NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「森の神秘 きのこ」File 519
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーション(語り)は女優の 木村多江(きむら たえ)さん、ゲストは 山伏役で登場した狂言師の 野村萬斎(のむら まんさい)さんです。
最新エピソード 美の壺 File 619「甕(かめ)」 もどうぞ併せてご覧下さい。
BSプレミアム(2023年11月30日まで。2023年12月1日から NHK BS(BS101チャンネル) へ移動)
初回放送:2020年11月20日(金)19:30~20:00
再放送 :2020年11月28日(土)06:45〜、2021年11月20日(土)06:45〜
2021年11月26日(金)12:30〜、2021年12月1日(水)06:45〜
2022年11月13日(日)13:30〜
BS4K(2023年12月1日から BSプレミアム4K へ名称変更)
初回放送:2020年11月20日(金)19:30~20:00
再放送 :2020年11月23日(月)16:00〜、2020年11月27日(金)09:00〜
2021年10月29日(金)23:15〜、2021年11月20日(土)06:45〜
2021年11月26日(金)12:30〜
Eテレ
再放送 :2022年11月20日(日)23:00〜、2022年11月23日(水)05:30〜
2023年10月29日(日)23:00〜、2023年11月1日(水)05:30〜
U-NEXT でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。虎に翼・らんまん・なつぞら などの朝ドラや 光る君へ・鎌倉殿の13人・真田丸 などの大河ドラマ、探偵ロマンス・正直不動産 などの名作ドラマ、ファミリーヒストリー「草刈正雄」を一気見できます。U-NEXTは初回31日間無料トライアル。NHKオンデマンド は別料金ですが、もらえる600ポイントで購入できます。PR
美の壺 市松模様 はこちらをどうぞ!
美の壺 2024年度(2024年4月〜2025年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 森の神秘 きのこ File 519 内容
▽縄文の昔から、日本人が親しんできた「きのこ」
▽きのこにこだわるフレンチレストランの、極上きのこ料理!
▽森と共生するマタギたちの絶品「きのこ鍋」!
▽専門家が案内する、貴重なきのこの数々。八丈島では闇夜にきらめく光るきのこも!
▽世界が認めた菌類画家が、緻密に捉えるきのこの姿!
▽知の巨人・南方熊楠が残した、4000点ものきのこの図譜とは?!
▽草刈正雄邸には、山伏・野村萬斎も登場!!
プロローグ
きのこ狩りから帰ってきた草刈さん。全く採れなかったと残念そう。
家に入ると「茸(くさびら)」と書かれた箱がありました。何だ?これ。
野村萬斎さん / 謎の山伏
草刈邸に現れた 謎の山伏 役は狂言師の 野村萬斎(のむら まんさい)さんが演じています。
野村萬斎さんは本名 野村武司(のむら たけし)さん。1966年(昭和41年)に能楽狂言方和泉流の狂言師 二世野村万作さんと詩人 阪本若葉子さんの長男として東京都で誕生。
筑波大学附属小学校・中学校・高等学校を経て、1989年に東京藝術大学音楽学部邦楽科能楽専攻を卒業。子供の頃から演じていた狂言ですが、中学生になるとバスケットボールやバンド活動に没頭。しかし高校3年生で狂言の面白さに目覚め狂言師として生きることを決意。
1994年に「萬斎」を襲名。狂言以外でも、俳優としてドラマ・映画・舞台などで幅広く活躍。
1997年の朝の連続テレビ小説「あぐり」ではヒロインの夫・望月エイスケを演じ人気となり、2001年公開の主演映画「陰陽師」も大ヒットしました。
草刈正雄さんと野村萬斎さんは NHK大河ドラマ「花の乱」以来、四半世紀ぶりの共演。
撮影も大変盛り上がったそうです。
番組での祈祷の言葉「ぼおろん ぼおろん」は古典狂言「茸(くさびら)」からの引用。
「くさびら」というのはきのこの古い呼び名。キノコ類のうち、木に直接寄生しないマツタケ、シメジ、ショウロ、ハツタケなどが「くさびら」と呼ばれていました。
狂言「茸(くさびら)」では屋敷内にきのこが生えて困った男が山伏に祈祷を頼みます。山伏は「ぼおろん ぼおろん」と祈祷をはじめますが、祈れば祈るほどきのこは増えていくという喜劇です。
名前 | 野村萬斎(のむら まんさい) |
WEB | http://www.mansaku.co.jp/ |
美の壺 一、恵み:一期一会の山の恵み
ひとつめのツボは 恵み:一期一会の山の恵み。
山岡昌治さん / 恵比寿マッシュルーム / フレンチスタイルのきのこ料理【東京都 恵比寿】
東京・恵比寿 のきのこ料理にこだわるフレンチレストラン 恵比寿マッシュルーム(Ebisu Mushroom)のオーナーシェフ 山岡昌治(やまおか しょうじ)さん。
山岡さんは1956年愛媛県生まれ。高校卒業後、アパレルメーカー勤務、インテリアデザイン専門校を経て、23歳で料理の道へ。東京での修業後27歳で渡仏して「ジュリウス」「ロワイヤル グレイ」「トゥール ダルジャン」「ムーランドマルクーズ 」などで修業し1988年に帰国。
「 ル・ヴァン」「文明楼」「モンセニョール」「フレールジャック」などの勤務を経て1993年に恵比寿に自らの店 マッシュルーム をオープンしました。
「きのこ博士」の異名を持ち、料理番組や雑誌などのメディアでもご活躍。NHK「趣味どきっ! シェフの休日」にもご出演。
山岡さんときのことの出会いはフランスでの修業時代。厨房に並んだ野生のきのこの多さに衝撃を受けました。思ってる以上に多くの種類のきのこがあり、一番分からない素材だったため興味が湧いたといいます。
相手を選ばず魚でも肉でも野菜でも、いろいろな食材と相性が良く、縁の下の力持ちとなって味を引き出すこともできるし きのこ自身も主役になることもできるのが魅力。
今では店で提供しているきのこは年間100種余り。取材されていた日も全国から33種が届きました。
紹介されていたのは タマゴタケのリゾット。
野生ならではの色と風味が特徴の タマゴタケ はリゾットに。
ホタテタマネギスープを合わせて強火でひと煮立ち。タマゴタケの真っ赤なかさをのせたリゾットです。
きのこから出た色素を吸収したお米も鮮やかな色合いに。
タマゴタケのこってりとした風味がホタテのうまみと合わさって、ウニのような濃厚な味わいが生まれます。
さらに 天然きのこのブイヨンスープ。
きのこのだしにチキンブイヨンと魚介のだしを加えたスープ。11種ものきのこの香りや食感味わいが溶け合う一皿です。
今年美味しいきのこに出会えたとしても、次の年にまた同じようにそのきのこと出会えるかどうかもわかしません。
自然を感じることができるきのこの香りと色合いは他の食材では出せないと思うと語る山岡さんでした。
名前 | 恵比寿マッシュルーム(Ebisu Mushroom) |
住所 | 東京都渋谷区恵比寿西1-16-3 ゼネラルビル恵比寿西101 |
電話 | 03-5489-1346 |
予約 | 恵比寿マッシュルーム(一休レストラン) |
WEB | https://www.mush.jp/ |
営業時間 | 火〜日:12:00~15:00 (L.O.14:00),18:00〜22:00 (L.O.20:00) |
定休日 | 月曜 |
きのこづくしのフレンチレストラン、恵比寿マッシュルーム。
鈴木英雄さん / マタギ / きのこ狩り【秋田県 北秋田市】
秋田県北秋田市 森吉山(もりよしさん)の麓の 阿仁(あに)は狩猟・採集を営む マタギ の里として知られています。
紹介されていたのは 阿仁マタギ(あにマタギ)の9代目 鈴木英雄(すずき ひでお)さん。
祖父の 鈴木辰五郎(すずき たつごろう)さんは伝説的なシカリ(マタギの統領)。父 鈴木金作さんもマタギ。昭和22年(1947年)に生まれた英雄さんも子供の頃から山に入り、15歳でマタギとなりました。
近年は数が少なくなったマタギですが、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」ではマタギに憧れて阿仁に移住した3人の若者を取材。鈴木英雄さんが彼らを指導しています。
11月に始まる熊猟の前はきのこの季節。山を知り尽くしたマタギの きのこ狩り に同行しました。
山に入る前にマタギ神社で山の神様にお祈りをします。熊狩りでも魚釣りでも山菜きのこ狩りでもお祈りするそうです。
ブナをはじめとするこの森はきのこの宝庫。この季節だけの特別な恵みを与えてくれます。
朽ちたブナの木に連なるのは ブナハリタケ。ブナの枯れ木、倒木に重なりあって生え、肉厚で鶏肉のような食感のきのこです。
発生する木の種類・時期・採り方・毒きのこの見分け方など、きのこ狩りの技は代々受け継がれてきました。
「きのこの王様」と呼ばれる マイタケ(舞茸)はマタギにとっても特別なきのこ。
鈴木さんにはいくつか目をつけている木があり、運良くマイタケが出ていました。
マイタケは「喜びのあまり踊りたくなる」ということが名前の由来だといいます。
一日あっても見つからないことが多く、1株見つかるだけでも十分満足だと嬉しそうな鈴木さん。
熊と同じくらいに良かった授かったっていう思いで採取します。
鈴木さんにとってマイタケの一番の魅力は匂い。天然マイタケは本当に良い匂いがするそうです。
マタギの皆さんで山の恵みを鍋で頂きます。
地鶏のだし汁にマイタケ・ナメコ・ブナハリタケを加えます。
きのこから出るだしはどんなごちそうにも勝ると鈴木さん。香りとしゃきしゃきの歯ごたえが最高。
山の恵みに感謝していただきます。
名前 | マタギ資料館 |
住所 | 秋田県北秋田市阿仁打当仙北渡道上ミ56 |
電話 | 0186-84-2612 |
WEB | https://www.city.kitaakita.akita.jp/archive/contents-6026 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 不定休 |
天然舞茸はなかなかお目にかかれませんが、こちらは自然に近い生育環境で育てられた女鹿平(めがひら)舞茸。
美の壺 二、多様:森を支える小さき命
ふたつめのツボは 多様:森を支える小さき命。
吹春俊光さん / 千葉県立中央博物館研究員・きのこの研究者 / 千葉県のきのこ研究【千葉県】
千葉県北部の森 千葉県立房総のむら(ちばけんりつ ぼうそうのむら)を訪れていたのは千葉県立中央博物館 研究員できのこの研究者の 吹春俊光(ふきはる としみつ)さん。
吹春さんは1959年福岡県生まれ。京都大学農学部卒、農学博士。
きのこ類の分類と生態が専門分野。千葉県の野生大型菌類(きのこ類)の収集と目録作成を研究テーマにしています。
「千葉菌類談話会」という菌類に興味のある人々によるサークルも運営し、自然公園でのきのこ狩りやきのこ写真の発表会などの交流活動も行っています。
夏から秋にかけては 千葉県立房総のむら を頻繁に訪れて 野生のきのこを研究 する吹春さん。
見つけたのは先ほどのリゾット料理でも登場した タマゴタケ。
少々毒々しい色ですが、非常に美味しいきのこということで知られています。
根元の白い殻のような部分が名前の由来。卵からニョキニョキ伸びることからタマゴタケと名付けられました。
続いて訪れたのは房総半島南、 千葉県鴨川市 の 東京大学千葉演習林(とうきょうだいがくちばえんしゅうりん)。
見つけたのは ホウキタケ の仲間。先端が枝分かれした変わった形。まるで森の中のサンゴのようです。
キヌガサタケ は白いレースをまとった姿から「きのこの女王」と呼ばれています。
直径は25cm近くもある脳のような姿の ノウタケ。
ホコリタケ という変わった名前のきのこは穴の中から出てくる胞子がホコリに見えることからその名が付きました。
キクラゲの仲間 ハナビラニカワタケ。
乾いてる時は硬いきのこですが雨にぬれるとプニプニと柔らかくにあります。
世界には名前もないものまで含めれば20万種以上あるといわれるきのこ。
地表では単独で生きているように見えますが、その本体は土の中にある白い塊 菌糸(きんし)と呼ばれる細い糸状のもの。
菌糸は土の中を縦横無尽に巡っています。その菌糸が一年に一度繁殖のために生み出すのがきのこ。
胞子(ほうし)を飛ばし子孫を増やすのが目的です。
そしてきのこには生態系での働きもあります。
実は森の中のきのこには非常に大きな役割を果たしている、と吹春さん。倒木や落ち葉を分解し土に返して次の世代の植物に栄養を与えるのです。
また森の植物と共生し、栄養のやり取りをして植物に植物自体ではなかなか吸収できないような栄養を供給する役割も果たしています。
森の循環を促し樹木を陰で支えるきのこ。
森の添え物ではなく地球にとって欠かすことができない生き物だと吹春さんは考えています。
名前 | 千葉県立房総のむら(ちばけんりつ ぼうそうのむら) |
住所 | 千葉県印旛郡栄町龍角寺1028 |
電話 | 0476-95-3333 |
WEB | http://www2.chiba-muse.or.jp/MURA/ |
営業時間 | 火〜日:9:00〜16:30 |
定休日 | 月曜・年末年始 |
名前 | 東京大学千葉演習林(とうきょうだいがくちばえんしゅうりん) |
住所 | 千葉県鴨川市天津770 |
電話 | 04-7094-0621 |
WEB | https://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/chiba/ |
吹春俊光さんの著書。
大場裕一さん / 中部大学教授・発光生物研究者 / 八丈植物公園の発光きのこ【東京都 八丈島】
東京・伊豆七島 の一つ 八丈島(はちじょうじま)にある 八丈植物公園(はちじょうしょくぶつこうえん)は珍しいきのこを保護し生育している森。
案内してくれたのは中部大学教授で発光生物の研究者 大場裕一(おおば ゆういち)さん。
大場さんは1970年北海道生まれ。総合研究大学院大学大学院生命科学研究科・分子生物機構論専攻修了。大学では有機化学、博士課程では生物を学び理学博士に。
2000年に名古屋大学着任を機に発光生物研究を始めました。2016年中部大学准教授を経て2020年からは中部大学教授。発光生物研究の第一人者として知られ、著書も多数。
小さな頃から生き物が好きで生物の図鑑を眺めていたという大場さん。子供向けのホタルの絵本も監修しています。
八丈島が夜の闇に包まれると 発光きのこ がひときわ目を引きます。
見つけたのは夏亜熱帯の森に現れる ヤコウタケ。漆黒の森に幻想的な光が浮かび上がります。
大場さんの研究チームはロシアとの共同研究で一般的なきのこが持っている「ヒスピジン」という物質が光るきのこ特有の酵素と反応し発光することを突き止めました。
大場に寄ると、キノコが光る理由ははっきりとは分かっていないのだとか。
いくつかの仮説が立てられていて、光ることで虫をおびき寄せ虫に胞子を運んでもらっているとか、逆に虫が近寄ってこないように光ってるってなどと言われています。
光を発しているのはきのこだけではありません。
朽ちた木に張り巡らされた 菌糸(きんし)もきのこと一体となって光り、きのこが朽ちたあとも光り続けます。
光るきのこはヤコウタケ以外にもあります。
エナシラッシタケ は体長僅か5mmほどのハチの巣のような形をしたとても小さなきのこ。辺りが暗くなると闇夜に無数の光がきらめきます。
まるで森に現れた「天の川」。豊かな森を育む小さな命の輝きです。
名前 | 八丈植物公園(はちじょうしょくぶつこうえん) |
住所 | 東京都八丈島八丈町大賀郷 |
電話 | 04996-2-4811 |
WEB | http://www.hachijo-vc.com/garden/ |
営業時間 | 9:00〜16:30 |
定休日 | 不定休 |
大場裕一さんの著書。
美の壺 三、つながり:広がる世界
最後のツボは つながり:広がる世界。
小林路子さん / 菌類画家 / きのこの絵【東京都】
東京品川区 の公園できのこを探していたのは菌類画家の 小林路子(こばやし みちこ)さん。
小林さんは1986年に書籍「キノコの不思議」の挿絵を描いたことがきっかけとなり きのこに魅せられて きのこの絵 を描き続けています。
これまでに描いてきた きのこの絵 は1,000点近く。作品はボタニカルアートの殿堂イギリスのキュー王立植物園にも収蔵されています。
きのこは存在自体がシュールな感じという小林さん。各地をめぐり自然の中で生きる野生きのこを探し、絵に描く毎日。
公園でスケッチしていたのは生命力に満ちあふれた ヤマドリタケモドキ。
精緻な筆使いでどこまでも細かくどこまでも正確に。
次は自宅で長野で採取した ノボリリュウタケ に取り組みます。
野生のきのこは色が変わりやすいため時間との勝負。
きのこを描き終えるとコケを丹念にスケッチ。きのこだけではなく見えない菌糸の存在までも描きたいという小林さん。
本体(菌糸)の暮らしている環境というのは木の中とか地面の中にあるので、どういうところにこのきのこは今生えているのかを表したいし、知って頂きたい、と語ります。
地面からすっと姿を現した ノボリリュウタケ。
コケや枯れ枝の下きのこを支える菌糸の世界へと広がる想像力。
小林さんは35年にわたりきのこに惹かれ描き続けてきました。
きのこの魅力はひと言でいうなら生命のパワー。
小さなきのこも自分と同じように生きていて、世界の自然環境の中ではどれ一つ欠けても困るものなんだということを感じられるとすごく世界が広がった感じがする、と小林さん。
小林路子さんの画集。
細矢剛さん / 国立科学博物館筑波研究施設 / 南方熊楠の菌類図譜【茨城県 つくば市】
国立科学博物館 筑波研究施設(こくりつかがくはくぶつかん つくばけんきゅうしせつ)には昭和初期の南方熊楠(みなかた くまぐす)のきのこ研究の貴重な資料が保管されています。
説明してくれたのは研究員の 細矢剛(ほそや つよし)さん。
明治から昭和を生きた知の巨人 南方熊楠(みなかた くまぐす)。
博物学や民俗学などさまざまな分野を研究し、エコロジーという概念を日本に広めました。
20代を欧米での研究に費やした熊楠は33歳で帰国。
和歌山県の熊野地方の森に分け入り粘菌や微生物昆虫などさまざまな生き物の調査に没頭します。
熊楠が最も情熱を傾けたものの一つが きのこの研究 だったと言われています。
熊楠が残した「菌類図譜(きんるいずふ)」は忠実に描かれたきのこの彩色図、スライスされた標本、小さな紙包みの中には胞子まで保存されています。
そして余白を埋め尽くすような詳細な英文記述。それぞれのきのこの形や色匂いや味などについて克明に書き込まれています。
熊楠は生涯で1万点に及ぶきのこの標本を集め、そのうち4,000点余りを図譜として残しました。
しかしこの記録は生前世に発表されることはありませんでした。
当時見向きもされなかった菌類の中に熊楠は大きな地球の営みを見いだそうとしていたのかもしれません。
「多様性というちょっとずつの違いがいろんな生物にあり、その違いが重要なんだ。
見えないところで全てのものが関連しているということ、それが自然界だということに気がついていたのではないかと思います」と細矢さん。
森の中に広がる生き物の世界。小さな宇宙がここにあります。
名前 | 国立科学博物館 筑波研究施設(こくりつかがくはくぶつかん つくばけんきゅうしせつ) |
住所 | 茨城県つくば市天久保4-1-1 |
電話 | 029-851-5159 |
WEB | https://www.kahaku.go.jp/institution/tsukuba/ |
南方熊楠の膨大な「菌類図譜」から120枚を厳選した書籍。
エピローグ
どこからともなく山伏が現れ、箱の中の松茸が魔物だ退治する、「ぼおろん ぼおろん」と祈祷を始めます。
草刈さんが箱の蓋を閉めると山伏は消えてしまいました。今の山伏は何だったのでしょう?
U-NEXT でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。虎に翼・らんまん・なつぞら などの朝ドラや 光る君へ・鎌倉殿の13人・真田丸 などの大河ドラマ、探偵ロマンス・正直不動産 などの名作ドラマ、ファミリーヒストリー「草刈正雄」を一気見できます。U-NEXTは初回31日間無料トライアル。NHKオンデマンド は別料金ですが、もらえる600ポイントで購入できます。PR
音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
美の壺 2024年(2024年1月〜2024年12月)放送スケジュール 初回放送・再放送 全まとめ はこちらをどうぞ!
美の壺 2024年度(2024年4月〜2025年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 2023年度(2023年4月〜2024年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 2022年度(2022年4月〜2023年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 2021年度(2021年4月〜2022年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 2020年度(2020年4月〜2021年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 2019年度(2019年4月〜2020年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 2018年度(2018年4月〜2019年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 2017年度(2017年4月〜2018年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 2016年度(2016年4月〜2017年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!