【美の壺】時を越え なお青く 藍染め File 618 で紹介された場所はどこ?/草刈正雄 木村多江

美の壺

NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「時を越え なお青く 藍染め」File 618
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーション(語り)は俳優の 木村多江(きむら たえ)さんです。
最新エピソード 美の壺 File 622「炎」 もどうぞ併せてご覧下さい。

放送時間

NHK BS(BS101チャンネル)
初回放送:2024年10月15日(火)17:30~18:00
再放送 :2024年10月22日(火)11:15~
BSプレミアム4K
初回放送:2024年10月9日(水)19:30~20:00
再放送 :2024年10月14日(月)13:00~、2024年10月16日(水)08:00~
     2024年10月19日(土)06:45〜

U-NEXT でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。虎に翼らんまんなつぞら などの朝ドラや 光る君へ鎌倉殿の13人真田丸 などの大河ドラマ、探偵ロマンス正直不動産 などの名作ドラマ、ファミリーヒストリー「草刈正雄」を一気見できます。U-NEXTは初回31日間無料トライアル。NHKオンデマンド は別料金ですが、もらえる600ポイントで購入できます。PR

美の壺 甕(かめ)はこちらをどうぞ!

【美の壺】生きている器 甕(かめ)File 619 で紹介された場所はどこ?/草刈正雄 木村多江
NHK 美の壺「生きている器 甕(かめ)」File 619(2024年10月23日放送)。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。えんける道具店の普段使いの常滑の甕、料理家 ワタナベマキさんの甕コレクション、富田酒造場の黒糖焼酎の甕、美術陶芸家 吉川正道さんの甕、茨城 大甕神社、沖縄の厨子甕を紹介。

美の壺 2024年度(2024年4月〜2025年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!

【美の壺】2024年度バックナンバー 放送日時と出演者まとめ /草刈正雄 木村多江
NHK「美の壺」2024年度(2024年4月-2025年4月)の番組バックナンバーと放送日時まとめ。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。ゲスト出演者、紹介されたお店などをリストにしています。随時更新中。

美の壺 時を越え なお青く 藍染め File 618 内容

番組予告

▽「藍染め」最新事情!元女子プロサッカー選手から転身し世界が注目する藍染め作家。その作品とは?
▽天然の革を天然の藍で染め上げる「藍革染め」のこだわり
▽日本最古の藍染め「正藍染」。一年の間にわずか一度、初夏の間だけしか染色できない技法
▽江戸っ子の粋を今に伝える浴衣の型染「長板中型」。200年の老舗の技とは?
▽東京のヒノキを使った世界で唯一の「藍染め家具」のサステナビリティ

プロローグ

美の壺 一、伝統:受け継ぎ守られてきた色と柄

ひとつめのツボは 伝統:受け継ぎ守られてきた色と柄

千葉正一さん / 正藍染四代目 / 日本最古の藍染め技法【宮城県 栗原市】

宮城県栗原市 に日本最古と言われる藍染めの技法 正藍染(しょうあいぞめ)が残されています。
正藍染(しょうあいぞめ)は、藍の葉を自然発酵させて作った蒅(すくも)を染料にする際に灰汁(あく)のみを使用。染液の維持には麩や貝灰以外を使用しません。
似た用語で本藍染(ほんあいぞめ)と呼ばれるものもあります。本藍染 は植物の藍で作った染料で染色全般を指し、染色工程で化学薬品を使用していても本藍染と呼ばれます。

正藍染の技法は平安時代に確立、日本全国に広まったと言われています。
宮城県栗原市栗駒では自ら布を織り正藍染を施していました。
藍は虫除けの役目も果たします。
藍で染めて野良着は畑仕事に欠かせませんでした。
しかし、明治時代以降、安く手軽な染料が使われるにつれ、正藍染は衰退。
最盛期には20軒ほどで行われていた正藍染は現在 千葉家1軒のみで受け継がれています。

初代の 千葉あやの(ちば あやの)さんは正藍染の伝統技法の保持者として、1955年人間国宝に指定されました。
千葉家に代々伝わる技法は「正藍冷染(しょうあいひやぞめ)」と呼ばれ、2代目・千葉よしの さん、3代目・千葉まつ江 さん、そして4代目・千葉正一(ちば しょういち)さんへと受け継がれています。
千葉あやのさんのひ孫、千葉正一さんは元は会社員でしたが、伝統技法を絶やすわけにはいかないと4代目として正藍染を受け継ぎました。

家の裏にある藍の畑で育てているのは ちぢみ藍(ちぢみあい)という品種。
春先に種を撒き、夏に刈り取り、それをもとにおよそ半年かけて染料を作ります。
こちらは藍の葉を発酵熟成して作られた 藍玉(あいだま)には青い色のもとになる成分が詰まっています。
藍玉に木の灰と山の水を加え、常温でじっくり自然発酵させると、青い色の成分が溶け出し、正藍染の染料となります。

自然発酵を促すため、染色できる期間は気温が高くなる初夏のひとつきほどだけ。
発酵がうまく進まなければ全く色が出ないこともあるのだとか。
そうなればまた1年かけて初めからやり直しです。
この時期千葉さんは毎日 藍瓶(あいがめ)の様子を見つめます。
藍は生き物。目安となるのは泡のような 藍花(あいばな)の出来。たくさん藍花が咲けばきれいに染まる染料になった印です。

藍の色が好きだという正一さん。しかしその独特の藍の色が毎年色が出てくれるかはわからないのだと言います。
初代からの教えを大切に守って染料を作っても3年続けて全く色が出なかったことがあったそうです。
まだまだ勉強。一生勉強だと気を抜かずに染料を作ります。
今年は気候が暖かかったため、染料の発酵がうまく進みました。

千葉さんが1番好きだと言う藤の花の反物。
千葉家で代々受け継がれてきた正藍染の柄です。

名前千葉正一(ちば しょういち)
住所宮城県栗原市栗駒文字
綿麻紅梅 紺仁謹製 越後型正藍染 反物 仕立て別【送料込み】
きもの 本多屋 楽天市場店
¥ 132,000(2024/11/04 09:25時点)

野口和彦さん / 野口染工場 七代目・長板中型職人 / 江戸時代から続く藍染め技法【東京都 八王子市】

東京都八王子
染物店 野口染工場 七代目・長板中型職人 野口和彦(のぐち かずひこ)さん
江戸時代から続く老舗の染め物店です。
江戸時代になると藍染めの染料も工夫され、たくさんの生地を1年中染められるようになりました。
理由は江戸時代に起きた藍染めの大流行
木綿が普及し、それに伴い藍染めが庶民の間で広まりました。
着物や作業着に整わず、あらゆるものに藍染めが使われたのです。
中でも藍染めの浴衣は江戸っ子の粋として愛されました。
これは長板中型(ながいたちゅうがた)という技法で染められた浴衣
特に人気のあったものです。

7代目の野口和彦(のぐち かずひこ)さん
江戸から伝わる長板中型の木型で反物を作っています。
長板中型はおよそ6mの1枚板に生地を貼り付け型紙を置いて柄をつけていきます。
この時型紙がずれないようにしなくてはなりません。
大切なのは、このおよそ1mmの小さな点
それを合わせることで、柄をきれいにつないでいくのです。
最大の特徴は柄を生地の裏にもつけること。
表と寸分違わず柄を施します。

野口「こちらは両方やってあるもの
比べてもらうと白馬(しろば:染まっていない白い部分)がだいぶ違うと思います。

表と裏に柄をつけることで、藍色と白のコントラストが強調され、柄がくっきり浮き立つのです。
江戸時代中期からおよそ300年、
野口さんは受け継いできたものを何一つ変えずに、長板中型を守り続けています。

野口「日本人が持っていた技術の結晶だと思って、やり方は昔のままなんですけども全てに無駄がなく、
手間はかかるんですけども、本当に素敵なものが出来上がるのでよく考えられているなと思っています。

天日と風の力で乾かし、最後の仕上げ。
受け継ぐ人がいてこそ今に伝わる江戸の粋です。

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住所
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営業時間
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美の壺 二、天然:深く青く美しき日本の色

ふたつめのツボは 天然:深く青く美しき日本の色

品田彩来さん / NORABI 藍染め師【千葉県 大綱白里市】

千葉県大綱白里市 NORABI
藍染め師 品田彩来(しなだ あやき)さん
畑の中の藍染工房
クラウドファンディングで立ち上げた工房では伝統にとらわれない藍染め作品が生まれています。
海をテーマにした作品「海は一つ -Just One Sea-」
地球のすべての海は1つにつながっていることを描いています。
こちらは紛争「意図せずとも Unintended-」
世界で起きている紛争は決して人ごとではないという思いを込めました。

品田彩来(しなだ あやき)さん
新進気鋭の藍染め師です。
デザインはすべて品田さんのオリジナル
学生時代に学んだグラフィックの経験を生かし、自由な発想で描いていきます。

品田「生地は苧麻(ちょま)、麻ですね。
せっかく染めるならいい生地に染めたい。

実は品田さんヨーロッパで活躍していたプロのサッカー選手でした。
華やかなプロの世界に身を置く一方で、大量生産大量消費されるサッカービジネスに疑問を感じ27歳で突然引退。

品田「ある日少しでも小さな抵抗したいと思って引退してそこから何か自分ができることを探していた先に草木染めを知って、
草木染めから藍染めを勉強し始めた。

伝統的な藍染めの工房できそう学び以降は独学で研究
天然の藍で染められた布は丈夫で長持ち。
使い終わった染料は畑の肥料にもなる。
無駄がなく環境にも優しい藍染めの世界は品田さんが探し求めていた生き方でした。

柴田さんが作るもう一つの世界
それは工房の周りにある身近なもの
描いているのは近所の猫です。
自由な発想で感じたまま作品にします。
次は大作
使うのは江戸時代から藍染に使われてきた千葉県の伝統的な綿織物・上総木綿(かずさもめん)
品田さんが目指すのは持続可能で、環境負荷が少ない循環型の藍染めです。

品田「ずっと海外にいたので、外から日本がどう見えるかを見てきた。
日本が持っている技術はすごいと世界中が見ているし、
日本人が持っている昔からの技術を日本人がやるそこがすごく良いことだなと思った。

染めては全体を見てイメージを膨らましている品田さん、
どんな色と形になっていくのでしょうか?
思いついたまま自由に染め上げた品田さんの作品
「空に滲む」

名前
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定休日

原田賢一さん / enku(えんくう・縁空)染色家 / 藍染めの革製品【】

enku(えんくう・縁空)
染色家 原田賢一(はらだ けんいち)さん
手帳にカードケース、キーホルダーに財布
どれも落ち着いた良い色合いですね。
藍染で作られた革製品です。
染色家の原田賢一(はらだ けんいち)さん、
牛や馬などの革を独自の方法を使って藍で染めた作品を発表しています。
原田さんのこだわりは天然のもの
染料、革は全て天然
布の藍染めとは違う難しさと面白さがあると言います。

原田「こちらが革になるんですけど、繊維が密度があるので、ヴィンテージっぽい濃淡が生まれる。
濃いところと薄いところと布とかとは素直に均一に染まってくれる。
こういう難しいところもあれば、立体的な染めができるところも、革ならではの特徴じゃないかなと

実家の倉庫を原田さん自ら改造した工房
ここで染色をします。
藍瓶も原田さんの手作り
染料も藍の葉から発酵させた天然のものです。
染料を染み込みやすくするため、革は一度水につけてから染料の中へ浸します。
はけを使い刷り込むように革の繊維の中に染料を染み込ませていく。
染み込ませは乾かし、また染み込ませる。
それを8回から10回繰り返します。
染料に浸す時間や乾かす時間は原田さんが培ってきた経験と勘。
濃淡のある立体的な色合いを満たします。

スタイリッシュな革製品に日本の伝統柄を用いるのも特徴。
これは江戸小紋の柄を入れた型染め。
着物と同じように型紙を使って柄をつけました。

こちらは藍染めした革に天然の墨を使ってはけで縞模様(しまもよう)を入れる墨縞(すみしま)という技法です。

原田「天然の面白いところは同じ色が出ない。
分量だとか時間だとかを一緒に揃えても色が様々な出方をするというのが革も藍も天然なので、それは醍醐味というか個性を感じるところかなというふうに思いますね。

もつ人それぞれの藍があっても良い。
原田さんの自然の力をとことん引き出す情熱が唯一無二の藍染めを生み出しています。

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美の壺 三、今:主役を引き立たせる名脇役

最後のツボは 今:主役を引き立たせる名脇役

宮地洋さん / anova design / 藍染め家具の企画開発【東京都 杉並区】

東京都杉並区 anova design
藍染め家具ブランドディレクター 宮地洋(みやち よう)さん 
東京都杉並にあるマンションの共有スペース
ここにしつらえられているのは藍染め家具です。
素材はヒノキ
高級木材のイメージがありますが、
材料は皆家具として活用されないヒノキを再利用しています。
藍染め家具の企画開発をした宮地洋(みやち よう)さん
宮地さんが目をつけたのは、東京の多摩の森
そこには森を保全するために伐採されるヒノキがあります。
その多くは粉砕され、チップになるか廃棄されます。
価値や魅力があっても活用されない東京のヒノキ
宮地さんはそれを家具にしようと考えたのです。

宮地「木材としての価値はあるのだけども、活用されない木のその価値を、
藍染めの家具にすることによってより魅力的にして、人々の生活に届けられないかというところで藍染の家具を作っています。

ヒノキの家具をより魅力的にするのが藍染め
伝統的な手法で作られた染料を使います。
その仕上がりは、塗料を塗った従来の家具とは異なる質感が現れます。

宮地「藍染めを施すことで、水面のような美しさとか
木材ではあるんですけど、全く別の質感とか素材感というものを生み出せるので
その美しさというものが、木を藍染にした大きな理由かなということですね。

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田中良典さん / furniture Studio KOKKOK 家具職人 / 藍染め家具の製作【神奈川県 横浜市】

神奈川県横浜市 furniture Studio KOKKOK
家具職人 田中良典(たなか りょうすけ)さん
神奈川県横浜
藍染め家具を作る工房です。
宮地さんとともに藍染め家具を共同開発した家具職人の田中良典(たなか りょうすけ)さん
デザインと制作を担当しています。
材料となるヒノキは本来家具には使われない木材
節があったり曲がっていたり、さらにヒノキの板の大きさも様々です。
その中から家具のパーツになる木目の綺麗な部分を無駄なく切り出し組み立てていきます。
ただし家具としてしっかり機能しなくてはなりません。
組み立ての際には特に強度に神経を使います。

田中「ヒノキはどちらかと言えば、柔らかい素材。
構造とか、接合部とかを頑丈な作りにしていて、ちょっと手間がかかるんですけど、そのほうが確実に接合されて、
その後壊れることもないので、そういうものを選択しています。

組み合わせた家具はいくつもの材をつなぎ合わせたもの
木目に差があったり、色の違いがあります。
それを逆手に取りました。

田中「ヒノキは白かったり、ピンク色がかっていたり、茶色かったり、黄色かったり、個体差が非常に大きくて色のコントロールが難しくて敬遠される方もいるんです。
その時に藍染めを施すと少し差が出るだけで大きな差ではなくなりきれいなグラデーションになるんです。

ヒノキの木肌を感じさせながら深い藍の色が全体を包んでいます。
組み合わせたヒノキを藍染めがつなぎ1つの家具が出来上がりました。
サステナブルを求める時代が生んだ藍染めの新しい姿です。

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エピローグ

U-NEXT でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。虎に翼らんまんなつぞら などの朝ドラや 光る君へ鎌倉殿の13人真田丸 などの大河ドラマ、探偵ロマンス正直不動産 などの名作ドラマ、ファミリーヒストリー「草刈正雄」を一気見できます。U-NEXTは初回31日間無料トライアル。NHKオンデマンド は別料金ですが、もらえる600ポイントで購入できます。PR

音楽 BGM

ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。

オープニングテーマ

オープニングテーマArt Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。

番組内 楽曲

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