NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「スペシャル 和楽器」
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーション(語り)は俳優の 木村多江(きむら たえ)さん、ゲストは 謎の清元師範 役で登場した 尾上右近(おのえ うこん)さんです。
最新エピソード 美の壺 File 619「甕(かめ)」 もどうぞ併せてご覧下さい。
BSプレミアム(2023年11月30日まで。2023年12月1日から NHK BS(BS101チャンネル) へ移動)
初回放送:2023年6月28日(水)19:30~21:00
再放送 :2023年7月5日(水)08:00〜
BS4K(2023年12月1日から BSプレミアム4K へ名称変更)
初回放送:2023年6月28日(水)19:30~21:00
再放送 :2023年7月3日(月)14:00~、2023年7月5日(水)08:00〜
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美の壺 2024年度(2024年4月〜2025年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 スペシャル 和楽器 内容
▽江戸創業の和太鼓工房・太鼓の内側に施す職人技とは
▽世界的な和太鼓奏者・林英哲さんが独奏
▽能の始まりを告げる能管の秘密
▽大ヒット曲「紅蓮華」を和楽器で演奏!
▽雑音も音色に!世界を魅了する尺八の魅力を大解剖
▽アメリカ人尺八奏者の尺八づくりに密着
▽津軽の自然に育まれた津軽三味線・魂の響き
▽世界最古のオーケストラ「雅楽」に宿る和の心
▽人間国宝・大蔵源次郎さんの小鼓の演奏は必見!
▽小鼓作りに木地師が挑戦!
プロローグ
草刈邸の庭の桜が咲いています。お花見しようと弁当注文を注文した草刈さん。
「鐘は上野か浅草か」と歌舞伎「助六」を唄い出します。
そこに現れたのは謎の清元師範。「なっとらん!」とダメ出しをされてしまいます。
尾上右近さん / 歌舞伎俳優 / 謎の清元師範・出前持ち
謎の清元師範・出前持ち を演じていたのは歌舞伎俳優の 尾上右近(おのえ うこん)さん。
尾上さんは1992年東京都生まれ。清元宗家七代目 清元延寿太夫(きよもと えんじゅだゆう)の次男。曾祖父は 六代目 尾上菊五郎(おのえ きくごろう)、母方の祖父は俳優の 鶴田浩二(つるた こうじ)。
清元節宗家の家に生まれながらも幼少の頃から歌舞伎に魅了され役者を志望。7歳で初舞台、子役を経て、七代目 尾上菊五郎のもとで役者としての修行を積みました。
2005年に12歳で 二代目 尾上右近(おのえ うこん)を襲名。2018年に 清元栄寿太夫(きよもと えいじゅだゆう)を襲名。
歌舞伎・清元の両方で活躍するほか「わたしの幸せな結婚」などの映画出演、フジテレビ「めざまし8」のスペシャルキャスターなど活動の幅を広げています。
名前 | 尾上右近(おのえ うこん) |
WEB | https://www.onoeukon.info/ |
美の壺 一、打つ:繊細な技が生む豪快な響き
ひとつめのツボは 打つ:繊細な技が生む豪快な響き。
浅野恭央さん / 浅野太鼓楽器店 / 414年続く和太鼓の工房【石川県 白山市】
日本の祭りに和太鼓の響きは欠かせません。私たちの気持ちを高揚させ元気付けてくれます。
古くから和太鼓は神に祈りを捧げめるための神聖な道具でした。その轟は恵みの雨を降らすと伝えられました。
人々は和太鼓に不思議な力を見い出してきたのです。
石川県白山市(はくさんし)の 浅野太鼓楽器店(あさのたいこがっきてん)は江戸時代が始まってすぐ414年前に創業した和太鼓の工房です。
代表取締役社長は18代目の 浅野恭央(あさの やすお)さん。
和太鼓には様々な大きさや種類があり、この工房では太鼓作りの全てを一貫して手がけています。
紹介されていたのは太い丸太から作る 長胴太鼓(ながどうだいこ)。
原木をくり抜いてそのまま太鼓の胴にする 一木作り(いちぼくづくり)。昔から大木は神が宿る神聖なものとされてきました。
太い丸太を機械でくり抜き、くり抜いた後は胴の響きを良くするため薄く仕上げていきます。
中央がやや膨らんでいるのは内部での反響を豊かにするため。
胴が削り上がると倉庫の中でゆっくりと乾燥させます。
1番難しいのは木の乾燥だという浅野さん。急激に乾燥させると、胴が割れたり変形したりするため3年から5年以上かけてじっくり乾燥させています。しかし最近は昔の気温や湿度と違うのが難しいところです。
乾燥を終えた胴の表と裏を仕上げていきます。
表を磨きあげ、内側には細かい模様彫りこみます。
内側は革を張ってしまえば隠れてしまう部分ですが、反響する面を増やすことで音の反射がより複雑になり深い音が生まれるのだとか。
見えない部分もおろそかにしない職人技です。
完成した胴に なめした牛の革を張っていきます。
ねじ棒で縄を捻りながら、革を均等に伸ばします。
岸和田市西之内町青年団令和五年鳴物責任者の 田中眞樹人 さんら大阪岸和田の人たちが だんじり祭り で使う太鼓の最終調整にやってきました。
試し打ちをして好みの音が出るよう張り具合を変えていきます。
これから だんじり祭りで何百年と語り継がれていく太鼓。町内の人たちの耳に残るような太鼓を作り上げていきたいと語る田中さん。
誰でも音が出せて、たくさんの人が集まって1つの音にするのがすごく魅力的。受け継いだものを次の世代に受け渡したいと浅野さんは考えています。
名前 | 浅野太鼓楽器店(あさのたいこがっきてん) |
住所 | 石川県白山市福留町587-1 |
電話 | 076-277-1717 |
WEB | https://www.asano.jp/ |
営業時間 | 月〜金:9:00〜17:00、土日:10:00〜16:00 |
定休日 | 不定休 |
浅野太鼓楽器店の太鼓。
お子様も使える練習用の太鼓。
林英哲さん / 和太鼓奏者【神奈川県 小田原市】
神奈川県小田原市、日本を代表する和太鼓奏者 林英哲(はやし えいてつ)さんはお祭りや郷土芸能で使われてきた和太鼓を舞台芸術に高めた1人です。
それまでの和太鼓にはなかった技を編み出してきたといいます。
これまでの太鼓の役割は主役にならない伴奏役。
それはそれで楽しいのですが、舞台芸として成立させるために、大変厳しい打ち方にして大きな振りで思い切り音を出すようにしたのだとか。
海外でも高い評価を受けてきた林さん。
まず取り組んだのは音の響かせ方。コンサート会場の隅々まで音が届くように工夫しました。
さらに音の表情にもこだわりました。
打つ位置や強弱を変える巧みなバチ捌きが林さんの真骨頂です。
林さんの元には若い和太鼓奏者が集っています。
彼らが世界に羽ばたくことで、和太鼓の響きがさらに広がることを林さんは期待しています。
不思議なことに海外公演をすると、必ず泣いている人がいるのはどうしてなのだろうと思っていた林さん。
胎児の時に聞いてるお母さんの心臓の音が太鼓の音に近いらしいという説があるそうです。
懐かしいようなわけのわからない感情がよみがえって涙が出ることがあるのかもしれない。
全人類共通のことをやっているのはとても大事な経験だったと語っていました。
名前 | 林英哲(はやし えいてつ) |
WEB | http://www.eitetsu.net/ |
林英哲さんの音源。
美の壺 二、吹く:単純さが吹き手を解き放つ
ふたつめのツボは 吹く:単純さが吹き手を解き放つ。
山田路子さん / 能管・篠笛奏者
空気を引き裂くようなする鋭い音色の 能管(のうかん)の響きが能の始まりを告げます。
能管は音の鋭さを追求した笛。
能管 と 篠笛 を解説してくれたのは能管・篠笛奏者の 山田路子(やまだ みちこ)さん。
山田さんは千葉県出身。能楽師一噌流笛方一噌幸弘氏に師事し、古典の技術を学びながらオリジナルの世界を追求しています。
自主公演や作曲、篠笛指導で活躍。ソロ活動のほか、「AUN J CLASSIC ORCHESTRA(アウン・ジェイ・クラシック・オーケストラ)」「竹弦囃子」「打花打火」などのユニットにも参加しています。
西洋の平均律、日本の各種音階とも異なる独特の音階を持つ 能管(のうかん)。その不思議な音階で幽玄さを表現します。
能楽で使われるのは、太鼓などの打楽器と能管のみ。独奏楽器であり、メロディーを奏でる楽器と合奏しないため、能管は独自の音程でも構わないのです。
篠笛(しのぶえ)は同じ横笛でも能管と違って音程が調整されています。
美しいメロディーを奏でることができ、他の楽器との合奏も容易な祭囃子や民謡に欠かせない笛です。
しかし合奏するためには10本以上の笛を持ち歩かないといけないといいます。
篠笛は音の高さがそれぞれ異なり、「お調子」によって高さが違うので、曲によって笛を使い分けています。民謡や祭囃子は地域によってお調子が違うので、山田さんはなんと200本ものを笛を持っているといいます。
フルートとは違って息を吹きながら指を激しく動かすことによって音を変えていく奏法が多い篠笛。その音の動きが「ピーヒャラ」と聞こえるのです。
竹を切って穴を開けただけの素朴な楽器ですが、演奏者の腕と工夫で自由自在に音を操れる魅力があります。
名前 | 山田路子(やまだ みちこ) |
WEB | http://shinobue-michiko.com/ |
山田路子さんの音源とDVD。
AUN J CLASSIC ORCHESTRA(アウン・ジェイ・クラシック・オーケストラ)/ 和楽器奏者7人ユニット
他の楽器とのアンサンブルで笛の可能性を広げたいと 山田路子(やまだ みちこ)さんが参加しているのが AUN J CLASSIC ORCHESTRA(アウン・ジェイ・クラシック・オーケストラ)。
様々な和楽器が集まって大ヒット曲「紅蓮華(ぐれんげ)」を演奏していました。
AUN J CLASSIC ORCHESTRA(アウン・ジェイ・クラシック・オーケストラ)は腕利きの和楽器奏者7人が集まった和楽器編成ユニット。和太鼓・三味線・箏・尺八・篠笛で構成されています。
音合わせするときの極意「阿吽(あうん)の呼吸」がその名の由来。2000年結成の井上良平さんと井上公平の双子ユニット AUN(あうん)から派生し、一流の和楽器奏者が集まって2008年に結成されました。美の壺 File 554「和楽器」にも出演しています。
和楽器の種類は大きく3つ。
琴(こと)や三味線(しゃみせん)などの弦楽器、弾きもの(ひきもの)。
篠笛(しのぶえ)や 尺八(しゃくはち)などの管楽器、吹きもの(ふきもの)。
太鼓(たいこ)や 鼓(つづみ)などの打楽器、打ちもの(うちもの)。
メンバーは
リーダーで 和太鼓・津軽三味線 の 井上良平(いのうえ りょうへい)さん、
和太鼓・津軽三味線 の 井上公平(いのうえ こうへい)さん、
尺八・篠笛 の 石垣征山(いしがき せいざん)さん、
篠笛 の 山田路子(やまだ みちこ)さん、
箏 の 市川慎(いちかわ しん)さん、
箏 の 山野安珠美(やまの あずみ)さん、
中棹三味線 の 尾上 秀樹(おのえ ひでき)さん。
名前 | AUN J CLASSIC ORCHESTRA(アウン・ジェイ・クラシック・オーケストラ) |
WEB | https://www.aunj.jp |
AUN J CLASSIC ORCHESTRA(アウン・ジェイ・クラシック・オーケストラ)の作品。
ジョン 海山 ネプチューンさん / 尺八奏者【千葉県 鴨川市】
千葉県鴨川市、海と山が近い自然に恵まれたこの地を愛する尺八奏者 ジョン 海山(かいざん)ネプチューン(John Kaizan Neptune)さん。
ネプチューンさんは1951年アメリカ・カリフォルニア州生まれ。高校時代はトランペットを演奏、その後ドラマーとして音楽活動を行っていました。サーフィンにも打ち込み、サーフィン好きが高じてハワイ大学に進学。民族音楽を専攻していた頃に尺八に出会います。
1973年に尺八都山流(とざんりゅう)三好芫山(みよし げんざん)さんのもとで尺八を学ぶために来日。修行ののち師範免許と「海山(かいざん)」の号を授与されました。
海山の名は海が好きなことに加えて苗字の Neptune(ネプチューン)が海の神様であることにも由来します。
最初に 尺八(しゃくはち)の音を聞いた時、独特な音色に驚いたというネプチューンさん。
普通の笛はきれいな音を追求しますが、尺八は息遣いやかすれた音、雑音さえも表現に取り込みます。
その嵐の中で木がガーというような音色がものすごく心を動かしたのです。
もともとは中国の唐が起源といわれる尺八。
江戸時代には禅宗の一派だった虚無僧(きょむそう)が吹く楽器でした。吹禅(すいぜん)と呼ばれる修行でもあったのです。
ネプチューンさんが惚れ込んだのは、尺八の音色だけでなく、その姿も。
自然の竹をそのまま使った単純な形は1つとして同じものがありません。
一尺八寸およそ55cmが基準なので尺八と呼ばれますが、実際には様々な長さが作られています。
尺八の不思議さに見せられたネプチューンさんは、やがて自分で作るようになりました。
材料の竹を採るのは裏山。ご近所の許可を得て、尺八に適した 真竹(まだけ)を探しまわります。
お眼鏡にかなった竹を見つけると、根本から掘り起こすという重労働。根は太い地下茎で竹林中つながっているので、簡単にはいきません。30分以上かけてやっと1本掘り出しました。
まずは今回の竹にふさわしい尺八の長さを決めてると、次は 油抜き。生の竹を加熱してしみ出た油を取り除きます。カビや害虫の被害を防ぎ、竹の美しさを保つ一手間です。
泥を落とし、複雑に絡み合った根っこをきれいに整え、倉庫で乾燥。最低でも3年は自然乾燥させるのだとか。
ネプチューンさんの倉庫には次の工程に進むのを待つ竹がたくさん保管されています。
十分に乾燥が進んだ竹を選び、その根本・管尻(かんじり)に穴を開けます。
節を抜き上から下まで息が抜けるよう仕立てます。
息を吹き込む 歌口(うたくち)をつくります。
指穴の位置を決め1つずつ慎重に開けていきます。穴の数は表に4つ裏に1つ。
尺八は5つの穴しかありません。
わざと渋く、わざとシンプル、わざと単純。それが日本の文化の1つだというネプチューンさん。
土の中を掘って自然のラッパを自然の根のところで作る。
竹からこんなに面白い音がするのです。
作っていた尺八は一応完成し、音が鳴るようになりました。
しかし演奏に使えるようになるまでには、まだまだ精密な調整が続きます。
ネプチューンさんは作曲家としても活動しています。
これまで発表したCDは20枚以上。尺八独特の表現を追求した曲が海外でも人気を集めています。
ピアノの白いキー(白鍵)と黒いキー(黒鍵)の間を尺八は上手に聞かせる。表現力がすごい、と尺八の奥深さに惚れ込んでいるネプチューンさんでした。
名前 | ジョン 海山(かいさん)ネプチューン |
住所 | 千葉県鴨川市北小町1091 |
電話 | 0470-97-1534 |
WEB | http://www.jneptune.com/ http://www.awa.or.jp/home/jneptune/ |
ジョン 海山 ネプチューンさんの息子・デビット・ネプチューンさんが監督したドキュメンタリー「海山 たけのおと」。
ジョン 海山 ネプチューンさんの作品。
美の壺 三、弾く:弦の響きが感情を呼びさます
みっつめのツボは 弾く:弦の響きが感情を呼びさます。
吉田良一郎さん / 津軽三味線 / 和楽器ユニット WASABI
和楽器ユニット WASABI(わさび)は津軽三味線デュオ 吉田兄弟(よしだきょうだい)の兄、吉田良一郎(よしだ りょういちろう)さんが中心になって結成されました。冒頭ではオープニングテーマ「Moanin’」の演奏も披露してくれました。
WASABI(わさび)には篠笛や尺八などの管楽器・吹きもの(ふきもの)
和太鼓などの打楽器・打ちもの(うちもの)
三味線や琴などの弦楽器・弾きもの(ひきもの)があります。
メンバーは
津軽三味線 の 吉田良一郎(よしだ りょういちろう)さん、
太鼓・鳴り物 の 美鵬直三郎(びほう なおさぶろう)さん、
尺八 の 元永拓(もとなが ひろむ)さん、
琴・十七絃 の 市川慎(いちかわ しん)さん。
こうした和楽器の多くは、江戸時代、庶民の楽器として広く親しまれていました。
その手軽さから特に人気を集めていたのが 三味線(しゃみせん)です。
三味線は日本全国に伝わり、各地の芸能の形態に合わせて少しずつ形を変えていきました。
中でも現在の青森県津軽地方の厳しい自然の中で生まれたのが 津軽三味線(つがるじゃみせん)です。
津軽三味線 は 太棹(ふとざお)と呼ばれる三味線の1つ。
竿が太いのが特徴で、胴も大きくなっています。さらに弦の低音が響くよう太いものが張られています。
長唄などに使う 長唄三味線(ながうたじゃみせん)は 細棹(ほそざお)と呼ばれる三味線の1つ。
長唄三味線は色っぽい、雅な感じの音。
一方、津軽三味線は派手に聞かせるために弦をすくって激しく細かく弾くのが特徴。とても力強い演奏です。
もともと津軽の盲目の方が玄関先で演奏してお米やお金をもらうというところから生まれてきたのが津軽三味線の芸。風の音に負けず、外に演奏して家の中の方に聞こえるように改良されました。
津軽三味線を演奏してて見えてくるのは津軽の景色だという吉田さん。雪景色だったり、桜だったり、厳しさがこの津軽三味線から聞こえてくる魂の音だといいます。
津軽三味線を代表する楽曲「津軽じょんがら節」を演奏してくれました。
名前 | 和楽器ユニット WASABI(わさび) |
WEB | http://www.japan-wasabi.jp/ |
名前 | 吉田兄弟(よしだきょうだい) |
WEB | https://yoshida-brothers.jp/ |
大川貴子さん+桂吉弥さん+桂よね吉さん / 上方落語と寄席三味線【大阪市】
お笑いの街 大阪 はアクが強くて賑やかな大衆演芸が好まれる土地柄です。その個性は落語にも。
紹介されていたのは 桂吉弥(かつら きちや)さんの「たちきり」という演目です。
上方落語(かみがたらくご)は、舞台袖に控える 寄席囃子(よせばやし)との掛け合いが魅力です。
若旦那と芸者・小糸の悲恋が描かれる「たちきり」のクライマックスで死んだ小糸があの世で弾く三味線が聞こえてきます。
演奏していたのは寄席三味線奏者の 大川貴子(おおかわ たかこ)さん。
阿吽の呼吸で噺のタイミングにぴったり合わせる名人芸。落語家達から絶大な信頼を得ています。
結ばれなかった若い2人の悲しみを際立たせる寄席三味線。上方落語ならではの演出です。
下座(げざ)で演奏する 寄席三味線(よせじゃみせん)。黒子みたいな気持ちで落ち着くし、噺を特等席で見られる、と大川さん。
桂吉弥さんは「三味線のお師匠はんに若き噺家を育ててもらうというところは多分にある」と寄席三味線奏者の重要性を語ります。
大川さんは落語が演じられる所に出かけて三味線を弾きます。
通天閣のすぐ近くにある下町の寄席へ。落語家の 桂よね吉(かつら よねきち)さんの「蛸芝居(たこしばい)」という演目。寄席囃子がふんだんに入っています。
三味線、鉦(しょう)、太鼓などの 寄席囃子(よせばやし)が控える下座(げざ)は高座(こうざ)の舞台袖に当たります。
もともとは女優だった大川さん。東京で歌舞伎劇団「前進座」にいた時に三味線の魅力に目覚めました。
1994年、三味線を弾いて生きていける寄席三味線の世界に飛び込み、以来四半世紀余りが経ちました。
他のお囃子さん、落語家の 林弥壱(かつら やいち)さんと落語家の 桂しん吉(かつら しんきち)さんも準備を始めました。大川さん以外の寄席囃子は落語家が務めるのが一般的です。
本番前のリハーサル、音合わせを見せていただきました。
「蛸芝居」は芝居好きの商家が舞台。登場人物たちがことあるごとに歌舞伎の芝居の真似を始め、最後には買った蛸まで芝居を始めてしまうお噺です。お囃子さん次第で面白さが何倍にも膨らみます。
同じお噺でも落語家によってテンポや間の取り方が違うのだとか。大川さんは「慣れるまでやらせていただく」としっかりリハーサル。
賑やかな出囃子とともに「蛸芝居」本番。
丁稚が無理矢理子守をさせられる場面ではよね吉さんが歌う子守唄を絶妙のタイミングで大川さんが引き継ぎます。交互に掛け合いして話が展開していくところが見所です。
よね吉さんが「仕草に合わせて欲しい」とリクエストした場面では大川さん演奏しながらもよね吉さんから目を離しません。
お見事、よね吉さんの仕草に合わせきりました。
噺家さんの作り上げる世界に参加させていただくのはプレッシャーもあり、責任もあり、と大川さん。
でも噺家さんに良かったって喜んでもらえて一緒に作り上げる喜び楽しみを感じられると語っていました。
上方落語は、もともと大道芸として自社の境内など屋外で演じられたといいます。
賑やかなお囃子は、通りがかりの人の足を止める工夫でした。
津軽三味線と寄席三味線。どちらも庶民の暮らしの中から生まれた和楽器の世界です。
名前 | 桂吉弥(かつら きちや) |
WEB | https://kichiya-k.com/ |
名前 | 桂よね吉(かつら よねきち) |
WEB | https://yonekichi.hp.peraichi.com/ |
美の壺 四、雅(みやび):悠久の音色に込めた和の思い
よっつめのツボは 雅(みやび):悠久の音色に込めた和の思い。
小野真龍さん / 天王寺楽所 雅亮会 / 世界最古のオーケストラ・雅楽【大阪市 天王寺区】
大阪市 の 四天王寺(してんのうじ)は1400年以上前に建立された 聖徳太子(しょうとくたいし)とゆかりの深いお寺。
毎年旧暦の2月22日、聖徳太子の命日に 雅楽(ががく)が奉納されています。
雅楽は大陸から伝わった楽器や音楽が日本独自の発展を遂げたもの。
聖徳太子も黎明期に仏教に取り入れ、三宝(仏・法・僧)を供養せよと命じたのだとか。
聖徳太子の命日の法要・聖霊会(しょうりょうえ)は毎年4月22日(旧暦の2月22日)。
一般の参拝者も四天王寺聖霊会の舞楽を無料で鑑賞することができます。
2022年は聖徳太子の没後1,400年。2022年4月22日の大法要でも雅楽(ががく)が奉納されました。
解説してくれたのは 天王寺楽所 雅亮会(てんのうじがくそ がりょうかい)副理事長・関西大学客員教授の 小野真龍(おの しんりゅう)さん。小野さんは小野妹子の八男・多嘉麿(たかまろ)を開基とする 願泉寺(がんせんじ)の44世 住職。小野妹子の末裔といわれています。美の壺 File 554「和楽器」にも出演されました。
天王寺楽所(てんのうじがくそ)は平安時代以来、京都の宮廷におかれた 大内楽所(おおうちがくそ)、奈良の大社寺の雅楽を担当する 南都楽所(なんとがくそ)とともに、三方楽所(さんぽうがくそ)の一つとして日本の雅楽伝承を支えてきました。
しかし明治維新の際に三方楽所の楽師たちが天皇の奠都に伴って東京へ召されることとなり、三方楽所は廃絶。天王寺舞楽の伝統も危うく途絶えかけたものの、民間の有志が立ち上がり明治17年(1884年)に雅楽伝承グループ 雅亮会( がりょうかい)を結成。その中心を担ったのが小野真龍さんの曾祖父・小野樟蔭さん。
以降、戦争で存続の危機に見舞われながらも復興し、願泉寺を活動拠点として雅楽を伝承しています。
雅楽の伝え方は独特です。
基本的には師匠から弟子への 口伝(くでん)と言う形で伝えられてきました。
その口伝の仕方も 唱歌(しょうか、しょうが)と呼ばれる歌で教える方法です。
歌の中に音程、間合い、メロディーの加減が凝縮されているのです。
まず指導者が歌を歌います。
「♪お〜ら〜ろ〜 お〜る〜ろ〜」
それと同じように生徒が真似て歌うという具合。面白いですね。
江戸時代から今も伝われる譜面に記されているのは笛の穴の押さえ方や拍子だけ。
メロディーやニュアンスなどは全て口伝で行われます。
雅楽は世界最古のオーケストラといわれます。
しかしそこに指揮者はいません。
それぞれの楽器が主導権を取るところがあり、主導権を取る楽器が楽団全体に「今の間合いはこうだよ」というメッセージを送り合い成立しているのです。
披露された曲は「越天楽(えてんらく)」でした。
名前 | 天王寺楽所 雅亮会(てんのうじがくそ がりょうかい) |
住所 | 大阪府大阪市浪速区大国2-2-27 願泉寺内 |
電話 | 06-6641-0084 |
WEB | https://tennojigakuso.org |
名前 | 四天王寺(してんのうじ) |
住所 | 大阪府大阪市天王寺区四天王寺1-11-18 |
電話 | 06-6771-0066 |
WEB | https://www.shitennoji.or.jp |
営業時間 | お堂・中心伽藍・庭園 4月〜9月:8:30~16:30 10月〜3月:8:30 ~ 16:00 六時堂 8:30~18:00 敷地内は24時間開門 |
定休日 | なし |
小野真龍さんの著書。
番組でも演奏されていた雅楽の有名曲「越天楽(えてんらく)」。宮内庁式部職楽部の演奏音源。
橿原神宮 / 新嘗祭の雅楽の奉納【奈良県 橿原市】
日本の人々は、仏教が伝来する以前から森羅万象に神が宿ると考え、信仰してきました。
奈良県橿原市(かしはらし)の 橿原神宮(かしはらじんぐう)には初代天皇である神武天皇(じんむてんのう)が祭られています。
紹介されていたのは去年の 新嘗祭(にいなめさい)の様子。
奉納されている「久米舞(くめまい)」は、日本古来の雅楽「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」の1つ。
神武天皇が大和地方を平定したときにつくられたといわれ、国が栄えるよう願いを込めて演奏されます。
「国風歌舞」には大陸由来ではない日本独自の和楽器が使われます。
雅楽の中でも格式の高い楽器 和琴(わごん)は最古の和楽器といわれています。
名前 | 橿原神宮(かしはらじんぐう) |
住所 | 奈良県橿原市久米町934 |
電話 | 0744-22-3271 |
WEB | https://kashiharajingu.or.jp/ |
営業時間 | 2月・3月・10月・11月:6:30〜17:30 4月・5月・8月・9月:6:00〜18:00 6月・7月:5:30〜18:00 12月・1月:6:30〜17:00 |
定休日 | なし |
東儀秀樹さん / 雅楽師 / 和琴の起源【東京都】
最古の和楽器といわれる 和琴(わごん)の起源について雅楽師の 東儀秀樹(とうぎ ひでき)さんに聞きました。
起源は不定かですが、神話の世界という説も未だ残っているといいます。
例えば、古事記(こじき)の天岩戸(あめのいわと)の伝説で、岩戸開きの時に天宇受売命(あめのうずめのみこと)が踊り、その時に弓を6つ並べて叩いて音を出したという説。
それが転じて和琴(わごん)という形に変わったともいわれています。
和琴には一般的な琴と異なる点がいくつもあります。
1番の違いは弦の数。一般的な琴が13本なのに対して6本です。
日本のいろいろなところから出土されている琴を弾いている埴輪の琴は6本弦。日本古来のものではないかといわれています。
奏法も大陸の琴と和琴では違います。大陸の琴は右手の指で弾きますが、和琴はべっ甲でできた 琴さぎ(ことさぎ)を使って弾きます。
さらに和琴でとても特徴的なのは 琴柱(ことじ)。
楓(かえで)の木の枝の分かれているところをそのまま切って利用しています。木の枝に糸溝を彫って糸をかけているというだけの簡素なもの。
今日までこの楓の枝を使うのが良いとされているのは、自然との協調であったり、自然のものを反映して音を出すことで、神様に物が伝わりやすいとか、そういう考えも残っているではないかと東儀さんは推測しています。
日本独自とされる楽器は、その他にも。
神楽笛(かぐらぶえ)は神話の時代から吹かれてきたとされています。
笏拍子(しゃくびょうし)は神官が持つ笏を2つに切ったような形をしていることからそう呼ばれています。
昔から日本にもこういう素晴らしい楽器があって、それをそのまま維持して、その価値観、音の価値観だけでなく美的価値、作るときの人の思いとか、発想の価値観を2,000年以上経った今でも大切にしているのが日本人らしいと東儀さんは考えています。
太古の昔から自然と深く関わってきた日本人。その美意識が生んだ和楽器が今もそのままの音色と姿で受け継がれています。
東儀秀樹さん / 雅楽師【東京都】
雅楽師の 東儀秀樹(とうぎ ひでき)さんは1959年東京生まれ。商社勤務の父の仕事の関係で幼年期をタイとメキシコで過ごしました。
海外生活で馴染んだ洋楽に影響を受け、成蹊高等学校時代にはロックバンドを結成してエレキギターを担当。プロのミュージシャンを志します。
一方、東儀さんの母は 三方楽所(さんぽうがくそ)の一つ 天王寺楽所(てんのうじがくそ)の 東儀家 の出身。1300年に渡って雅楽を伝承してきた楽家の子孫なのだから雅楽をやってはどうか、という母の勧めで高校卒業後に宮内庁式部職楽部の楽生科で雅楽を学ぶことに。並行して國學院大學文学部第二部神道学科にも進学します。
大学は中退し、1986年から10年間、楽師として宮内庁勤務。1996年に宮内庁を退職し、ソロデビュー。
雅楽器だけでなく、ピアノ、キーボード、シンセサイザー、チェロ、ドラム、ギターなどさまざまな楽器の演奏を行い、雅楽の枠に収まらない多彩な音楽活動をしています。
NHK大河ドラマ「篤姫」で孝明天皇役を演じるなど俳優としても活動。
最近ではバラエティー番組にも度々出演。フジテレビ「千鳥のクセがスゴいネタGP」に息子の 東儀典親(とうぎ のりちか)さんとともに出演して話題となっています。
美の壺 File 554「和楽器」にも出演しています。
名前 | 東儀秀樹(とうぎ ひでき) |
WEB | https://www.togihideki.net |
東儀秀樹さんの作品。
美の壺 五、共鳴:かけがえのない音を未来へ
最後のツボは 共鳴:かけがえのない音を未来へ。
大倉源次郎さん / 能楽 囃子方 大倉流小鼓方十六世宗家・人間国宝
能楽(のうがく)は現存する世界最古の舞台芸術として、ユコスコの無形文化遺産にも認められている古典芸能。
その演奏になくてはならない和楽器が 小鼓(こつづみ)。
紹介されていたのは能楽 囃子方 大倉流小鼓方十六世宗家で人間国宝の 大倉源次郎(おおくら げんじろう)さん。
小鼓はもともと 田楽(でんがく)と呼ばれる農民発祥の民族芸能と深く関わっていました。
「鼓舞する」という言葉があるように、人々の心を高揚させてエネルギーを与えるっていうことだと思う、と大倉さん。
梅雨空のじめじめした時期に、田んぼの中に入って田植えを1日やるのは大変辛い農作業。それを何とか楽しくできないかとみんなで考えたのではないか、と起源に思いを巡らせます。
小鼓は 鼓胴(こどう)と 革(かわ)、調べ緒(しらべお)という紐で構成されています。
見せてくれたのは1460年代の頃の作ではないかといわれる鼓胴。漆書きで550年位前の方のサインが書かれています。
大倉さんが演奏に使う小鼓の多くは、室町時代から江戸時代初めに作られたもの。
美しい金蒔絵(きんまきえ)が施された貴重な品ばかりです。金蒔絵は長年使われ続けた鳴りが良い名器にだけ施されたといわれています。
名前 | 大倉源次郎(おおくら げんじろう) |
WEB | https://www.hanatudumi.com/ |
大倉源次郎さんの著書。
青野恵子さん / ギャラリー 一穂堂 / 大倉源次郎さんの小鼓教室【東京都 銀座】
東京都銀座 のギャラリー 一穂堂(いっぽどう)では大倉さんが月に1度小鼓の教室を開いています。小鼓の裾野を広げるための活動です。
一穂堂の代表取締役 青野恵子(あおの けいこ)さんは後継者不足で小鼓を作る技術が絶えそうだという話を聞き、立ち上がろうと思いました。
自分たちの年齢のものが日本のものづくりを大切にしてこなかったという反省も含めて、何とか大人が若者たちに胸を張って、日本の文化をバトンタッチすることが使命だと勝手に思っているという青野さん。
400年以上前の名器に負けない小鼓を、令和の今、1から作ろうという果敢な挑戦が始まりました。
名前 | ギャラリー 一穂堂(いっぽどう) |
住所 | 東京都中央区銀座1-8-17 伊勢伊ビル3F |
電話 | 03-5159-0599 |
WEB | https://www.ippodogallerytokyo.com/ |
営業時間 | 火〜日:11:00〜18:00 |
定休日 | 月曜 |
西端良雄さん / 木地師 / 小鼓の鼓胴を製作【石川県 輪島市】
石川県輪島市 は 輪島塗(わじまぬり)という漆器の産地として知られています。
伝統の名器に負けない小鼓作り、白羽の矢が立ったのは、輪島に暮らす 西端良雄(にしはた よしお)さんです。
西端さんは木の塊からお椀やお盆などを削り出す 木地師(きじし)。日本伝統工芸展に9回入選を重ねる名工です。
西端さんが作るのは、鼓胴(こどう)の部分。しかし15年前に始めたこの挑戦は、得意のお椀のようにはいきませんでした。
最初は楽勝と思い20本ぐらい作りました。しかし大倉先生が叩いてみたら、確かに音は鳴るのだけれど、能楽堂では無理だという判断で西端さんはがっくり。
うまくいかなかったことで、逆に西端さんの負けん気に火がつきました。
作業工程も全て見直し、複雑な形状の鼓動を作るために、刃物も一から手作り。
鼓胴の材料は 山桜(やまざくら)。木目が詰まっていて、適度に硬く、経年での狂いが少ない木材です。
鼓胴を作る工程を見せてもらいました。
まずはおおまかな形を削り出す荒挽き(あらびき)をします。
外側を削ったら、次は中。音が抜ける穴を開けていきます。この内部の構造がとにかく大切なのだとか。
ただ穴が開いているだけでなく、複雑な形状をしています。
両端がすり鉢状でその奥に直径3cm程度の細い穴が貫通。しかも真ん中がわずかに細くなっています。
西畑さんは、大倉さんが所蔵する名器のデータを綿密に計測し、この微妙な内径の差も再現しています。
目の粗さの違う紙やすりを使い分けながら、少しずつ丁寧に磨いていきます。
左右対象になるように両側から少しずつ。最後は零コンマ数mmの世界。
人間国宝の大倉さんが認める鼓胴をなんとしても作りたいとの一心からです。
磨上がった鼓胴の内部は内径の差も狙い通り。まさに名人の技。しかしこれだけやっても成功するとは限らないのだとか。
ただ名器をそのままコピーすれば鳴るかと思っていたけれども鳴らなかったそうです。
木の硬さ、粗さは桜でもみんな同じではありません。
木の硬さと内部構造とすべてが噛み合ったときに鳴る楽器。科学的根拠はいまだにわからないまま。試行錯誤を重ねて製作を続けました。
仕上げた鼓胴に漆を染み込ませます。
これは15年の経験から得た西端さんの工夫。表面を硬くすることで鳴りが良くなるといいます。
新しいものは鳴らないと認めてしまったら自分が仕事する意味がなくなる。現在の木でもいかにどうしたら鳴るかという工夫が自分の仕事。古い鼓胴に負けないものを作れば意味があると思う、という西端さん。
名前 | 西端良雄(にしはた よしお) |
住所 | 石川県輪島市河井町6部51-25 |
電話 | 0768-22-1826 |
WEB | https://digital-wajima.jp/craftsman/nishihata-yoshio/ |
談山神社 / 芸能のふるさと / 大倉源次郎さんが能楽を奉納【奈良県 桜井市】
奈良県桜井市多武峰(とうのみね)の山深い場所にある 談山神社(たんざんじんじゃ)は芸能のふるさとと呼ばれている神社。美の壺 スペシャル「神社」や 美の壺 File 602「観音」にも登場しました。
創建は701年。祀られているのは 藤原鎌足(ふじわらのかまたり)。
没後鎌足の長男が遺骨の一部をこの地に移し、神殿を立てたのが始まりと伝えられています。
室町時代、この一帯は能や狂言の中心地でした。鼓の音があたりに響き渡っていたと言われています。
神社に伝わる宝物が、ここに多くの能楽師たちが参勤していたことを今に伝えています。
室町時代の名工・女内蔵折居(めくらおりい)が作ったとされる鼓胴も収蔵されています。
大倉源次郎 さんが談山神社で能楽を奉納した日。西端良雄 さんも新しい鼓胴を持ってやってきました。
新しい鼓胴を試し打ちしてもいます。今回は10本を用意。中には、10年以上寝かせた材料を使ったものもありました。
大倉さんが談山神社を試し打ちの場所に選んだのには理由がありました。ここで打つと鼓の出来栄えがわかるというのです。
小鼓を打つと後の山に響いてこだまが聞こえます。その響きで小鼓の良し悪しがわかるといいます。
西端さんのつくった鼓胴、合格点をもらいました。名器に負けないこだまの響きが決め手になりました。
大倉さんの評価を細かくメモし、さらに今後の参考にしようとしています。
輪島の木地師といういわば異業種から鼓胴作りに飛び込んだ西端さん。やっとここまで到達しました。普通だと投げ出してやめてしまうかなと思うことをコツコツと続けていただけて本当にありがたい、と大倉さんも嬉しそう。
試し打ちの後は能楽の奉納です。大倉さんは西端さんの鼓動を使って1曲演奏することにしました。
谷々に音が響く自然のシンフォニーホール。400年前の鼓と現代の鼓がつながって、日本の伝統が継承されることを肌でこの地で感じていただけたら嬉しいなと語る大倉さん。
芸能の発祥の地で、自分が作った鼓胴から発する音が響くのは清々しい気持ちになります、と西端さん。令和の小鼓の誕生を芸能の神様も喜んでくれているでしょう。
名前 | 談山神社(たんざんじんじゃ) |
住所 | 奈良県桜井市多武峰319 |
電話 | 0744-49-0001 |
WEB | https://www.tanzan.or.jp/ |
営業時間 | 8:30〜17:00 |
定休日 | なし |
エピローグ
謎の清元師範から無理やり稽古をつけられる草刈さん。うなされていると現れたのは清元師範にそっくりな花見弁当の出前持ち。あれは夢だったかと思ったそのとき、出前持ちは三味線を探して蔵の中へ。
実は出前持ちとは世をしのぶ仮の姿。家宝の三味線を探しにあの世からやってきていたのです。
三味線を見つけて帰っていった清元師範。後に残された「助六弁当」はお礼でしょうか?
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音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
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