NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「うるわしの漆」File 521
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーション(語り)は女優の 木村多江(きむら たえ)さんです。
最新エピソード 美の壺 File 609「出雲」 もどうぞ併せてご覧下さい。
BSプレミアム(2023年11月30日まで。2023年12月1日から NHK BS(BS101チャンネル) へ移動)
初回放送:2020年12月11日(金)19:30~20:00
再放送 :2020年12月19日(土)06:45〜、2022年5月7日(土)06:45〜
2022年5月13日(金)12:30~、2023年10月18日(水)06:45〜
BS4K(2023年12月1日から BSプレミアム4K へ名称変更)
初回放送:2020年12月11日(金)19:30~20:00
再放送 :2020年12月14日(月)16:00~、2020年12月18日(金)09:00~
2022年5月7日(土)06:45〜、2022年5月12日(木)23:00〜
2023年10月18日(水)06:45〜
Eテレ
再放送 :2022年11月13日(日)23:00~、2022年11月16日(水)05:30~
でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。 U-NEXTらんまん・
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美の壺 お椀(わん)はこちらをどうぞ!
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美の壺 うるわしの漆 File 521 内容
▽ユネスコ無形文化遺産決定!美と実用を兼ね備えた「漆」
▽シェア2%、希少な国産漆の質の高さに迫る
▽岩手県浄法寺町・天台寺の御山御器。「漆の一滴は血の一滴」漆かき職人に伝わる言葉
▽輝きも音も上質なスピーカー。完成は100年後!?床も壁も漆の家~福井県鯖江市
▽尾鷲山師の相棒、強さを誇る漆のまげわっぱ・驚きの使い方とは?
▽江戸から現在、そして未来へ続く技のリレー・日光東照宮
プロローグ
妻の断捨離で捨てられるものをチェックしている草刈さん。
時々大事なものが交じっていたりしますからよく見ておいてくださいね。
美の壺 一、命:生きている森の滴
ひとつめのツボは 命:生きている森の滴。
浄法寺 / 天台寺 / 浄法寺塗の起源【岩手県 二戸市】
岩手県二戸市(にのへし)浄法寺(じょうぼうじ)は古くから 漆(うるし)の産地として名高い町です。
奈良時代の開山とされる 天台寺(てんだいじ)。あじさい寺とも呼ばれています。
地元の人が「御山(おやま)」と親しむ古刹に 御山御器(おやまごき)と呼ばれる 漆塗りの器 が伝えられています。
天台寺は瀬戸内寂聴さんが住職を務めていたことでも知られています。
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御山御器(おやまごき)と呼ばれる飯わん、汁わん、お菜(おさい)のわんは僧侶たちのため地元で採れる漆で作ったのが始まりとされています。
素朴なふだん使いの器はやがて庶民に広まり、浄法寺塗(じょうぼうじぬり)と呼ばれる漆器の起源となりました。
名前 | 天台寺(てんだいじ) |
住所 | 岩手県二戸市浄法寺町御山久保33 |
電話 | 0195-38-2500 |
WEB | http://www.tendaiji.or.jp/ |
営業時間 | 4/1-10/31:8:30〜17:00 11/1-3-31:8:30〜16:00 |
定休日 | なし |
浄法漆のお椀。
山崎菜見子さん / 浄法寺塗 漆かき【岩手県 二戸市】
日本国内で使用される漆のうち国内産はわずか5%足らず。その国内産の漆の7割が浄法寺で生産されています。
紹介されていたのは浄法寺の町の山にある 漆林(うるしばやし)。20年ほどかけて育てた漆の木が並びます。
漆を採るのは6月から10月にかけて。
漆は漆の木が出す樹液。それを集める仕事を 漆かき(うるしかき)といいます。
漆かきを見せてくれたのは 漆工房 やまなみ の漆掻き・塗師 山崎菜見子(やまざき なみこ)さん。
山崎さんは短期大学の伝統工芸の授業で漆に触れたことをきっかけに興味を持ち、漆の道に進むことを決意。短大卒業後は安代町漆器センター(現・安代漆工技術研究センター)の研修生となり漆を一から学びました。その後、番組でも紹介されていた 滴生舎(てきせいしゃ)に 塗師(ぬし)として勤務。
2013年に独立し 漆工房 やまなみ を開業。2015年からは 漆掻き(うるしかき)も自ら行いたいと日本うるし掻き技術保存会が行う長期研修を受講して漆かき職人の仕事もするようになりました。
通常は分業して行う「漆掻き」と「塗師」の2足のわらじを履いて漆に向き合っています。
漆を採取するには、皮取りカマで幹の皮を削る「カマズリ」を行ってから漆カンナで幹に傷を付けます。
漆かきにはある掟があるのだとか。
幹に最初につけるチョンとした短い傷はこれから樹液を頂きますというご挨拶。
一気に傷を伸ばすと木が弱るのでひと夏をかけて少しずつ長い傷をつけていきます。
樹皮を一息に削り中心に細い傷をつけるとじわじわと樹液がしみ出してきます。
これが漆。
傷をつけた木は3~4日休ませ元気が回復するのを待つのだそうです。
木も生き物なので暑いと漆が出なかったり、やり過ぎると弱って漆が出なくなったり。
にじみ出た樹液をヘラでかき取ります。これが漆かきと呼ばれるゆえんです。
一本の木から採れる漆はひと夏でほんの200ccほど。とても貴重なものです。
長年 漆掻き職人たちが伝えてきた言葉「漆の一滴は血の一滴」からも伺えるように樹木の命の滴をいただいているのです。
集めた漆は木くずなどのゴミを濾し取りできあがったのが 生漆(きうるし)。
生漆は桶の中で2週間ほどかけて発酵します。まるでお味噌の仕込みのようです。
国産浄法寺漆で塗られた和桜のお箸。子供用から大人用まで6サイズあり。
小田島勇さん / 滴生舎 塗師 / 浄法寺塗 【岩手県 二戸市】
発酵が落ち着いた 生漆(きうるし)は漆塗りの職人・塗師(ぬし)のもとへ。一般的には漆を問屋から仕入れますが、浄法寺の塗師たちは掻いた人から直接購入して自分で精製するのだとか。
紹介されていたのは 滴生舎(てきせいしゃ)。工房とショールームから構成されていて、浄法寺漆を使った漆器や漆芸品の製作、さらに展示販売する施設です。
若い職人の育成や浄法寺塗の広報、工房見学・ワークショップなど幅広い業務内容。
滴生舎の建物は二戸市の所有。若い職人たちは個人事業主の立場で市と契約を結び、委託料を受け取りながら修行を積む。契約期間は1年単位で最長で3年。漆掻き・塗師の 山崎菜見子(やまざき なみこ)さんも滴生舎で修行されました。
浄法寺塗の特徴はすっきりとシンプル。毎日使っても飽きの来ない器です。
浄法寺の漆で塗られる朱色の器はどうやって生まれるのでしょうか?
滴生舎 塗師(ぬし)の 小田島勇(おだしま いさむ)さんは若い職人の指導役も務める傍ら自らの作品も制作しています。
小田島さんが製作工程を見せてくれました。
先程の生漆をさらに1年寝かせたものはとろ~っとした感じになって最後の仕上げ塗りする時は非常に塗りやすい状態になってるのだとか。
まずは漆に ベンガラ(酸化第二鉄)を加える作業。
生漆を温めて水分を蒸発させた均質で透明度の高い漆を準備し、朱色のもとになるベンガラ(酸化第二鉄)に加えます。
漆をベンガラになじませるように練り、ベンガラの粒子を細かく滑らかにするためにさらに床で練ります。
漆を少しずつ加えて下準備完了。
生漆で一度塗り固めたお腕に薄く均一にベンガラの漆を塗っていきます。
塗っては乾かすを繰り返すこと7回。
塗り重ねることで器はだんだん滑らかな手触りに。
漆は塗り終わったあとも変化してゆく魔法の塗料なのだとか。
木のぬくもりに加えて漆のぬくもりも感じるという小田島さん。
漆器は触った時にしとっりとして、ずっと使っていくとだんだん変化して艶が出て色も変わってきます。
経年変化してもしとっりする手触りがすごく心地いいのが漆器の魅力。
使えば使うほど艶が増し手になじむ不思議の器。漆が生きている証しです。
名前 | 滴生舎(てきせいしゃ) |
住所 | 二戸市浄法寺町御山中前田23-6 |
電話 | 0195-38-2511 |
WEB | https://urushi-joboji.com/ |
営業時間 | 水〜月:8:30~17:00 |
定休日 | 火曜・年末年始 |
こちらは うるみ工芸の浄法寺塗。
美の壺 二、艶:輝きが奏でるハーモニー
ふたつめのツボは 艶:輝きが奏でるハーモニー。
渡邉勝さん / クリプトン(KRIPTON)/ 漆塗りスピーカー
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/2d0c37e9.572ca22c.2d0c37ea.341033c8/?me_id=1398010&item_id=10006733&pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Faudio9%2Fcabinet%2F5p%2Fkx05p_1.jpg%3F_ex%3D300x300&s=300x300&t=pict)
クリプトン(KRIPTON)の鮮やかな朱色に輝くスピーカー。実はこれも漆塗り。
オーディオ事業部長・スピーカー開発者の 渡邉勝(わたなべ まさる)さんが開発した 漆スピーカーシステム です。
高校時代からオーディオマニアだったという渡邉さん。大学卒業後の1967年にコーラル音響に入社。1969年に日本ビクターに入社。ステレオ事業部でスピーカー開発設計に携わったのちプロジェクター技術部長を務め、定年退職。
2004年にクリプトンに入社し映像システム、オーディオコンポーネントの技術開発室長を務めています。
インテリアとして美しいだけではなく音も良いスピーカー。
渡邉さんによるとスピーカーの中身はみんな同じ。木製のキャビネットに使う塗料で音質が変わるのだとか。
良い音を求めて行き着いたのが漆でした。
漆はケミカル塗料と違い、もともと木から出た樹脂のために木に親和性が非常に高く相性がいい。
漆が固まっても柔軟性があることが音に反映され、非常にまろやかな音になるそうです。
名前 | 株式会社クリプトン(KRIPTON) |
住所 | 東京都新宿区四谷4-3-12 第12大鉄ビル7F |
電話 | 03-3353-4411 |
WEB | http://www.kripton.jp/ |
クリプトン 漆スピーカーシステム KX-0.5P。
江尻浩幸さん / 呂色職人 / 呂色仕上げ【石川県 輪島市】
クリプトンの漆スピーカーシステム の漆仕上げをしているのは 石川県輪島市 の 江尻呂色店(えじりろいろてん)呂色職人(ろいろしょくにん)の 江尻浩幸(えじり ひろゆき)さん。
漆のスピーカーの表面はピカピカ。その輝きはどのようにして生まれるのでしょうか。
製作工程を見せてもらいました。
漆を塗ったばかりの表面をよく見ると刷毛はけの跡が付いています。
これを研いで磨いて滑らかにしていきます。
塗った漆に研磨を繰り返し艶を出す仕上げの技を 呂色仕上げ(ろいろしあげ)といいます。
まず 炭(すみ)で研ぎます。柔らかくきめの細かい炭を使って丹念に。
次に 磨き粉(みがきこ)で磨くと刷毛目が目立たなくなってきました。
さらに生漆を塗り炭で研ぎ磨き粉で磨く。
これを何度も繰り返して鏡のような漆の層で包んでいきます。
仕上がっていくたびに自分の顔がだんだんはっきり見えていくのが楽しいと語る江尻さん。
大きな座卓だったら姿見になるくらいに輝きます。
名前 | 江尻呂色店(えじりろいろてん) |
住所 | 石川県輪島市名舟町ト部18番地 |
電話 | 0768-34-1733 |
内田徹さん / 漆琳堂 塗師 / 漆の館【福井県 鯖江市】
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/2b5bffe8.8ee5473a.2b5bffe9.a1a30a99/?me_id=1262531&item_id=10002697&pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Fshinwashop%2Fcabinet%2F08404265%2Firofuki-top.jpg%3F_ex%3D400x400&s=400x400&t=pict)
越前漆器(えちぜんしっき)で知られる 福井県鯖江市。
町の高台にある漆器神社は漆職人の守り神です。
天井にはおよそ50年前に職人たちによって奉納された作品がはめられています。
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/2b5bffe8.8ee5473a.2b5bffe9.a1a30a99/?me_id=1262531&item_id=10002703&pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Fshinwashop%2Fcabinet%2F08404265%2Ffuchinuri-02.jpg%3F_ex%3D400x400&s=400x400&t=pict)
紹介されていたのは 漆琳堂(しつりんどう)の工房。美の壺 File 591「お椀(わん)」の回でも紹介されました。
「RIN&CO.」「aisomo cosomo」などのモダンなブランドも展開し、現代の生活に合う漆の洋食器やカラフルな漆器を作っています。
なんと自転車も漆塗り。あえて漆らしい色ではない水色でモダンな風合いを出します。
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/2d0d3bd0.01786bf5.2d0d3bd1.3027fabe/?me_id=1370368&item_id=10000403&pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Ff182079-sabae%2Fcabinet%2F06460625%2F06661831%2F06679837%2Fb-03804.jpg%3F_ex%3D400x400&s=400x400&t=pict)
漆琳堂は創業 寛政5年(1793年)。8代目で塗師の 内田徹(うちだ とおる)さんは2013年に福井県生まれ。生まれてからずっと漆に囲まれてきたという内田さんのご自宅は55年前に6代目の祖父 内田忠重さんが建てた夢の家。
拭き漆の床に壁も全部漆塗り。それはまさに漆の館。
16年前床を全て漆塗りに改装したのです。
きっかけは2004年の豪雨。家は床上浸水の被害に遭いました。
修理の際仕上げを 拭き漆(ふきうるし)にしました。
拭き漆とは木地に漆を塗って布で拭き取る作業を繰り返し、木目を生かして仕上げる技法。
床は7回も塗り重ねました。
塗っては拭き取り、塗っては拭き取りを繰り返すことによって生まれる落ち着いた艶。
漆がもったいないと思って拭き取りを甘くするときれいに仕上がらないため拭き取る時は本当に漆を取る気持ちで取るのだと内田さん。
漆塗りの引き戸を開けて座敷に入ると天井も見事な拭き漆。
床の間には 呂色仕上げ が施されていました。
55年前の建築時よりも輝きが増しているそうです。
漆は塗って終わりではなくて、塗ってからが徐々に塗膜が硬くなるため完成が100年後と言われるほど。
できた時がいちばん美しのではなく、何十年後、何百年後がいちばんいい状態になるそうです。親子3代の時を経てもまだ完成しない漆の家。
楽しみが続きます。
名前 | 漆琳堂(しつりんどう) |
住所 | 福井県鯖江市西袋町701 |
電話 | 0778-65-0630 |
WEB | https://shitsurindo.com/ |
営業時間 | 10:00〜16:00 |
定休日 | 不定休 |
漆琳堂(しつりんどう)の越前漆器。
美の壺 三、強:木を守る鎧(よろい)
最後のツボは 強:木を守る鎧(よろい)。
世古効史さん / 尾鷲わっぱ職人【三重県 尾鷲市】
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/2d0d124e.e05bfb94.2d0d124f.66511e92/?me_id=1371710&item_id=10000773&pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Ff242098-owase%2Fcabinet%2Fimgrc0083674712.jpg%3F_ex%3D400x400&s=400x400&t=pict)
三重県尾鷲市(おわせし)は江戸時代から最高級の建築材として名をはせてきた 尾鷲ヒノキ の産地です。
ヒノキを育てる男たちは 山師(やまし)と呼ばれてきました。
山での食事。お弁当に使われていたのは 漆塗りの曲げわっぱ「尾鷲わっぱ(おわせわっぱ)」。
重労働の山師のおなかも満足させる大ぶりの弁当箱。
作っているのは ぬし熊(ぬしくま)の4代目 世古効史(せこ こうし)さん。尾鷲でたった一人になったわっぱ職人です。
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/2d0d124e.e05bfb94.2d0d124f.66511e92/?me_id=1371710&item_id=10000773&pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Ff242098-owase%2Fcabinet%2Fimgrc0083674715.jpg%3F_ex%3D400x400&s=400x400&t=pict)
昔の山師さんは大きな尾鷲わっぱの本体と蓋の両方にギュッと詰めて、半分を昼までに食べ終わると空になったわっぱでみそ汁を作ったりしていたそうです。
山師さんはかなり手荒い扱いをしていて、漆塗りのわっぱにお味噌とネギと水を入れ、そこにカンカンに焼いた石を投入。
しかし漆が剥がれることも わっぱが傷むこともありません。
とても丈夫です。
世古さんはヒノキを使った木地作りから漆塗りまで全ての作業を1人でこなします。
まずは下地塗り。生漆に緑の顔料で色をつけます。
下地塗りをすることで木地は固く締まり目に見えない木の細かな凹凸も滑らかに。この後に塗る漆の乗りも良くなります。
乾燥させたら生漆をすり込みます。
しっかりと塗ってはすり込みすり込んでは拭き取る。これを6回繰り返して厚い漆の層を作っていきます。
仕上げの塗りはほこりが入らない特別な部屋で。
透明感のある上質な漆をたっぷりと塗って仕上げます。
ほこりが付いていないか慎重にチェック。下地の緑の色が見えなくなるほど漆の層が厚くなりました。
漆の魅力は丈夫さだと語る世古さん。
丈夫にするように漆を塗り、ごはんも腐りません。
手荒く扱ってもびくともしない漆塗りの尾鷲わっぱ。
山の仕事が生んだ力強い漆器です。
名前 | ぬし熊(ぬしくま) |
住所 | 三重県尾鷲市大字向井493-15 |
電話 | 0597-22-9960 |
WEB | https://nushikuma-shop.com/ |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 不定休 |
尾鷲わっぱ最後の職人 ぬし熊の世古効史さん作の漆塗りひのき曲げわっぱ。
佐藤則武さん / 日光東照宮の国宝・東西透塀の修復【栃木県 日光市】
栃木県日光市 の 日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)は豪華絢爛な彫刻に彩られた世界遺産です。
創建から400年その姿を保っている秘密は「漆」にあるといいます。
解説してくださったのは漆塗管理技術者・塗師の 佐藤則武(さとう のりたけ)さん。
佐藤さんはNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」や「SWITCHインタビュー 達人達」にも出演された塗師。「SWITCHインタビュー」では木村多江さんとほのぼのした雰囲気で対談をされていました。
高い技術力とともに、長年に渡る漆塗りの調査研究の実績により、文化財建築の修復を行う全国の塗師の中でもその名を知らぬ者はいないといわれています。
![](https://imgc.nxtv.jp/img/info/NOD/N/N201808474100000_x.jpg)
日光東照宮では令和2年から6年の計画で本殿を囲む国宝・東西透塀(とうざいすきべい)の修復が進んでいます。
きらびやかな金箔や彩色の下も漆を塗り、接着剤として漆を使用しているのだとか。
漆を塗ることによって木割れなども防げ、長もちします。建物を漆で守ってるのです。
まずは 下地塗り。
生漆に砥粉とのこなどを混ぜて粘りを出し下地塗りをします。
作業は傷んだ木材を取り替えるのではなく、できるかぎり江戸時代のものを残したまま進めます。
これから修復に取りかかるところを確認します。
表面を5mm紙やすりで削るとこれまでの修復の跡が年輪のように現れました。
三代将軍家光の時代からこれまでの修復を分析し、どんな塗り方をすればいいのかを検討します。
先輩方のやった仕事を見て勉強するのだと佐藤さん。
透塀の彫刻は取り外して塗り直します。
まず表面の色を剥ぎ漆で下地塗り。表からは見えない部分にも丁寧に塗ります。
江戸時代の木材を現代まで守ってきた伝統の技。
自分らに来るまでに400年残ってきたんだから、自分も400年残るようにしたいという思いで仕事に取り組む佐藤さん。
きらびやかな装飾を支える漆。日本文化の縁の下の力持ちです。
名前 | 日光東照宮(にっこうとうしょうぐう) |
住所 | 栃木県日光市山内2301 |
電話 | 0288-54-0560 |
WEB | https://www.toshogu.jp/ |
営業時間 | 4/1-10/31:9:00〜17:00 11/1-3/31:9:00〜16:00 |
定休日 | なし |
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エピローグ
古いお椀を捨てようとしていると、どこからともなく
「捨てるな。正雄捨てんなよ」という声が。
おじいさんが毎朝みそ汁飲んでた漆のお椀でした。
おじいさんの道具は捨てられません。いつまでも大事にしますよ。
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音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
美の壺 2024年(2024年1月〜2024年12月)放送スケジュール 初回放送・再放送 全まとめ はこちらをどうぞ!
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