NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「まんまるの美 まり」File 629
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーション(語り)は俳優の 木村多江(きむら たえ)さんです。
NHK BS(BS101チャンネル)
初回放送:2025年3月11日(火)17:30~18:00
再放送 :2025年3月18日(火)12:00~、2025年3月22日(土)07:30〜
BSプレミアム4K
初回放送:2025年3月5日(水)19:30~20:00
再放送 :2025年3月12日(水)08:00~、2025年3月15日(土)06:45〜
でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。 U-NEXT虎に翼・
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美の壺 まんまるの美 まり File 629 内容
▽てまりに蹴鞠(けまり)。まるまると健やかにとの願い。
▽東京・赤坂に、てまりの情報発信基地
▽石川県金沢の加賀てまり。母から子へと受け継がれてきた、てまりづくりの技。
▽1400年の歴史を誇る蹴鞠(けまり)、その極意は「和」。
▽うるわしく蹴るために…。目指す鞠(まり)は「完全球体」。
▽食べる「宝石箱」まんまる、おいしい、てまりずし
▽コロコロかわいい、てまりあめ。繊細な模様の秘密とは?
プロローグ
近所の子供の集まりで懐かしい遊びを教えて欲しいと頼まれた草刈さん。
おばあちゃんが作った手鞠(てまり)を出してきました。
美の壺 一、めでる:色彩豊かに、幸せを招く
ひとつめのツボは めでる:色彩豊かに、幸せを招く。
佐藤裕佳さん / はれてまり工房 / てまりのギャラリー【東京都 港区 赤坂】
東京都港区赤坂、アメリカンテイスト溢れるカフェ 東北cafe&diningトレジオンポート の奥にあるのは てまりのギャラリー はれてまり工房(はれてまりこうぼう)。
全国各地から集められた個性豊かな てまりが飾られています。
ギャラリーの責任者は 佐藤裕佳(さとう ゆか)さん。
SNSなどを通じてその魅力を発信したり、てまり作りのワークショップを開催したりしています。

佐藤さんの出身は 秋田県由利本荘市。本荘ごてんまり(ほんじょうごてんまり)という てまりの産地です。
本荘ごてんまりには右と左と下、三方に房が付いているのが特徴。
てまりは女の子が生まれた時や結婚の時に贈られる風習が伝わっています。

佐藤さんが てまりの本当の魅力に気づいたのは早稲田大学入学を機に東京に来てからのこと。
小さな てまりを初めてSNSで見て魅力的に感じたところからすごく興味を持ったそうです。
大学の卒業式の時に手まりのかんざしを作っていただいたところから、ますます てまりに愛着を持つようになり、自分でも作るようになしました。
作り手としても活動を続けている佐藤さん。はれてまり工房でもワークショップを開催しています。
母から子へ、縁起物の贈り物としてつくられていた てまり。
形が丸いので「丸々育つように」とか「ご縁に恵まれますように」とか、誰かを思って1針1針作るというところがすごく素敵なところだと佐藤さん。年々てまりへの思いは深くなっていくようです。
名前 | はれてまり工房(はれてまりこうぼう) |
住所 | 東京都港区赤坂3-12-18 赤坂館2階 東北cafe&diningトレジオンポート内 |
電話 | 03-6807-4242 |
WEB | https://haretemari.official.ec/ |
営業時間 | 月〜土:11:30〜23:30 |
定休日 | 日曜 |
本荘ごてんまりと ごてんまりストラップ。
小出孝子さん / 加賀てまり 毬屋 / 加賀てまり専門店【石川県 金沢市】
石川県金沢市、工芸の街・金沢の手仕事の1つに 加賀てまり(かがてまり)があります。
紹介されていたのは 加賀てまり 毬屋(かがてまり まりや)。加賀てまりと加賀ゆびぬきを制作・販売する専門店。加賀てまり作品やアクセサリーの他、材料も販売されています。
説明してくれたのは毬屋の代表で加賀てまり作家の 小出孝子(こいで たかこ)さん。
小出さんは金沢ならではの てまりを作り続けて40年余り。てまり作りの技を夫の母・小出つや子(こいで つやこ)さんから受け継ぎました。
義母の小出つや子さんは、長年 てまり作りを教えていました。1日に1つ てまりを作ることを目標にしていたと言います。
小出孝子さんはいつも つや子さんと話をしながら、手を動かしていたのだとか。

加賀てまりには光沢のある絹糸が使われます。
代表的な模様は、金沢てまり(かなざわてまり)と 十二菊模様(じゅうにきくもよう)の2つ。金沢てまり は群青色と金茶と朱赤。昔から糸の色が決まっていて、金沢の伝統的な てまりといわれています。
金沢てまり は群青色と金茶と朱赤。邪気を払い、健康長寿の象徴とされる菊を3色の糸だけで作ります。
一方、十二菊模様 の配色は自由。色選びは1番楽しいところですが、1番難しいところでもあります。

十二菊模様 を作るところを見せてもらいました。
てまりはまず綿を白い糸で巻き大まかに丸めます。
続いてその表面を模様の下地となる糸で覆います。
歪みを感じたら、綿を加えて再び糸を巻きます。
てまり作りの第一歩はきれいな玉を作ること。手の感覚だけを頼りにひたすら糸を巻いていきます。
赤い糸で厚さ5mm以上になるまで巻くのだそう。見事まんまるになりました。
ここから加賀てまり伝統の十二菊(じゅうにきく)を描いていきます。
ミリ単位で長さを測りながら待ち針を打ちます。
待ち針をガイドにして、金色の糸をかけ、12個の正五角形の枠を作ります。
美しい菊を描くには、枠を緻密に作ることが大切と小出さん。
放射状に伸びた20本の線が菊の花びらとなります。
割り付けた線に沿って1針1針進めます。
一段できると次は違う色で。1色加わることに菊は表情を変えていきます。
小出孝子さん作「加賀てまり 十二菊」。
抽象化された菊が小出さんならではの明るい色使いで描き出されています。
シンプルで伝統的な美しいまりを誰よりも美しく作れるようになったらいいなと思う、と小出さん。
母から子へと受け継がれてきたてまり作りの技。
日々の積み重ねが心和ませる美を生み出します。
名前 | 加賀てまり 毬屋(かがてまり まりや) |
住所 | 石川県金沢市南町5-7 小出南ビル1階 |
電話 | 076-231-7660 |
WEB | https://kagatemari.com/ |
営業時間 | 木〜月:9:30~18:00 |
定休日 | 火曜・水曜 |
加賀てまり 毬屋 の店長・大西由紀子さんの著書。
美の壺 二、あそぶ:和を以て貴しと為す
ふたつめのツボは あそぶ:和を以て貴しと為す。
山本隆史さん / 蹴鞠保存会 理事長 / 蹴鞠の伝統を受け継ぐ【京都市】
蹴鞠 / まりの起源
まり の起源とされるのが 蹴鞠(けまり)。
西暦645年の大化の改新に蹴鞠が深く関わっていました。
蹴鞠の場で靴が脱げてしまった中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)。
その靴を中臣鎌足(なかとみのかまたり)が拾って手渡したことから2人は親しくなったと伝えられています。
蹴鞠保存会の活動 / 白峯神宮

京都・上京区 にある 白峯神宮(しらみねじんぐう)では今も 蹴鞠(けまり)の技を見ることができます。
白峯神宮は蹴鞠の師範を務めた公家・飛鳥井家の邸宅跡に建てられていて、「まり」の守護神「精大明神」が祀られています。
境内には設けられた蹴鞠を行う専用の場所 蹴庭(まりにわ)があります。
白峯神宮の蹴庭で活動を続けているのが 蹴鞠保存会(しゅうきくほぞんかい)。月に2回練習を行い、毎年4月の「春季例大祭」と7月の「精大明神例祭」に蹴鞠を奉納しています。
およそ1400年の歴史を持つ蹴鞠。その技には様々な決まり事があるといいます。
蹴鞠保存会 理事長の 山本隆史(やまもと たかし)さんが蹴鞠を説明してくれました。
目的は「麗しく蹴る」こと。
具体的には
・姿勢はまっすぐ
・右足のみで蹴る
・膝を曲げない
・足の甲で真上に蹴り上げる
蹴鞠は正式には8人で行います。互いに声をかけ合いながら、周りに蹴り渡すのがルール。
勝ち負けはなく、なるべく長く鞠を蹴り続けることが大事だといいます。
蹴りやすい鞠を蹴り渡せば相手はうまく蹴れる。相手が失敗したら私の蹴り方が悪かったんだという反省をする。
そういう心持ちでやってればおのずと数は続く、と山本さん。
相手を思いやり鞠を渡すことを大切にしています。
名前 | 白峯神宮(しらみねじんぐう) |
住所 | 京都府京都市上京区飛鳥井町261 |
電話 | 075-441-3810 |
WEB | https://shiraminejingu.or.jp/ |
営業時間 | 8:00〜1700 |
定休日 | なし |
蹴鞠を作る
今も各地の神社で執り行われている 蹴鞠(けまり)。
天下太平や五穀豊穣の祈りを込めて、神々に奉納されます。蹴鞠保存会の方々も1月の下鴨神社の「蹴鞠はじめ」を皮切りに、1年に10回ほどの神事で奉納しています。
鞠の主な材料は 鹿の革。蹴鞠の技だけでなく鞠作りも1000年以上受け継がれてきました。
昔は 鞠師(まりし)と呼ばれる職人が鞠を作っていましたが、今では途絶えてしまいました。
山本隆史(やまもと たかし)さんは 蹴鞠保存会 でただ1人の蹴鞠の作り手です。
山本さんが保存会に入会した学生時代は江戸時代の鞠が古道具店などから十分に出てきたそうです。
しかしだんだん古道具店から出てくる数が少なくなり、保存会でもっと作らなければならないということになりました。
山本さんが参考にしたのは、戦前に発行された写真集「蹴鞠」でした。
鞠作りの様々な場面が詳細に記録されています。
山本さんはこれらの写真を参考にしながら、独学で技を磨いてきました。
蹴鞠 を作る工程を見せてもらいました。
鞠は丸く切った 鹿の革 を2枚つなぎ合わせて作ります。
特製のノミでつなぎ合わせるための切り目を付けます。
鹿の革をつなぐのは 馬の革。馬の革は硬くしっかりとつなぎ合わせてことができるので、鞠から空気が漏れにくくなります。
丸みと張りを与えるために革の中に 麦 を詰め少しずつ膨らませます。
目指すのはどこにも歪みがない完全球体。きれいな玉になるまで麦詰めを何度も何度も繰り返します。
白い顔料を混ぜた ニカワ を塗り、色や形を安定させ、麦を全て抜き取ってようやく完成。
丸い鞠を円陣を組んで蹴り渡す。蹴鞠には日本人の和の心が宿っています。
美の壺 三、味わう:美味でいとしき、まんまるの食
最後のツボは 味わう:美味でいとしき、まんまるの食。
中澤理和さん / 手毬ずし専門店 嬋(せん)/ 手鞠寿司専門店【山梨県 中巨摩郡】
富士山を望む 山梨県中巨摩郡昭和町 にある築40年余りの民家で営業するるのは 手毬ずし専門店 嬋(せん)。
主人の 中澤理和(なかざわ としかず)さんは てまりずしと出会ったのは京都を訪ね食べ歩きをしている時。
まるで宝石のようなお寿司に驚いたといいます。
中澤さんが手がけるのは 創作てまりずし。
生ハムに焼肉、穴子にいなり寿司と和と洋の食材を自由にあしらっています。
日々新しいメニューの開発をしている中澤さん、野菜を使ったてまりずしにも挑戦しています。
薄切りにしたきゅうりを格子状に並べてシャリを乗せ、きゅっと絞って丸めるとてまりそのものを強くイメージした新作が。
花をモチーフにしたラディッシュの寿司。
赤大根の上には菊の花びらを1枚。色のコントラストが鮮やかです。
名前 | 手毬ずし専門店 嬋(せん) |
住所 | 山梨県中巨摩郡昭和町西条1836-2 |
電話 | 050-8883-2248 |
WEB | https://sen-temarizushi.com/ |
営業時間 | 水木金:11:00〜14:30, 17:00〜22:00、土:11:00~15:30, 17:00~22:00、日:11:00〜15:30 |
定休日 | 月曜・火曜 |
岩井正和さん / 岩井製菓 社長 / てまり飴【京都府 宇治市】

京都府宇治市 の 岩井製菓(いわいせいか)の 飴(あめ)は京都のお土産でも知られています。
中でもカラフルでかわいいと人気なのが てまり飴(てまりあめ)。
小さな玉の中に何色も彩り。色の組み合わせは簪(かんざし)に付いていた鞠からイメージした、と社長の 岩井正和(いわい まざかず)さん。

ここで作られる手まり飴は3種類。1番手がかかるのが 虹色の飴。実に28本もの線が入っています。
この繊細な細工を作る工程を見せていただきました。
もともとは透明な琥珀色。小さく切り分けて 色付け をします。
色の加減は職人の勘が頼り。着色料の量をほんのわずかに変えるだけで色の出方が変わってしまいます。
出来上がりを想像しながら慎重に着色していきます。
出来上がったのは7色の飴。

さらに一手間加えて28本の線をつくります。
透明な飴を機械にかけ空気をはらませます。
これが土台となる白の部分。
白い飴と七色の飴を交互に並べます。
2人がかりで少しずつ伸ばし、ハサミで4つに切り分けます。
土台に巻けつけると7 × 4で28本の線となりました。
ここからは機械の仕事。線が乱れないように、ゆっくりゆっくりと引き伸ばし1粒1粒切り分けていきます。
最後に形を整えて出来上がり。
小さな飴も見た目の良さが大事、と岩井さん。
人間の本能に訴えるには、見て美しい、そういうものが絶対に必要だと語ります。
こんな面倒なことをやるんだという思いつきみたいなところを具現化するというのがある面「美」。
てまりの鮮やかな色彩をお菓子の世界にも。飽くなき探求は続きます。
名前 | 岩井製菓(いわいせいか)工房本店 |
住所 | 京都府宇治市菟道丸山203-3 |
電話 | 0774-21-4023 |
楽天店 | https://www.rakuten.co.jp/iwaiseika/ |
WEB | https://iwaiseika.ocnk.net/ |
営業時間 | 月〜金:9:00〜18:00 |
定休日 | 土曜・日曜・祝日 |
岩井製菓の可愛くて美味しい手まり飴。
エピローグ
おばあちゃんが作った手鞠(てまり)に耳を傾けると、おばあちゃんの手鞠歌を歌う声が聞こえてきます。
懐かしいな、おばあちゃん。
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真田丸 などの大河ドラマ、
探偵ロマンス・
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音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
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