【美の壺】煎じて味わう 日本のお茶 File 572 で紹介された場所はどこ?/草刈正雄 木村多江

美の壺

NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「煎じて味わう 日本のお茶」File 572
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、声優・俳優の 平野正人(ひらの まさと)さん、ナレーション(語り)は俳優の 木村多江(きむら たえ)さんです。
最新エピソード 美の壺 File 602「観音」 もどうぞ併せてご覧下さい。

放送時間

BSプレミアム(2023年11月30日まで。2023年12月1日から NHK BS(BS101チャンネル) へ移動)
初回放送:2023年1月13日(金)19:30~20:00
再放送 :2023年1月21日(土)06:45〜、2023年1月27日(金)12:30~
     2023年2月20日(月)22:29〜、2023年11月8日(水)19:30〜
     2023年11月15日(水)08:00〜、2023年11月18日(土)06:45〜
BS4K(2023年12月1日から BSプレミアム4K へ名称変更)
初回放送:2023年1月13日(金)19:30~20:00
再放送 :2023年1月21日(土)06:45〜、2023年1月26日(木)23:00~
     2023年11月8日(水)19:30〜、2023年11月13日(月)14:00〜
     2023年11月15日(水)08:00〜、2023年11月18日(土)06:45〜
Eテレ
再放送 :2024年1月3日(水)13:30〜

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美の壺 京の抹茶 はこちらをどうぞ!

【美の壺】一服の交歓 京の抹茶 File 523 で紹介された場所はどこ?/草刈正雄 木村多江
NHK 美の壺「一服の交歓 京の抹茶」File 523(2021年1月8日放送)。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。宇治縣神社の献茶祭、裏千家 鈴木宗博さんの茶会、長谷川栄製茶場の合組、ANAインターコンチネンタルホテル東京の抹茶スイーツのアフタヌーンティーセット、ジャンポールエヴァンのマッチャケーキを紹介。

美の壺 大正ロマン はこちらをどうぞ!

【美の壺】和と洋の出会い 大正ロマン File 573 で紹介された場所はどこ?/草刈正雄 木村多江
NHK 美の壺「和と洋の出会い 大正ロマン」File 573(2023年2月3日放送)。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。アンティークショップ・東京蛍堂、渋谷のカフェバー The Bell Wood、大正の女学生に人気の着物・銘仙、秩父銘仙の織元・新啓織物、ステッキ専門店・銀座タカゲンとステッキ工房を紹介。

美の壺 2024年度(2024年4月〜2025年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!

【美の壺】2024年度バックナンバー 放送日時と出演者まとめ /草刈正雄 木村多江
NHK「美の壺」2024年度(2024年4月-2025年4月)の番組バックナンバーと放送日時まとめ。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。ゲスト出演者、紹介されたお店などをリストにしています。随時更新中。

美の壺 煎じて味わう 日本のお茶 File 572 内容

番組予告

▽日本茶インストラクター直伝!お茶の味わいを引き出だす驚きのテクニック
▽炭酸からくず粉まで!?オリジナルのアレンジで軽やかに楽しむ
▽中国からの渡来僧がもたらした煎茶文化と鮮やかな普茶料理
▽修行僧たちの茶礼に込められた教えとは
▽黄檗売茶流・煎茶道に宿るのもてなしの精神
▽お茶好き!徳川家康をしのぶお茶壺道中行列・口切の儀に密着
▽600年の歴史を持つ黒茶・そのお味は?
▽お茶がつなぐ人と人

プロローグ

草刈さんの家のお座敷に「御礼」の熨斗がついた箱が置かれています。一体誰から?
不思議に思っていると急須の姿をしたお茶の精霊 茶々幸(ちゃちゃさち)さんが話しかけてきました。

美の壺 一、新風:自由に、軽やかに楽しむ

ひとつめのツボは 新風:自由に、軽やかに楽しむ

和多田喜さん / 茶茶の間 日本茶ソムリエ / 新しいお茶の楽しみ方【東京都 表参道】

日本茶ソムリエ和多田喜の今日からお茶をおいしく楽しむ本

東京・表参道 にある日本茶の専門店 茶茶の間(ちゃちゃのま)。オーナーの 和多田喜(わただ よし)さんは学生時代に日本茶のおいしさを知り、2005年に茶茶の間をオープン。20年近く新しいお茶の楽しみ方を追求してきました。

こちらの店で扱っているお茶の多くはいわゆる緑茶。
かつて緑茶といえば宇治と静岡に2大産地のものが大半を占めていましたが、法律の改正などもあって多様な産地のものが手に入るようになったといいます。

和多田さんによると、ここ10年から15年位の間に シングルオリジン のお茶、すなわち1つの農園、1つの品種で作られたお茶が一般的に流通するようになったのだとか。
こちらのお店でもシングルオリジンのお茶にしかない個性的な香りや味わいを楽しめるように気を配って提供しています。

お茶の味わいを存分に引き出すための和多田さんオリジナルの淹れ方。
お店では「ひとえ」と「かさね」の2種類の淹れ方で提供。
見せてくれたのは一つの急須を使って同じ茶葉から味わいを複数回に分けて取り出す「かさね」という方法。
急須に茶葉を入れ、最初は温度を下げた湯をゆっくりと注ぎます。
細い針のようだったお茶の葉が少しずつ開き始めます。
1煎目では濃厚な味わいを大切に引き出します。

次に用意したのはなんとワイングラス。
湯を少量注いだ後、氷をぎっしりと急須の中へ入れて 冷茶 をいれます。冷たくしてお茶のコクを抑えることでむしろ香りが引き立ちます。

お茶を入れる楽しみは味や香りだけではありません。
お茶の葉の見た目にも注目してほしいと和多田さん。
水やお湯に触れて徐々にお茶の葉が開くのは時間が巻き戻っていくこと。
お茶を作るのに手間と暇がかかっているので、楽しみ方も手間暇かけて徐々に楽しんでいたほうがより深くお茶を見られるんじゃないかと語っていました。

名前茶茶の間(ちゃちゃのま)
住所東京都渋谷区神宮前5-13-14
電話03-5468-8846
WEBhttps://chachanoma.com/
営業時間金〜日:13:00〜17:00
定休日月曜〜木曜

和多田喜(わただ よし)さんの著書。

本間節子さん / 料理研究家・日本茶インストラクター【神奈川県 川崎市】

煎茶、ほうじ茶、抹茶、和紅茶でつくる 日本茶のさわやかスイーツ / 本間節子

料理研究家・日本茶インストラクターの 本間節子(ほんま せつこ)さんは 神奈川県川崎市 で料理教室 atelier h(アトリエ h)を開いています。
本間さんは大の日本茶ファン。教室にやってくる生徒の方々に日本茶の新しい飲み方を提案しています。

あたらしくておいしい日本茶レシピ / 本間節子

生徒のみなさんが「お茶の事はあまり知らない」と言われるので、取り組みやすい形でお茶のアレンジができたらもう少し間口が広がって日々の生活の中に取り込みやすいのではないかと考えています。

家にあるものでできるアレンジを心がけているという本間さん。
「気分をリフレッシュしたいときに最高」というのが緑茶に炭酸水を加えたもの。
余分なものは入れずにお茶の味わいをそのままに仕上げます。

続いて取り出したのは 柚子(ゆず)と 酢橘(すだち)。
それぞれ薄切りにしてお茶に浮かべるだけでおしゃれなハーブティー風に早変わりです。
柑橘の色合いがお茶の緑に映え、見た目も鮮やか。

オリジナルの煎茶アレンジを生み出してきた本間さん。新たに冬に最適なレシピ 葛入り煎茶 を考案しました。
料理教室の生徒、清水裕子さんと馬目祐子さんを招き味見をしてもらうことに。
葛粉に砂糖を合わせまろやかな味にしたてた葛湯を用意。その上にお茶を注ぐだけで出来上がりです。
ぬくもりがいつまでも続く葛入り煎茶です。

1つのお茶の封を開けた時に飲みきるのが意外と大変だという話をあちこちから聞きますし、自分自身もそうだという本間さん。
困ったという時に、食事と一緒にワインみたいに飲んでみたいと思うような新しい飲み方を提案したいと考えています。

お茶本来の風味を大切にしながら新しい楽しみ方を探し求める。
お茶にはまだまだ未知の世界が広がっています。

名前本間節子(ほんま せつこ)/ atelier h(アトリエ h)
住所神奈川県川崎市高津区
WEBhttps://atelierh.jp/

本間節子さんの著書。

美の壺 二、もてなし:親しく交わり、心を交わす

ふたつめのツボは もてなし:親しく交わり、心を交わす

吉野心源さん / 萬福寺 / 煎茶文化と普茶料理【京都府 宇治市】

京都府宇治市黄檗宗大本山 萬福寺(おおばくしゅうだいほんざん まんぷくじ)は 煎茶文化 の始まりの場所。
萬福寺は中国からの渡来僧 隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師が1661年に開いたお寺。
隠元禅師は江戸時代にお茶の新しい楽しみ方として煎じて飲む方法を日本に伝えたのです。

隠元禅師逸話選

解説してくれたのは萬福寺 教学部部長の 吉野心源(よしの しんげん)さん 。
隠元禅師は煎茶法を伝えただけでなくもう一つ茶にまつわるものを伝えました。
それが中国風の精進料理 普茶料理(ふちゃりょうり)です。
普茶料理の特徴は肉や魚に似せて作った 擬料理(もどきりょうり)。
紹介されていたのは豆腐で作った「うなぎもどき」や長芋に衣をつけて揚げた「かまぼこもどき」。
この普茶料理は客をお茶でもてなした後に続けて振舞われます。

普茶料理

普茶(ふちゃ)というのはあまねく大衆と茶を共にするという意味があり、普茶料理 は4人で1卓につき上下の隔てなく一堂に会して和気あいあいといただきます。
お茶と料理をいただくときには立場の違いを超えて仲睦まじく時を過ごす。
それがお茶と普茶料理の伝える「もてなしの心」です。

お茶は寺の日常には欠かせないもの。
今回特別にお茶にまつわる儀式の撮影が許されました。
座禅に専念する修行・摂心(せっしん)を終えた後の 摂了茶礼(せつりょうざれい)です。
摂心とは精神を集中し心を乱さないという意味。
厳しい修行を終えた後のひととき。指導役を担う僧侶も交えてお茶を嗜むことでしばし心身を和らげるのです。
萬福寺では大きな行事の前後など節目節目にこうした 茶礼(されい)を行います。
一緒に茶を喫する儀式の中に敬い・感謝・和合が含まれている。
お茶を通じて心が1つになるのだと吉野さんが教えてくれました。

普茶料理 は予約をすれば一般の参拝者もいただくことができます。
1人前 3,300円、5,500円、9,900円(すべて税込)の3コースあり。
3日前の午前中までに要予約。

名前黄檗宗大本山 萬福寺(おおばくしゅうだいほんざん まんぷくじ)
住所京都府宇治市五ケ庄三番割34
電話0774-32-3900
WEBhttps://www.obakusan.or.jp/
営業時間9:00〜17:00
定休日なし
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通仙庵孝典さん / 煎茶道 黄檗売茶流 / 煎茶道のお茶席

煎茶を嗜む芸道・煎茶道(せんちゃどう)。全日本煎茶道連盟には36流派が加盟し、非加盟の小流派も多数存在しています。煎茶道の開祖は萬福寺を開いた 隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師とされていて、全日本煎茶道連盟の事務局は萬福寺内に置かれ、会長は萬福寺の管長が兼務しています。

逍遥自在なひとときを 通仙庵雑記 / 通仙庵孝典

紹介されていたのは煎茶道の流派の1つ 黄檗売茶流(おうばくばいさりゅう)の高槻家元教室。
現在家元を務めるのは3代目の 通仙庵孝典(つうせんあん たかのり)宗匠。
通仙庵孝典さんは1976年生まれ。祖父は流祖・通仙庵巽堂さん、父は2代目家元通仙庵弘幸さん。
幼少期より煎茶道を学び、2019年に黄檗売茶流家元を継承しました。

お茶席を催す上で最も大切なことは「来るものを拒まず」の精神だといいます。
床の間に飾られた掛け軸には「喫茶去(きっさこ)」と書かれています。
喫茶去とは「お茶でもいかがですか」「お茶でも飲んでいかれませんか」という掛け声のような意味。
一期一会1回限りのお客様であっても、毎日顔を合わせているなじみの客であってもおもてなしの質を変えてはいけないという教えがあります。

掛け軸の下には主催者である席主がしつらえた煎茶道ならではの飾り物・盛物(もりもの)も供えられています。
ざくろ は子孫繁栄、 は不老不死、ゆり根 は年の功を重ねる。
縁起の良いものや季節のものをあしらい、客と言葉を交わすきっかけにもします。

お茶室が整ったら客を迎え手前を披露。お手前を見せてくれたのは煎茶道師範 唐木岱仙(からきたいせん)さん。
黄檗売茶流では椅子に座っての 立礼(りゅうれい)を作法としています。
大切なお茶を汚さぬよう初めに不浄の手とされる左手やお茶の道具を袱紗で清めます。
一般的に知られているお茶のいれ方は急須にあらかじめお茶の葉を入れその後にお湯を注ぎますが、黄檗売茶流は作法が全く違います。

まず急須を直に火にかけ沸騰するまでお湯を沸かします。そして熱湯の中にお茶の葉を一気に入れるのです。
ジュッと音が鳴ると同時に部屋中に煎茶の香りが立ち、お茶の空気に包まれます。

知己との親睦であったり親子の語らいであったりそういった他愛のない時間の真ん中に煎茶は存在すべきだと通仙庵さん。
気配りの行き届いた煎茶の席。
そのもてなしの精神とかぐわしいお茶の香りが来る人を優しく包み込みます。

名前煎茶道 黄檗売茶流(せんちゃどう おうばくばいさりゅう)高槻家元教室
住所大阪府高槻市天神2-1-3 廣智寺内
電話072-681-7148
WEBhttps://sencha-oubakubaisa.jp/
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美の壺 三、つなぐ:味わいと思いは、時を超えて

最後のツボは つなぐ:味わいと思いは、時を超えて

海野俊堂さん / 煎茶道 静風流 / 久能山東照宮の口切りの儀【静岡県 静岡市】

日本有数のお茶の産地・静岡。中でも安倍川水系沿いの山あいに広がるお茶の畑は寒暖の差が大きく美味しいお茶ができることで知られています。
ここで採れる 静岡本山茶(しずおかほんやまちゃ)を気に入り愛飲していたのが 徳川家康
家康は晩年を静岡で過ごし、久能山東照宮(くのうざんとうしょうぐう)に眠っています。

家康は春の新茶を峠の蔵に保管させ、秋になるとその熟成した味わいを楽しんだとされています。
その故事にちなんで家康にお茶を献じるのが 口切りの儀(くちきりのぎ)。
煎茶道 静風流(せんちゃどう せいふうりゅう)3代目家元・海野俊堂(うんの しゅんどう)宗匠が取り仕切ります。
海野俊堂さんは大学でデザインを専攻。結婚を機に妻の家業であった煎茶道を学び初め第2代家元海野彰堂氏に師事。1985年に第3代家元を継承しました。

紹介されていたのは2022年10月30日に行われた第40回 駿府本山お茶壺道中行列
井川大日峠のお茶蔵で 蔵出しの儀 を行い、お茶蔵で半年間保管していた茶壺を蔵から取り出します。
その後、茶壺は時代衣装を身にまとった道中行列一行により久能山東照宮拝殿まで運ばれます。
家康も自らの住む駿府城までこのようなお茶壺道中を仕立ててお茶を運ばせたと伝えられています。

秀吉や信長のように茶室を持ったり、あるいは茶道具に凝ったりという人物はいましたが、家康ほど美味しくお茶を飲むことにこだわった人はいないんじゃないかという海野さん。
献じるお茶は家康の時と同じく蔵の中でおよそ半年かけて熟成させたもの。
海野さんは新しい年への願いを込めて茶葉で1字をしたためます。
書いたのは「徳」。前年に書いた「福」と合わせると「福徳」。他のものに恵みを与え自らは得を積むという意味だといいます。

連綿と続いてきたお茶を愛する心。
封を開けたときのお茶の香りを1番先に嗅いだ海野さん。
家康公にごめんなさいと、美味しく入れて飲ませたいなという気持ちになったそうです。

名前久能山東照宮(くのうざんとうしょうぐう)
住所静岡県静岡市駿河区根古屋390
電話054-237-2438
WEBhttps://www.toshogu.or.jp/
営業時間9:00〜17:00
定休日なし
名前煎茶道 静風流(せんちゃどう せいふうりゅう)
住所静岡県静岡市葵区鷹匠2-11-3
電話054-252-5433
WEBhttp://www.culture.ne.jp/

徳川家康が愛した静岡本山茶(しずおかほんやまちゃ)。

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松原千代子さん+谷口邦子さん+平木利明さん / 地域に伝わる黒茶・バタバタ茶【富山県 朝日町蛭谷地区】

富山県 東部、朝日町 蛭谷(びるだん)地区には室町時代からおよそ600年続く独特のお茶の文化があります。お茶をみんなで楽しむ場所が 朝日町立バタバタ茶伝承館(あさひちょうりつ バタバタちゃでんしょうかん)。2010年に保育所だった建物を改装し、喫茶室とお茶の製造工場をつくりました。
週に4回、地元の人たちが集まって バタバタ茶(バタバタちゃ)と呼ばれるお茶を味わいます。

お茶の準備は当番制。撮影日の当番は小さい時からバタバタ茶を飲んでいるという 松原千代子(まつばら ちよこ)さん。
ぐらぐらと煮え立つ鍋にお茶の葉が詰まった袋を投入。普通のお茶のいれ方とはだいぶ様子が違います。20分ほど、ずっとグラグラ煮出します。
鍋の中はいつの間にか真っ黒に。
でも失敗したわけではありません。茶葉は緑茶とは全く違い焦茶色をしている独特なもの。

バタバタ茶は 黒茶(くろちゃ)と呼ばれる 後発酵茶(こうはっこうちゃ)。乳酸菌あるいはチーズ菌、納豆菌のような菌で発酵させるお茶です。
室町時代には浄土真宗の布教の際にもふるまわれたとされる歴史のあるお茶ですが、1980年代には富山県内の1社が少量を製造するのみ。伝統が途絶えようとしていました。
朝日町の文化として残すために1989年から朝日町商工会が中心となってバタバタ茶の製造を受け継ぎます。朝日町商工会の 平木利明(ひらき としあき)さんはおよそ30年間このお茶を作り続けてきました。

黒茶になるお茶の葉は普通の緑茶と同じものです。
違うのはお茶の葉を刈り取った後。室(むろ)に入れておよそ40日、乳酸菌などの働きでじっくりと発酵させてから、天日で乾燥させてつくります。

バタバタ茶は飲み方も独特です。
蛭谷(びるだん)生まれ蛭谷育ちの 谷口邦子(たにぐち くにこ)さんが飲み方を教えくれました。

茶碗に1杯入れて、2本をつないでいる 夫婦茶筅(めおとちゃせん)と呼ばれる茶筅で泡立てます。
茶筅を持ってちょっと浮かすようにして左右にぶつけてバタバタとするだけ。これがバタバタ茶の由来。

泡立てるのには理由があります。
1つは熱いお茶を冷ますため、もう1つは舌触りを滑らかにするためです。
綺麗に泡立ったら飲み方は自由。

かつてはそれぞれの家で開かれたというお茶の集まり。
30年前は各家庭でお茶会を1日に大体2時間から3時間、世間話をしながら悩み事を相談したりしていました。
集落が1つのまとまりのあるでかい家族のような感じを受けた、と平木さん。
バタバタ茶の文化を守っていかないといけないと語ります。
温かなお茶がつなぐ人と人。
古くから続くお茶の風習がその大切さを語りかけてきます。

朝日町立バタバタ茶伝承館 では旅行者もバタバタ茶を無料で体験できます。
蛭谷の方達といっしょにお茶をいただいてみたいですね。

名前朝日町立バタバタ茶伝承館(あさひちょうりつ バタバタちゃでんしょうかん)
住所富山県下新川郡朝日町蛭谷484
電話0765-84-8870
WEBhttps://www.asahi-tabi.com/asahimachi/262/
営業時間月水金土:10:00~15:00
定休日火曜・木曜・日曜、冬期(12月中旬~2月末)
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エピローグ

箱の中身は美味しそうなお饅頭。いぶかしく思いながらも茶々幸さんの促すままにお茶を入れていただくと、なんだか飲んだことあるようなお茶の味。
実は茶々幸さん、亡き草刈さんのお父様からの依頼でお茶とお菓子を届けてくれたのだとか。
子供の頃お父さんと半分こしたお饅頭も思い出の味でした。

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音楽 BGM

ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。

オープニングテーマ

オープニングテーマArt Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。

番組内 楽曲

美の壺 2024年(2024年1月〜2024年12月)放送スケジュール 初回放送・再放送 全まとめ はこちらをどうぞ!

【美の壺】2024年 放送スケジュールまとめ 初回放送・再放送/草刈正雄 木村多江
NHK「美の壺」2024年(2024年1月-2024年12月)放送スケジュール(初回放送・再放送)日時まとめ。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。ゲスト出演者、紹介されたお店などをリストにしています。随時更新中。

美の壺 2024年度(2024年4月〜2025年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!

【美の壺】2024年度バックナンバー 放送日時と出演者まとめ /草刈正雄 木村多江
NHK「美の壺」2024年度(2024年4月-2025年4月)の番組バックナンバーと放送日時まとめ。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。ゲスト出演者、紹介されたお店などをリストにしています。随時更新中。

美の壺 2023年度(2023年4月〜2024年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!

【美の壺】2023年度バックナンバー 放送日時と出演者まとめ /草刈正雄 木村多江
NHK「美の壺」2023年度(2023年4月-2024年4月)の番組バックナンバーと放送日時まとめ。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。ゲスト出演者、紹介されたお店などをリストにしています。随時更新中。

美の壺 2022年度(2022年4月〜2023年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!

【美の壺】2022年度バックナンバー 放送日時と出演者まとめ /草刈正雄 木村多江
NHK「美の壺」2022年度(2022年4月-2023年3月)の番組バックナンバーと放送日時まとめ。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。ゲスト出演者、紹介されたお店などをリストにしています。随時更新中。

美の壺 2021年度(2021年4月〜2022年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!

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NHK「美の壺」2021年度(2021年4月-2022年3月)の番組バックナンバーと放送日時まとめ。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。ゲスト出演者、紹介されたお店などをリストにしています。随時更新中。

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NHK「美の壺」2016年度(2016年4月-2017年3月)の番組バックナンバーと放送日時まとめ。出演は草刈正雄さん、語りは木村多江さん。ゲスト出演者、紹介されたお店などをリストにしています。随時更新中。
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