NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「日本の麻」File 628
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーション(語り)は俳優の 木村多江(きむら たえ)さんです。
最新エピソード 美の壺 スペシャル「皇居」 もどうぞ併せてご覧下さい。
NHK BS(BS101チャンネル)
初回放送:2025年2月18日(火)17:30~18:00
再放送 :2025年2月25日(火)12:00~、2025年3月1日(土)07:30〜
BSプレミアム4K
初回放送:2025年2月12日(水)19:30~20:00
再放送 :2025年2月17日(月)13:00~、2025年2月19日(水)08:00~
2025年2月22日(土)06:45〜
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美の壺 日本の麻 File 628 内容
▽麻布研究家による昔の麻布を使ったアート作品。日本人と麻の関わりとは?
▽福島県昭和村で、昔ながらの製法で作られる「からむし織」の魅力
▽玉串や祓串(はらえぐし)、鈴緒など、神社における麻とは?
▽5000本の鈴緒を作ってきた鈴緒職人の制作現場に密着!
▽江戸時代最上とたたえられた麻織物「奈良晒(ざらし)」。伝統の機と2種類の麻糸を使って織り上げる現場に潜入!
プロローグ
草刈さんの家の蔵の中から古い裃(かみしも)が出てきました。
ざらざらした手触りの布です。これは麻?
美の壺 一、麻布:時と風土が織りなす
ひとつめのツボは 麻布:時と風土が織りなす。
吉田真一郎さん / 美術家 / 麻布を使ったアート作品のギャラリー 真妙庵【京都市 中京区】
京都市中京区、2022年にオープンしたテキスタイルギャラリー 真妙庵(しんみょうあん)。
西陣織の老舗・細尾12代目の 細尾真孝(ほそお まさたか)さんと美術家の 吉田真一郎(よしだ しんいちろう)さんが共同で手がけているギャラリー。麻布(あさぬの)を使ったアート作品を展示しています。
吉田真一郎さんの「UNINTENDER #73」は「意図せず」と名付けられた作品。
およそ150年前の手織りの白い麻布を3枚貼り合わせて作られています。
系の種類、太さなどの違いから生まれる僅かな差。
それが異なる白の気配となって「意図しない」美しさを生み出すといいます。
作者の吉田さんは美術家で江戸時代の 麻布(あさぬの)の研究者でもあります。
日本人が親しんできた麻布の魅力を国内外に広めています。
麻布の材料は大きく分けると 苧麻(ちょま)と 大麻(たいま)。古来から「麻(あさ)」というと大麻を指し、「苧麻(ちょま)」は「からむし」という言い方で使っていたそうです。
全国の縄文の遺跡から麻の繊維の断片が発見されていて、何千年も前から日本では柔らかい繊維として日常生活に使われていました。
麻とは植物の茎などから取られた繊維の総称のこと。
古来大麻の毒性のない茎や「からむし」という植物の茎から糸を作ってきました。
大麻(たいま)は「麻(あさ)」、からむしは「苧麻(ちょま)」とも呼ばれています。
現在大麻は都道府県知事の免許を得て栽培されたものが使われています。
およそ1,000点あるという吉田さんのコレクションの一部を見せてもらいました。
すべて江戸時代から明治時代にかけて作られたものです。
真っ白な 晒し布(さらしぬの)を京都あたりで染めたり刺繍をして高級な呉服として流通していたようです。
大麻布は木綿と同じ位に柔らかく、江戸時代には好まれて着られていたのだとか。
吉田さんのコレクションには 越後縮(えちごちぢみ)や 奈良晒(ならざらし)で作られた着物の1部、幕末から明治にかけて作られた 紅花染め(べにばなぞめ)の麻織物、江戸時代の 近江晒(おうみさらし)など多種多様な麻布が。
貴重なもの、と言われていたのは新潟県の アンギン という編み布。
麻で作られた農民の作業着で、縄文時代には既に行われていたという編み方の1つ。明治ごろまで使われていたそうです。
名前 | 真妙庵(しんみょうあん) |
住所 | 京都府京都市中京区少将井町229-2 第7長谷ビル1階 |
電話 | 075-211-0830 |
WEB | https://www.instagram.com/shinmyouan/ |
営業時間 | 木〜日:11:00〜18:00 |
定休日 | 月曜〜水曜 |
山内えり子さん / からむし織【福島県 大沼郡 昭和村】
福島県大沼郡昭和村 は「苧麻(ちょま)=からむし」を育て、からむし織(からむしおり)という伝統工芸を守り続けています。
農作業のない冬。村では糸作りが行われてきました。
紹介されていたのは 山内えり子(やまうち えりこ)さん。
1977年青森県生まれ。大学卒業後に学習塾で勤務し、趣味で津軽の「こぎん刺し」を楽しんでいた頃にこぎん刺しのルーツに からむしがあることを知り興味を持った山内さん。
20年前の2005年に昭和村の「からむし織体験生事業」に参加し、からむし織に魅せられそのまま移住。
からむしの栽培から糸作り、織りまで全て村の人たちから教わりました。
現在は「monderico(もんどりこ)」というブランド名で、自ら栽培し手織りした からむし布に、津軽ゆかりのこぎん刺しを施した作品を制作しています。
冬に行われるという糸作りは からむしの繊維を指で裂き、1歩1本結ばずに指先でより合わせるようにして長い糸にしていきます。
帯1本分の糸を作るのにおよそ2ヶ月。
年中やれない事は無いけれども、畑仕事もない冬が静かに落ち着いてできるのだとか。
番組で映像が使われていたのは監督・分藤大翼(ぶんどう だいすけ)さんのドキュメンタリー映画「からむしのこえ」。
糸はからむしの茎の繊維から作られます。夏2m近くまで成長したからむしを刈り取ります。
茎の皮を剥ぎ、手作業で余分なものをそぎ落として、糸になる繊維だけを取り出していきます。
乾燥させ、ようやく糸の材料が出来上がります。
江戸時代からこうして作った繊維を 越後上布(えちごじょうふ)や 小千谷縮(おぢやちぢみ)などの糸の材料して出荷してきました。
山内さんが使う織り機は 地機(じばた)、あるいは 腰機(こしばた)という伝統的なものです。
織る人の腰に経糸(たていと)を固定。経糸の張りを体で調整しながら織り上げていきます。
糸から作り伝統の手織りで手間暇かけて織り上げる。昭和村のからむし織です。
名前 | 道の駅 からむし織の里しょうわ |
住所 | 福島県大沼郡昭和村佐倉上ノ原1 |
電話 | 0241-58-1655 |
WEB | https://www.karamushi.co.jp/michinoeki.html |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
定休日 | 不定休 |
美の壺 二、鈴緒:祈りに寄り添う
ふたつめのツボは 鈴緒:祈りに寄り添う。
岩田昌憲さん / 出雲大神宮 宮司 / 神事に必要不可欠な麻【京都府 亀岡市】
京都亀岡市 にある 出雲大神宮(いずもだいじんぐう)。
祀られているのは 大国主命(おおくぬぬしのみこと)と 三穂津姫命(みほつひめのみこと)。およそ1,300年の歴史があるといわれています。
神社には麻は欠かせないものでした。解説してくれたのは宮司の 岩田昌憲 さん。
神社には 麻 がすべての神事に必要な道具。
御神水や塩など祓い清めるものがありますが、麻はさらにそれを浄化させる強い力を持っているとされています。
神前に備える 玉串(たまぐし)、地鎮祭など特別のお祓いをするときに使われる 祓串(はらえぐし)。
すべて麻の繊維で作られています。
そして神社で最もよく目にするのが 鈴緒(すずお)です。
神様と人を結ぶものと言われ、昔から麻で作られてきました。
数多くの人が祈り、そして神様へ橋渡しが行われてきました。
名前 | 出雲大神宮(いずもだいじんぐう) |
住所 | 京都府亀岡市千歳町出雲無番地 |
電話 | 0771-24-7799 |
WEB | http://izumo-d.org/ |
営業時間 | 月〜金:9:00〜16:00、土日:9:00〜17:00 |
定休日 | なし |
小田英一さん / 小田商店 7代目当主・鈴緒職人 / 鈴緒作り【京都市 下京区】
京都市下京区、江戸時代から続く 麻縄(あさなわ)の老舗 小田商店(おだしょうてん)。
制作工程を見せてくれたのは7代目当主・鈴緒職人の 小田英一(おだ えいいち)さん。日本では数少なくなった鈴緒職人の1人です。
もともとこの辺りは麻を扱う店が多く集まっていました。
曾祖父が鈴緒を作り始め、以降、代々伝統を守り続けてきました。
北野天満宮、八坂神社、伏見稲荷大社、松尾大社など京都の名だたる神社をはじめ、全国の寺社に鈴緒を納めています。
鈴緒(すずお)作りの工程を見せてもらいました。
使われているのは 精麻(せいま)と呼ばれるもの。大麻の茎から取った繊維を乾燥させたものです。
硬い麻で作った芯に布を巻き、その上に精麻を巻きます。
少しずつ重ねて均等の厚みになるよう巻き、さらに上に少し重ねるようにしてまた巻いていきます。
出来上がった3本の縄によりをかけていきます。使うのは小田さんの父が50年以上前に自作した機械。
かつては、大人が4-5人がかりで行っていた大変な作業だったといいます。
鈴緒を作り続けて50年以上。その数は5,000本を超えるとか。
京都で鈴緒を作るのは小田商店ともう1軒のみ。全国ではまだ何軒かはあるようですが、それぞれ仕様や作り方が違うようです。
初めて行った神社で「これはどう見てもうちのものだ」とわかるそうですが、そんな時はやはり嬉しくなると小田さん。
神様と人を結ぶ鈴緒。日本人と共にあり続けてきた麻のもう一つの姿です。
名前 | 小田商店(おだしょうてん) |
住所 | 京都府京都市下京区七条通東洞院西入真苧屋町215 |
電話 | 075-371-1294 |
WEB | https://www.osakaprecisa.com/odadaihyou.html |
美の壺 三、奈良晒(ならざらし):先人も愛した風合い
最後のツボは 奈良晒(ならざらし):先人も愛した風合い。
岡井友見さん / 麻布 おかい / 奈良晒【奈良県 奈良市】
江戸時代に刊行された「日本山海名物図会(にほんさんかいめいぶつずえ)」
その中に最上の麻織物として 奈良晒(ならざらし)が紹介されています。
「染めて色よく着て身にまとわず汗をはじく。故に世に奈良晒とて重宝するなり」
江戸時代中期には奈良晒は全国的に知られ、着物の生地として使われてきました。
奈良晒は今も奈良で作られています。
紹介されていたのは約160年前に創業した麻製品の老舗 株式会社 岡井麻布商店(かぶしきがいしゃ おかいまふしょうてん)の 奈良市橋本町 にある直営ショップ 麻布 おかい(まふ おかい)奈良店。
店長は 岡井友美(おかい ともみ)さんと紹介されていましたが、公式サイトでは 岡井友見(おかい ともみ)さんとなっています。友見さんは奈良晒伝統工芸士 岡井考憲(おかい たかのり)さんの娘さん。

帯や着尺地などの受注生産を行うほか、直営店を2店舗出店。
直営店には麻で作られた様々なオリジナル商品が並びます。
大和機(やまとばた)という織り機で織った 茶巾(ちゃきん)。
茶巾とは茶道で茶碗を拭き清めるためのもの。奈良晒(ならざらしで作られています。
昔、千利休(せんのりきゅう)が奈良に滞在したときにこの茶巾を見て、白くて美しいこの奈良晒の茶巾は最高の麻織物と言ったのだとか。
奈良晒は 徳川家康(とくがわいえやす)が幕府御用品として認め、全国にも流通。江戸時代の武士の正装である 裃(かみしも)にも奈良晒が使われていました。
名前 | 株式会社 岡井麻布商店(かぶしきがいしゃ おかいまふしょうてん)本社・工房 |
住所 | 奈良県奈良市中之庄町107番地 |
電話 | 0742-81-0026 |
WEB | https://mafu-okai.com/ |
営業時間 | 月〜金:9:00~17:00 |
定休日 | 土曜・日曜・祝日 |
名前 | 麻布 おかい(まふ おかい)奈良店 |
住所 | 奈良県奈良市橋本町7-1 |
電話 | 0742-26-7010 |
営業時間 | 10:00~19:00 |
定休日 | 不定休 |
名前 | 麻布 おかい(まふ おかい)東向店 |
住所 | 奈良県奈良市東向中町16 |
電話 | 0742-24-7119 |
営業時間 | 10:00~19:00 |
定休日 | 不定休 |
岡井麻布商店のオリジナル麻商品。
岡井考憲さん+岡井大祐さん / 株式会社 岡井麻布商店 奈良晒伝統工芸士 / 大和機で織る伝統の奈良晒【奈良県 奈良市】
奈良市中之庄、伝統の 奈良晒(ならざらし)を今も作り続けている老舗の工房と紹介されていたのは先程の麻製品のショップ 麻布 おかい(まふ おかい)を運営する 株式会社 岡井麻布商店(かぶしきがいしゃ おかいまふしょうてん)の工房。
機を織るのは奈良晒伝統工芸士・岡井考憲(おかい たかのり)さんと息子の奈良晒伝統工芸士・岡井大祐(おかい だいすけ)さん。奈良晒の伝統工芸士は、岡井さん父子2人のみ。
岡井大祐さんは株式会社 岡井麻布商店の代表取締役です。
使うのは 大和機(やまとばた)という伝統の織機。
糸は2種類。地元奈良で作られたものです。
経糸(たていと)に使うのはからむしの糸。
緯糸(よこいと)は精麻を指で裂き手で紡いだ糸。
緯糸にはよりはかけず、よりをかけないことで水分が吸収されやすくなるのだとか。
大和機(やまとばた)を今使っているのはこの工房だけです。
江戸時代には使われなくなったものを岡井さんが復元しました。
大和機には経糸を強く張らないという特徴があります。
厚みがあり、丈夫で昔ながらのな奈良晒に仕上がるといいます。
奈良で紡いだ糸を使い昔ながらの機で織る。奈良晒は今も守り続けられています。
岡井麻布商店のオリジナル麻商品。
エピローグ
草刈さんが裃(かみしも)を着ていると、ご先祖さまの声が聞こえてきました。
「裃とは武士の正装であるぞ!武士にふさわしい所作をせぬか!」と怒られます。長々続く小言に草刈さんつい居眠り。また怒られてしまいました。
でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。 U-NEXT虎に翼・
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真田丸 などの大河ドラマ、
探偵ロマンス・
正直不動産 などの名作ドラマ、
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音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
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