NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺 スペシャル「日本のお祝い」
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーション(語り)は俳優の 木村多江(きむら たえ)さんです。
X(旧 twitter)(@kininarutips)でも新作・再放送の放送日にお知らせしています。
NHK BS(BS101チャンネル)
初回放送:2026年1月1日(木)19:30~21:00
再放送 :
BSプレミアム4K
初回放送:2025年12月30日(火)19:30~21:00
再放送 :
U-NEXT でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。美の壺 も見逃し配信中。
虎に翼・
らんまん・
なつぞら などの朝ドラや
光る君へ・
鎌倉殿の13人・
真田丸 などの大河ドラマ、
探偵ロマンス・
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美の壺 2025年度(2025年4月〜2026年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!

美の壺 スペシャル 日本のお祝い 内容
▽正月の楽しみのひとつ「雑煮」。人気料理研究家・大原千鶴さんが白味噌(みそ)仕立ての味を公開!
▽小笠原流「鏡餅」の奥深い世界
▽「産着」「七五三」「ひな人形」「鯉(こい)のぼり」に宿る匠の技!
▽神前結婚式で“長い取手の酒器”が使われる理由とは?!
▽金彩工芸士が生み出す、極上の「白無垢(むく)」
▽2日かけて炊き上げる豊かな味わいの「赤飯」
▽俳優・木村多江は、金沢に息づくさまざまな祝いの文化をご案内!!
プロローグ
美の壺 一、正月:新年をことほぐ白き世界
ひとつめのツボは 正月:新年をことほぐ白き世界。
日本各地の雑煮と起源
元旦、新しい年の始まりはそれぞれの場所でそれぞれの形で祝います。
そんな正月の祝いの食卓に欠かせないのが 雑煮(ぞうに)。
一口に雑煮といっても地域や家によってさまざま。
仙台では焼いたハゼで だしをとるのが特徴。
鶏肉と小松菜をすまし汁でいただくのは名古屋。
主に九州で見られるのはブリ雑煮。
雑煮の最も古い記録が室町時代の料理書「山内料理書」に残されています
公家の間ではおもてなし料理として、上級武士の間では祝いの料理として、正月以外でも食べられていたと伝えられています。
大原千鶴さん / 科理研究家 / 白味噌仕立ての雑煮【京都】
京都在住の料理研究家、大原千鶴(おおはら ちづる)さん。
老舗旅館に生まれ育った大原さん。
子どもの頃から正月に味わってきたのは 白味噌仕立ての雑煮。
今回 その大原家に伝わる雑煮を作っていただきました。
野菜の切り方一つにも祝いの席にふさわしい心遣いが込められています
大根 はいちょう切りの角を1か所落とした 扇面(せんめん)という形にします。
扇が広がった形で縁起がいいとされています。
海老芋(えびいも)はこれも縁起の良い 亀甲(きっこう)の形に。
いつもの切り方と少しだけ変え、祝いの気持ちを込めます。切り方が丁寧に見えると食べる方もうれしい気持ちになるのではとの心遣いです。
具材は大根と海老芋の2種類のみだという大原さんの雑煮へのこだわりは「白」。
大原さんが育った場所はお正月に雪が降るところ。外の雪景色と白味噌の雑煮の「白」がリンクしてきれいな景色の思い出があるのだとか。
白味噌は麹が多い甘口の 西京味噌(さいきょうみそ)。
そのまま鍋に入れ、一度冷ました 昆布だし で丁寧に溶いていきます。
普通の味噌雑煮は だしに対してが10%ぐらいの重さですが、これは30%ぐらいと味噌が多め。
だしもカツオは使わずに昆布だし。カツオは香りが強くまったりした感じを邪魔してしまいます。
味噌が溶けたら火にかけ、弱火でコトコトと2~3分、長くても5分くらい。トロッとしておいしくなります。
沸騰直前に下茹でした具材を加えます。
餅は 丸餅。
餅を 水 の中に入れ、中からふっくら火を通すために水から茹でていきます。
4分ぐらいで柔らかくなってくるので、火を止めて余熱で中まで火を通します。
器には大根を敷き、餅がつかないように工夫。
その上にトロトロの丸餅を2つ。海老芋と大根。
餅、大根と海老芋、白味噌が一体となった雑煮の完成です。
トロッとした餅とトロッとした白味噌を合わせるのがご馳走なのだと大原さん。
座ってこたつに入り、雪見障子を上げて眺める雪景色。
雪がふぁっと降ってくるその中で白味噌を食べるのが本当に贅沢な気持ちだったと子供の頃を振り返っていました。
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門松・しめ飾り・鏡餅
新年を迎えるために調えられるさまざまな しつらえ。
門や玄関に飾られる 門松(かどまつ)。
しめ飾り(しめかざり)は地域によってさますまな形が見られます。
家の中に欠かせないのは 鏡餅(かがみもち)。神様が宿るとされる場所です。
重ねた丸い2つの餅は月と太陽。
福が重なり円満に年を重ねていくという願いが込められているといわれます。
関西地方などでは鏡餅に 干し柿 を飾ります。
両端に2つずつ まん中に6つで、「ニコニコ 仲むつまじく」という意味があるのだとか。
京都市西京区。400年以上続く旧家では「おくどさん」と呼ばれるかまどに三段重ねの鏡餅を供えます。
かまどの神を祭って、正月三が日かまどを休ませます。
小笠原清忠さん / 小笠原流三十一世 / 鏡餅
室町時代から続く 武家作法の流派・小笠原流(おがさわらりゅう)。
鏡餅 は12月28日に床脇(とこわき)に飾るのが習わしです。
解説してくれたのは小笠原流三十一世 小笠原清忠(おがさわら きよただ)さん。
代々受け継がれてきた鏡餅の飾りつけ。
三宝の上に ウラジロ、ゆずりは を敷き、餅 を重ね、昆布、ホンダワラ という海藻、たいだい、伊勢海老。
それぞでに意味があります。
ウラジロ を置くのは、裏が白いということで「身の潔白」を意味します。
ゆずりは は「交互に譲り合っていく」ということは「代々家がつながる」という意味。
また 昆布 は「喜ぶ(よろこぶ)」ということから武家社会では大変大切にされていました。
だいだい は冬になると熱して黄色くなる、また春になると緑になる、翌年の冬になるとさらに一回り大きくなってだいだい色に熟してくることから「代々大きくなる」ということで祝い事で使われました。
伊勢海老 は背が丸くなるまでということで長寿を祈ります。
御神宝(ごしんぽう)の鏡に似ていることからその名がついたといわれる鏡餅。
小笠原流ではその鏡にちなんだ意味がありました。
武家の男性はよろいがいちばん大切。
一方、女性にとって大切なのは普段使っている鏡。
正月の三が日は鏡を休ませるという意味で鏡の前に鏡餅を置いているそうです。
連綿と受け継がれてきた正月の伝統です。
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美の壺 二、成長:手仕事に宿る未来への願い
ふたつめのツボは 成長:手仕事に宿る未来への願い。
山口果歩さん / 繍屋春駒 京繍職人 / 日本刺しゅうの産着と被布【京都 上京区】
京都市上京区 の 繍屋春駒(ぬいやはるこま)京繍職人 山口果歩(やまぐち かほ)さん。
着物が好きで二十歳の頃から一年を通して毎日着物で過ごしています。
京繍(きょうぬい)は京都で受け継がれている日本刺しゅう。絹糸を巧みに使い分け、華やかで精緻な柄を生み出します
山口さんが見せてくれたのは3年前に手がけた 産着(うぶぎ)。生まれてくる我が子のために、出産の一週間前まで縫い続けて完成させました。友禅の上から刺しゅうをしています。
産着は平安時代魔除けとして絹の布を赤ちゃんにまとわせる風習が起源ともいわれています。
江戸時代には宮参りが定着。さまざまな柄が施された礼装用の産者が登場しました。
山口さんの長女はうさぎ年に生まれたので、うさぎをメインに宝箱とおもちゃ箱をひっくり返したような柄。
抱っこしてかけたときや衣桁(いこう)にかけたときに美しい柄ゆきを意識して図案を考えたそうです。
真ん中には我が子をイメージした うさぎ。
その両脇には山口さんの干支である馬と遊ぶ うさぎ。
さらに夫の干支である蛇と遊ぶ、うさぎ。
家族が仲良く元気に暮らせるようにという願いです。
「無事に生まれてくれるかな」とか「どんな子が生まれてくるんだろうか」と考えながら一針一針心を込めて製作しました。
この日 山口さんは新たな着物の制作に取りかかっていました。
娘の3歳を祝う七五三用の 被布(ひふ)と呼ばれる着物の上に重ねる上着です。
あえて太い糸を使うことで子どもらしいおおらかさを表現します。
刺しゅうしていたのは 鈴 の柄を。鈴は魔除け、あるいは幸せを呼び込むという意味があるので、そういった願かけも込めて選びました。
山ロさんはさまざまな京繍の技法を使います。
金駒縫(きんこまぬい)は和紙に金箔を貼り付けた金糸をとじ糸で留め付けながら縫い進めます。
梅の花びらが華やかにあでやかになりました。
11月。京都市北区 の 今宮神社 で 七五三。
七五三は子どもの成長を祝い健康を願う平安時代から続く伝統です。
家族3人の祝いの日。山口さんの思いを込めた被布(ひふ)が彩りを添えます。
山口さんはもうすぐ第二子が誕生します。
うま年に生まれるので、うま にちなんだ産着を作ろうと考えています。
どんな子が生まれるのかなということを想像しながら楽しみに作っていると語っていました。
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平安泉匠さん / 秀光人形工房 ひな人形職人 / 手作りのひな人形【千葉県 市川市】
千葉県市川市 の 秀光人形工房(しゅうこうにんぎょうこうぼう)で作られていたのは ひな人形(ひなにんぎょう)。
全て職人による手作りです。
ひな人形職人の 平安泉匠 さんは「機械で作るところは一個もない。こんな細かいのは機械ではできない」と語ります。
こちらの工房で作られるのは西陣織の精緻な十二単のひな人形です。
丁寧に重ねられた衣装は豪華絢爛。
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金田鈴美さん / 秀光人形工房 三代目金龍 / 鯉のぼり【千葉県 市川市】
秀光人形工房(しゅうこうにんぎょうこうぼう)では 鯉のぼり(こいのぼり)も製作しています
作業を見せてくれたのは江戸手描き鯉のぼり職人の 金田鈴美(かねだ すずみ)さん。
この工房で育った金田さんは子どもの頃から鯉のぼりが大好きだったといいます。
池の中にいる鯉が空を舞っているのが不思議で面白く、心が躍ったのだとか。
美術大学で彫刻を学び、卒業後は実家の工房へ。
目指したのは金田さんが幼少の頃まで活躍していた、江戸手描き鯉のぼり職人、初代 川尻金龍(かわじりきんりゅう)でした。
初代 川尻金龍の鯉のぼりは顔がデフォルメされていて、とても親しみやすい。
色も鮮やかで、くっきりはっきり色鮮やかに見えるのが特徴。いかにも鯉のぼりらしいと感じ、それを継ぎたいと考えました。
金田さんは僅かに残された川尻金龍の作品から 独学で学び、三代目金龍として手描き鯉のぼりを製作しています。
鯉のほり作りは毎日、色の調合から始まります。
毎日調合するのはその日の天気に合わせるため。布の中に含まれる水分の量で染料が滲むことがあるからです。
綿の生地に筆で直接描いていきます。
「最も難しいのは 鱗(うろこ)の表現」と言う金田さん。
やわらかい筆なので筆圧がそのまま布に表現されてしまいます。
はけの跡が
綿の生地に筆で直接描いていきます。
「最も難しいのは 鱗(うろこ)の表現」と言う金田さん。
やわらかい筆なので筆圧がそのまま布に現われてしまいます。
はけの跡が鱗の放射線状に伸びる模様を表現できるように。一筆一筆異なる表情を作り出します。
江戸手描き鯉のぼりの一番の特徴は鱗に金色を乗せること。
空で泳いだときに、金が入っていると水の中を泳いでいる本物の鯉みたいに鱗がきらめきます。
子どもの成長を祝い、幸せを願う手仕事がありました。
美の壺 木村多江の金沢探訪
ナレーションの 木村多江(きむら たえ)さんもお出かけ。独自の祝いの文化が根づく 金沢 へ。
馬場華幸さん / 懐華樓 女将 / お茶屋の祝いの室礼と花嫁のれん【石川県 金沢市】
加賀百万石の城下町 金沢。
加賀前田家の工芸振興で、さまざまな技が培われたこの地には、独自の祝いの文化が根づいています。
最初に訪れたのはひがし茶屋街の最も古いお茶屋の一つ 懐華樓(かいかろう)。
女将の 馬場華幸(ばば はなこ)さんが出迎えてくれました。
黒留め袖
馬場さんが着ていたのは格式高い 黒留め袖(くろとめそで)。
お茶屋では正月や祝いごとでは黒宿め袖を着ることが決まっているそうです。
この日は先代から譲り受けた黒留め袖を着用されていました。
輪島塗の階段
懐華樓の中を案内してもらいました
輪島塗 の朱漆の華やかな 階段。
器に使われることが多い輪島塗ですが、階段というのは大変珍しいようです。
加賀群青の部屋
加賀群青(かがぐんじょう)の部屋。
青は江戸時代、加賀藩前田家のみに許された高貴な色。
金沢は昔から格式の高い部屋は加賀群青という色を壁に入れてる習慣があり、この加賀群青の部屋も貴賓室。加賀群
畳のへりも壁に合わせて群青仕立てに。
床の間は「寿」の軸が飾られてめでたい感じ。
お正月や婚礼に使われるときに飾るそうです。
花嫁のれん
金沢に伝わる珍しい祝いの品・花嫁のれん(はなよめのれん)を見せてくれました。
金沢では娘が嫁に行くことが決まったときに、両親が加賀友禅の作家のところに伺い のれんを作って持たせる習慣があります。
新郎の家の仏間に飾り、花嫁のれんをくぐって仏壇にお参りをする。一生に一回しか使わないのだとか。
結婚祝として、あつらえられてきた花嫁のれん。江戸時代からの伝統です。
飾られていたのは馬場さんの娘が幼い頃に誂えた花嫁のれん。
御所車と様々な花が細かい加賀友禅で描かれています。
馬場さん自身の花嫁のれんは自宅に飾ってあります。
結婚の際に両親から贈られた思い出の のれん。
親の思いが受け継がれる金沢の祝いの文化です。
朱の大広間
続いて案内されたのは 朱の大広間。
壁一面の朱色は厳しい冬を明るくし、客をもてなすためのしつらえです。
床の間に飾られていたのは 松竹梅の軸。正月やおめでたいときにかけるそうです。
懐華樓さんではさらにいろんな柱に 松竹梅の水引 をつけるといいます。
芸妓・美紅さんの舞
芸妓の 美紅(みこう)さんが「宝舟」を舞ってくれました。
芸妓の舞も祝いの席ならではのものがあります。
「宝舟」は正月に七福神の宝舟がやってくるというめでたい唄です。
着物は黒留め袖のお引きずり。式典や年中行事など特別な時にしか着ない着物です。
一つ一つが丁寧で、一つ一つが華やいでいて、そんなおもてなししていただくとこちらも気持ちが華やぐ。
すごくいい文化だな、と語る木村多江さんでした。
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津田宏さん+津田さゆみさん / 加賀水引 津田 / 加賀水引【石川県 金沢市】
続いて訪ねたのは 水引の工房です
祝儀袋などに用いられる水引
人と人を結び付ける、ほどきにくいことから未開封であるという意味でもあります
和紙をこより状にして水のりで引くことからその名が付いたといわれます
加賀水引 津田(かがみずひき つだ)
水引工房四代目 津田宏(つだ ひろし)さん
多江「これは何をやってらっしゃるんですか?
津田「あ 今ですか?これはですね、キャンドルホルダーを作っている
多江「これ全部 手作業ですが?
津田「そうですね、これ全部手作業ですね
機械でできることはありません。大変な作業です
多江「ほんとですねえ。結んでいるところ初めて拝見しました。
津田「あ〜 でしょうね。こういった作業をやっているところは日本でも珍しいと思いますよ。
水引自体がものを結んで自分の気持ちを伝えるっていう本来の日本の文化であって、それを基本的に守っている。
あっ今ね 実際に本当に水引の本来の意味の結びをうちの家内やってますので見てもらえれば、いちばん。
津田さゆみ(つだ さゆみ)さん
贈答品に水引を結んでいました
さゆみ「水引は一度癖をつけると戻らない
中身が紙なので、お相携さんのちょんまげとかに使う
多江「もう出ま上がってきましたね。
さゆみ「そうですね。
多江「これは結び方は?
さゆみ「こへが、より返し
多江「より返しっていう結び方なんですね。
なんか 波を打ってるような。
さゆみ「うんそうなんです。え~っと、波がよって返すよって返す
多江「あだからよけい おめでたい。
さゆみ「そうそう。何回でもいいことがあるように
多江「そういうことなんですね。
やっぱり その、くださる方の気持ちも含まれて ね、贈っていただいてるような気になりますね。
水引は結び方によって意味が異なります
あわじ結び
あわじ結びは簡単にほどけないことから、末永く続くように」との意味があります
結び切り
同じことが二度と起こらないようにという結び切り
この工房では水引を独自に発展させ立体の細工を生み出しました。
ひざを使い僅かに盛り上げて形を作っていきます。
出来上がったのは立体の鶴
かつて 平面だった水引ですが、今では立体造形へと広がっています。
こちらは あわじ結びを応用した亀。
工房の初代、津田左右吉つだそうきちです
水引を立体に出来ないかと試行錯誤を重ね、図面に残しました。
こうした 立体の水引細工は「折型」と呼ばれる包み紙を立体にすることから始まったといいます
包みと文字 水引細工が一体となって贈る人の思いが形になります。
水引細工私も挑戦することに。
基本の あわじ結び
5本の水引をそろえて手で押さえながら結んでいきます。
まずは大きな形で作ります。
徐々に小さく整えます。
5分ほどで完成。水引が隙間や曲がりもなく美しくそろっています。
津田「ここで折ります。
こういうふうに持ってきて、金をちょっと軽く こうして折り曲げます。
こうして・・、左手がフリーになるように。
このまま先っちょに持って手前の上におきます。
右手がフリーになりましたよね。
多江「ちょっと待ってください。
それぞれが私に反発してきます。
一本一本が。ははは…
5本をそろえるのがとにかく大変。
出来たのは結びの形。
ここから 水引をそろえながら徐々に小さく結んでいきます。
30分かけて なんとか形になりました
多江「なんか自分がこう 何かお祝いごととか人に何か悪いを届けるときに、もちろん、言葉も大事だし、思いも大事だけど、こういうものが、水引みたいなものがその思いを手伝ってくれて、さらに自分自身のいも膨らんでいく。
ほんとに思いを込めて、一回立ち止まって 自分も立ち止まって、あの相手の立ち止まって考える時間を一緒に祝福して、立ち止まっていくっていうことって、すごくすてきなことだなって思いました。
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美の壺 三、婚礼:喜びに寄り添う
みっつめのツボは 婚礼:喜びに寄り添う。
遠藤妃奈乃さん / 芝大神宮 / 神前結婚式【東京都 港区】
東京港区の芝大神宮
神前の結婚式です。
江戸時代 親族が集い 祝いの言葉や誓いを交わす儀式が起源とされます。
明治時代 後の大正天皇が皇居内の神前で結婚の儀を執り行ったことから、現在の形が広まったといいます
巫女による豊栄(とよさか)の舞。
夫婦の門出を清め、祝福します。
続いて夫婦の誓い 三献(さんこん)の儀。いわゆる三々九度(さんさんくど)です。
最初の盃は出会いと巡り合わせ。
そして先祖への感謝を映す過去。
続いて 共に歩む日々を確かめ合う現在。
最後は、これから築く家庭の安泰と子孫の繁栄を願う未来。
御神酒おみきを静かに注ぐのは、「提子(ひさげ)」と「長柄銚子(ながえちょうし)」と呼ばれる酒器です。
古くから酒を献じるために用いられ、平安時代には現在の形になったといわれます。
亀や松、そして鶴。手彫りの技で浮かび上がる吉祥文様が祝福の心を添えます。
水引が結ばれ ハレの日をことほぎます。
権禰宜
遠藤妃奈乃さん
「こういったふうに持つものになります。
でここが長い理由なんですけど、着物のふところが注ぐときに引っかからないようにという意味もあります。
神様にお供えされた酒なので尊いものとして扱うっていう意味でちょっと適度な距離感が保てるようにという意味合いもございます。
祝いごとで使われる古いものを神前結婚式に使うことで、式全体がめでたいことという意味があるかなと思います。
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三宅誠己さん+三宅里美さん+三宅大夢さん / 三宅工芸 / 白無垢【京都市 右京区】
神前結婚式の象徴の一つ
白無垢(しろむく)です
室町時代 武家の婚礼衣装として生まれ、清浄 純潔などの意味があると伝えられています。
京都市右京区 三宅工芸(みやけこうげい)
金彩工芸士 三宅誠己(みやけ のぶみ)さん、妻・三宅里美(みやけ さとみ)さん、息子・三宅大夢(みやけ ひろむ)さん
京都市右京区、婚礼用の着物を手がける工房があります
金彩工芸士の三宅誠己さん。婚礼衣装専門の工房におよそ30年勤めたあと独立。
色打ち掛けや白無垢を製作しています。
こちらは色打ち掛け。
金粉や銀粉、箔や螺鈿などを用いて模様を描き出します。
輝きの濃淡を重ねることで奥行きと気品が生まれます
三宅さんが製作した 白無垢です。
一見すると真っ白ですが、近づいてよく見ると
さまざまな花が浮かび上がります
三宅「光る材料 いろんなものを使うことによって、見方 目線を変えると いろんな光り方をそれぞれ違うようにする見せ方。
ですから平面ですけど 奥行きがあるような。
手前のものは手前に見えて、奥のものはより一層奥に見えるような。
平面だけど 立体的に見せられるか、かなり追求しています
あくまでも白は白ですし、パッと見たら真っ白なんですが、見ているといろんな花が重なって描いてある。
隣の花とは違う色味の白。白の中でどれくらいの違いを出せるかっていうことをかなりしてますので。
こちらは少し色を加えたもの
三宅「自無垢だけど遊び心を入れるような。
差し色に赤い箱を花の芯などに使ったり、
シルバーも結構使っている。
模様だけではありません
三宅「裏地を赤にしている。しかも表生地と裏地の間にむを本来入れるがそれもあえて入れずに
裏地の赤い色を表地の生地が透かせるような。
昔の十二単のようなかさねの色目みたいなことをこちらはちょっと遊び心でやってるんですよ。
花嫁さんがお召しになってすごく幸せな気持ちをより一層幸せになっていただきたいのと、
こんな白無垢を着ている高揚感といいますかそれをいかに持っていただくかということを意識して作っています
里美さん、大夢ひろむさん
白無垢の製作は家族3人で行っています
妻の三宅里美(みやけ さとみ)さんが担当するのは「縁蓋(えんぶた)」と呼ばれる切り抜き。
絵付けした生地にテープを貼り 金彩を施す部分を丁寧に切り抜いていきます
息子の三宅大夢(みやけ ひろむ)さんです
切り抜いた柄にのり引きをしていきます。
均一に塗ることで美しい金彩に仕上がるのだといいます
実は大夢さん2年前に結婚。
父と共に手がけた白無垢を妻がまといました
大夢「まあ なかなか感慨深いものがありました。貴重な体験をさせてもらいました
(白無垢)は日本ならではでもありますし
日本が誇れるものでもあるので好きです
いよいよ金彩を施します
三宅「今までもオリジナルで2着作っていて
その前も数えきれないくらい作っているんですけど、今回また少し違うものを作りたくていろんな新しい試みもしている
柄がそれぞれを全部違えていまして、違えてるけどあまりガチャガチャしないように
例えばいちばんこの中では目立つこの2つだとすると、花びらの間についている筋、筋の部分に生地を見せるようにしている。
それに対してこちらは、白い箔を貼り付けるようにしてある
同じようですけど 表現方法をいろいろ変えている
柄の上に箔を重ねます
三宅「特殊なオーダーで作ってもらっている箔。銀じゃないんです。限りなく白っぽい銀。
銀って 光ってるときは銀ですけど、銀の箔がハレーションを起こしてないときって黒く見えるんですよね 陰になると。
ですからあくまでも白っぽい白金のような材料わわいろんなところからチョイスしています
細かさや色合いの異なる粉を使い分けていきます
花びらの外側と真ん中で粉を変え、繊細なグラデーションを描き出します
三宅「さっきよりも一段落としている粉でグラデを入れて
花一つ一つ僅かに表情を変えて奥行きを生み出します。
完成までにおよそ5か月。
花嫁の喜びを華やかに支える白無垢です。
三宅「白無垢はあくまでも白なので、あまり白から離れると自無垢じゃなくなってしまう
自無垢は難しいけど喜びあります
作品を目指しているというよりも、花嫁さん・家族の方がどれぐらい喜んでくれるかということが基本ですね。
どこにもないもの、誰も着ていなかったものを常に作りたいなと思います。
白無垢が紡ぎ出す日本の祝いの形です
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美の壺 四、赤飯:赤で彩る祝いの形
最後のツボは 赤飯:赤で彩る祝いの形。
海部やをとめさん / 籠神社(このじんじゃ)/ 祭祀の赤米【京都府 宮津市】
祝いの席に欠かせない赤飯
邪気を払い 幸せを呼び込む食べ物とされています
権禰宜
海部やをとめ さん
日本三景の一つ、天橋立を有する 京都府宮津市
奈良時代に建立されたとされる籠神社(このじんじゃ)です
毎年11月23日に行われる新嘗祭にいなめさい
その年の収穫に感謝をささげる最も大切な祭祀(さいし)の一つです
神社では野菜や果物 魚のほか赤飯の起源といわれる米を神に供えます
白米と共に奉納されるのは日本で古くから伝わる米の一つ赤米(あかごめ)
豊受大御神とようけのおおみかみが、この地に赤米をもたらしたと伝えられています
海部「赤米っていうお米の赤い色というのは太陽をイメージする色であったり、魔除けになる 大変力があるものと古代の方が信じておられたという文化が基礎にあったのではないかと思います
赤米がやがて もち米へと移り変わり、現在の赤飯につながったといわれています
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四井千里さん+四井真治さん / 生活庭園研究家 / ささげの赤飯【山梨県 北杜市】
山梨県北杜市(ほくとし)
四井千里(よつい ちさと)さん 真治(よつい しんじ)さん夫妻です
この日は自分の畑で収穫。みどり豆という、ささげの一種。
日本では古くから栽培され、あずきと並んで
赤飯に用いられてきました。
四井「ささげで赤飯を作るのがうちの家族のこだわりというか。
あずきじゃなくてささげを使うっていうのではいってきました。
今年は夫のお父さんが豆を送ってきてくれて、夫がまいていてくれて
「何の豆?」って聞いたら「ささげだよ」って
じゃあ赤飯できるっと思って、今回 赤飯を作ろうかなと思いました
祖父 渡邉勝義、祖母・キン
千里さんが子どもの頃
祖父が行ってくれた思い出の赤飯です
四井「母も本当に赤飯をよく作る人だった
母方の祖父が庭先で外にかまどをそのために作って、外かまどでちゃんと炊いてくれるっていうのが私の中の思い出なので
江戸時代、ささげは煮崩れしにくいことから
縁起が良いとされ、武家社会で赤飯に使われるようになったと伝えられます。
丁寧に、一つーつさやから取り出します
およそ1時間あく抜きをしたあと40分ほど煮ます
もち米と合わせます
このまま一晩
四井「赤ければ赤いほどいいのかなと思ったんですけど、それはやっぱ 雑味が出た赤みたいなのでそういう赤じゃない、ほんのりっていう 赤っていうよりもちょっと色がついたかなぐらいの。
蒸し上げるのは 外かまどです
ー晩漬け込んだもち米とささげ。僅かに赤みを帯びています。
外かまどで蒸し上げる赤飯。
千里さんのこだわりです
四井「たぶん火のはいり方も違うし
香りも木を使ったりするので違う。
たぶんあの時の香りとか ガスと違うので、たき火(かまど)でやってくれた味を小さい頃から知っているから、今こういうのを食べるとまたおいしいと思える
およそ15分蒸したところで 色ムラを防ぎ
全体に火が通るよう 混ぜます
ささげの煮汁を加えて、色合いを整えていきます
同じ作業を繰り返し、およそ40分
収穫から2日かけて赤飯が出来上がりました。
重箱に盛りつければ一層晴れやかに
ほんのりとした赤みは上品さを漂わせています
しんじ「やっぱ豆の味があずきと違って。
こう、大きいから濃いよね。
四井「祖父が作ってくれた味を思い出します。
香りもいろんなもの 五感で当時感じていた。
すごい感動して食べていたわけじゃない 小さいときは。
でも大人になっていろんな苦労とか分かるとより一層おいしく。あと感謝が今すごいできるようになる
作り手の思いが祝いの食卓をより豊かにしてくれます
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エピローグ
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音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
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