で加工に強いのが特徴。樹皮を光が透けるほどの薄さにゆっくりと伸ばし手で丁寧に広げると繊細な網のような和紙に。不規則な柄が自然の造形物を思わせます。
水が入った風船を型にして雫の形を成形。和紙に糊をつけ風船に貼りつけていきます。乾かして水を抜き風船を取り出したらシェードの完成。植物の繊維をそのまま生かしたデザインです。作品は「森の雫(もりのしずく)」と名付けられました。森に集まる雫が集まり滴り落ちるイメージ、森を照らす月明かりのような優しい光です。
名前 | ながはる株式会社 |
住所 | 東京都新宿区西落合1-30-22 |
WEB | http://www.nagaharu.com/ |
鈴木奈緒子さん / ジィール / ドライフラワーが彩るシャンデリア【兵庫県 神戸市】
兵庫県神戸市 のフラワーデザイナー 鈴木奈緒子(すずき なおこ)さん。シックでスモーキーなドライフラワーやプリザーブドフラワーのアレンジメントが人気のフラワーショップ ジィール のフローリストです。ジィールはウェディングアイテムも人気。招待状や席次表、ウェルカムボードなど、花嫁さんたちの間では絶大な支持を得ていて「ジィール風」という言葉もあるほど。
シャンデリアに巻きつけているのはドライフラワー。12年前から ドライフラワーのシャンデリア をつくっている鈴木さん、きっかけは20代のときにパリで出会ったアレンジ。アイアンにフィンランドの苔が巻きつけてあったのがとても可愛くて自分でもつくるようになったそうです。
ろうそくの灯りに魅力を感じていた鈴木さんは灯りとスモーキーなドライフラワーを組み合わせるようになり、シャンデリアも制作。職人手づくりの鉄(アイアン)素材のシャンデリアに鈴木さんが装飾。番組ではアジサイ・モス・ヘクソカズラでデコレーションするところを見せてくださいました。
鈴木さんがつくるのは明るく照らすための照明ではなく癒される照明。家に帰ってきて見え隠れするドライフラワーが光で浮かび上がるのが自分でもすごくいいなと思うそうです。本当に素敵ですね。
気になるシャンデリアのお値段は10万円〜40万円くらい。オーダー製で約1ヶ月で完成。希望の花や色があれば相談できるようです。
名前 | ジィール |
住所 | 神戸市中央区山本通2-4-24 リランズゲート2F |
WEB | https://shop.ji-ru.com/ |
営業時間 | 木〜月:12:00〜18:00 |
定休日 | 火曜・水曜 |
エピローグ
軍手でシャンデリアのガラスをピカピカに磨いた草刈さん。シャンデリアも満足そうでした。
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音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
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