NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「魅惑の相棒 猫」File 527
出演は俳優の 草刈正雄(くさかりまさお)さん、ナレーション(語り)は女優の 木村多江(きむらたえ)さんです。
最新エピソード 美の壺 File 624「雪」 もどうぞ併せてご覧下さい。
BSプレミアム(2023年11月30日まで。2023年12月1日から NHK BS(BS101チャンネル) へ移動)
初回放送:2021年2月12日(金)19:30~20:00
再放送 :2021年2月20日(土)06:45〜、2022年2月12日(土)06:45〜
2022年2月18日(金)12:30〜、2022年2月22日(火)17:09〜
BS4K(2023年12月1日から BSプレミアム4K へ名称変更)
初回放送:2021年2月12日(金)19:30~20:00
再放送 :2021年2月15日(月)16:00〜、2021年2月19日(金)09:00〜
Eテレ
再放送 :2023年2月12日(日)23:00〜、2023年2月15日(水)05:30〜
総合
再放送 :2023年10月14日(土)16:55〜
U-NEXT でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。虎に翼・らんまん・なつぞら などの朝ドラや 光る君へ・鎌倉殿の13人・真田丸 などの大河ドラマ、探偵ロマンス・正直不動産 などの名作ドラマ、ファミリーヒストリー「草刈正雄」を一気見できます。U-NEXTは初回31日間無料トライアル。NHKオンデマンド は別料金ですが、もらえる600ポイントで購入できます。PR
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美の壺 魅惑の相棒 猫 File 527 内容
▽黄色、青、緑…多彩な猫の目。グッと近寄れば更なる魅力を発見
▽じっとこちらを見つめる猫のまなざしに振り回される、漫画家のヤマザキマリさん。猫の目の描き方の秘けつとは?
▽猫好き浮世絵師・歌川国芳の猫。かわいくもおかしい多種多様なポーズ
▽200匹もの猫があふれる猫島で写真家に密着
▽今にも触れたくなる…日本画の巨匠が描いたフワフワ猫
▽伝統工芸・沈金の技で猫の毛並みに挑む!
▽草刈家に美猫
プロローグ
最近、縁側に煮干し、チーズ、のり、おかかが置かれていると不思議に思っていた草刈さん。
食べ物を置いていったのは、猫ちゃん?
保護猫カフェ ねこかつ【埼玉県 さいたま市】
番組に撮影協力されたのは埼玉県川越市の 保護猫カフェ ねこかつ さん。番組の所々で登場する猫たちは ねこかつ さんで撮影されています。
猫の保護活動=猫活 という思いを込めて名付けた店名。カフェにいるのは行き場のなかった猫たち。猫を保護しながら同時に飼い主も募集しています。
川越店と大宮日進店の2店舗を運営。東京都・埼玉県で譲渡会・イベントもされています。
お店に行ってみて、相性の良い猫ちゃんがいたらお迎えを検討することもできます。
飼えないけれど猫と遊びたい方も、もちろん遊びに行ってOKです。
気になるカフェの料金は1ドリンク付きの時間制。
30分 ¥600、1時間 ¥1,000、以降30分ごとに ¥400。
名前 | 保護猫カフェ ねこかつ 川越店 |
住所 | 埼玉県川越市新富町1-17-6 |
WEB | http://cafe-nekokatsu.com/ |
営業時間 | 火〜日:12:00〜20:00 |
定休日 | 月曜 |
名前 | 保護猫カフェ ねこかつ 大宮日進店 |
住所 | 埼玉県さいたま市北区日進町2-851-1 MKビル2F |
営業時間 | 水〜日:12:00〜17:00 |
定休日 | 月曜・火曜 |
美の壺 一、目:人の心を揺さぶる 神秘のまなざし
ひとつめのツボは 目:人の心を揺さぶる 神秘のまなざし。
山根明弘さん / 西南学院大学教授 動物学者 / 猫の研究【福岡県】
黄、青、緑、多彩な色の猫の目。
猫の目をひたすら見つめてきた人と紹介されていたのは西南学院大学教授 動物学者 山根明弘(やまね あきひろ)さん。1966年兵庫県生まれ。九州大学理学部卒業。九州大学大学院に進学した1989年からノラネコの研究を開始。博士課程修了、理学博士。専門は動物生態学、集団遺伝学。
32年にわたり500匹以上の猫の生態を研究してきました。「猫博士(ねこはかせ)」として知られています。NHK「ダーウィンが来た」の猫特集や「趣味どきっ! 不思議な猫世界」にも出演されました。
人生の半分以上を猫に捧げてきた山根さん。猫が多いこととで知られている 福岡県糟屋郡新宮町 の 相島(あいのしま)でノラネコの生態を追うフィールドワークを続けています。
山根さんが最初に行うのは「個体識別」という作業。研究ノートにはそれぞれの猫を識別するため1匹1匹の特徴を記録しています。
模様や尻尾の形はもちろん、目まで細かく分類して猫の特徴を記入。名前もつけているそうです。
猫の目の微妙な色合いに惹かれるようになった山根さん。同じ黄色でも薄い黄色、レモン色、オレンジ色に近い色、なかなかステレオタイプに分けることができない、と語ります。
綺麗な清水から湧き出してくる水と真砂が敷き詰められた泉の底のようで、ずっと見ていても飽きない魅力。
見つめていると吸い込まれてしまいそうな猫の目。
その輝きに似ていることから Cat’s Eye(キャッツアイ、猫目石)と名付けられた宝石まであります。
人類は猫の目のミステリアスな美しさに魅かれてしまうのでしょうね。
名前 | 山根明弘(やまね あきひろ) |
WEB | https://seis-trinf.seinan-gu.ac.jp/detail/profile/0000008162.html |
山根明弘さんの著書。
ヤマザキマリさん / 漫画家 / 猫の目の描き方【イタリア】
漫画家の ヤマザキマリ さんはこれまで飼った猫は20匹以上。今の相棒はポルトガル生まれでベンガル猫の ベレン です。
ヤマザキマリさんは1967年東京都生まれ。札幌交響楽団のヴィオラ奏者だった母の仕事の関係で幼少期を北海道で過ごし、17歳でイタリア留学。フィレンツェのフィレンツェ・アカデミア美術学院で美術史と油絵を学びます。
1996年イタリア暮らしを綴ったエッセー漫画でデビュー。2008年から連載した「テルマエ・ロマエ」が大ヒット。阿部寛さん主演で映画化されました。現在はイタリア在住。(参照:wikipedia)
日本、イタリア、シリア、ポルトガル、アメリカ、世界各地を転々としてきたヤマザキさんの傍らにはいつも猫がいたといいます。
何をしていても遠くの方でじっとヤマザキさんの行動を見ているベレン。猫は人間を観察している、とヤマザキさん。
現在連載中の漫画「プリニウス」にも猫が登場し、主人公のそばで人々の動向をじっと観察しています。
ヤマザキさんが猫を描く時に最も力を入れるのが目の描写。描き始めると結構時間がかかるのだとか。
アーモンド型の目や瞳に感情が宿ります。
怒ってる時は上瞼の形が変わります。何か狙ったりしている時は瞳孔が開き、まんまる大きな黒目。
猫のまなざしは人の横柄さを抑制してくれる。「威張りくさるんじゃないよ」って言われている感じがする、とヤマザキさんは語ります。
名前 | ヤマザキマリ |
WEB | https://yamazakimari.com/ |
ヤマザキマリさんの著作「テルマエ・ロマエ」と「プリニウス」。
美の壺 二、しぐさ:愛しくもおかしい しなやかな動き
ふたつめのツボは しぐさ:愛しくもおかしい しなやかな動き。
金子信久さん / 美術史家 / 歌川国芳「猫飼好五拾三疋」【東京都 府中市】
日本人と猫は昔から親しい関係にありました。
平安時代に記された「源氏物語」にも猫が登場します。「源氏物語絵色紙帖 若菜上 詞菊亭季宣(げんじものがたりえしきしじょう わかなじょう ことばきくていすえのぶ)」では、紐に繋がれ貴族のペットとして愛されていた猫の様子が描かれています。
江戸時代、ネズミ駆除に役立つと猫を町なかに放し飼いにするようお触れが出ました。猫は庶民の暮らしに入り込み、飼い猫や野良猫が増えることに。
浮世絵師 歌川国芳(うたがわ くによし)が描いた「猫飼好五拾三疋(みゃうかいこうごじゅうさんびき)」。「東海道五十三次」にちなんだ50匹以上の猫が様々なポーズをとっています。
袋をかぶって遊んでみたり、のんきに首をかいたり。可愛らしくて微笑ましい しぐさがいっぱい。
解説してくれたのは美術史家 金子信久(かねこ のぶひさ)さん。1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。福島県立博物館学芸員などを経て府中市美術館学芸員。専門は江戸時代絵画史。
近年は日本絵画の「かわいい」に焦点を当てる研究にも力を注ぎ、2013年に府中市美術館「かわいい江戸絵画」展をキュレーション。日本絵画に馴染みの薄かった若い世代にも人気の展覧会となりました。
金子さんは「ねこと国芳」「めでる国芳ブック ねこ」など歌川国芳の描いた猫の絵に関する著書も書かれています。
これほどまでにいろいろな仕草、いろいろな動きを描いたのは、国芳が猫が好きだったということに尽きるようです。
猫の姿をみんな描き尽くした、猫の絵の歴史上初めて国芳が実現した、と金子さん。
国芳だけではなく江戸の絵師たちはさまざまな猫の姿を描きました。
鈴木春信「水仙花」では、こたつの上で丸くなる猫。
歌川広重「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」では、窓の外を眺める猫。
江戸の絵師は猫のしぐさに人間のおかしみや哀愁を重ねたのかもしれません。
名前 | 府中市美術館(ふちゅうしびじゅつかん) |
住所 | 東京都府中市浅間町1-3-3 |
WEB | https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/ |
営業時間 | 火〜日:10:00〜17:00 |
定休日 | 月曜 |
金子信久さんの著書。
沖昌之さん / 猫専門写真家 / 猫島の猫【熊本県 湯島】
熊本県上天草市大矢野町 にある 湯島(ゆしま)。200匹もの猫が290人ほどの人間と暮らしているこの島は別名:猫島(ねこしま)とも呼ばれています。
猫たちは島の人たちにとても懐いていて、気持ち良さげに撫でられたり、膝の上に乗って1日を過ごしたり。幸せそうに共存しています。
猫まみれになっていたのは猫専門の写真家 沖昌之(おき まさゆき)さん。1978年、神戸生まれ。家電の営業マン、アパレルを経て、2015年に写真家として独立。まるで人間のようなしぐさをする猫の写真が話題を呼んでいます。
「たたかれてるよね?何かシャー言うてるね。どうした?」と猫に話しかけながら身をかがめシャッターを切っています。猫の日常を追いかけながら、猫目線でチャンスを待つのです。
1日中シャッターチャンスを狙っていてもまるで疲れるそぶりもなく「心の移り気な感じがとてもかわいい」と猫にメロメロな沖さんでした。
名前 | 沖昌之(おき まさゆき) |
WEB | http://blog.livedoor.jp/nora_neco_chan/ |
沖昌之さんの写真集。
美の壺 三、艶:気高さをもまとう毛艶
最後のツボは 艶:気高さをもまとう毛艶。
山﨑妙子さん / 山種美術館 館長 / 竹内栖鳳「班猫」【東京都 広尾】
東京・渋谷区、数々の日本画を所蔵する 山種美術館(やまたねびじゅつかん)。山種証券(現:SMBC日興証券)創業者の 山崎種二(やまざき たねじ)さんが蒐集したコレクションを展示する日本画専門美術館として1966年に開館しました。
現在の館長は山崎種二さんの孫にあたる3代目 山﨑妙子(やまざき たえこ)さん。1961年生まれ、慶應義塾大学卒業後、東京藝術大学大学院美術研究科後期博士課程修了。2007年から山種美術館館長を務めています。
山﨑さんは 美の壺 File 622「炎」の回にも出演されました。
山種美術館にいる魅惑的な猫と紹介されたのは動物画で有名な 竹内栖鳳(たけうちせいほう)の「班猫(はんびょう)」。栖鳳の代表作です。
目を引くのは今にも触れたくなるような柔らかな毛並み。古くから伝わる 毛描き(けがき)という日本画の技法を使って毛並みを表現しました。
館長の山﨑妙子さんが解説してくれました。
毛描きの技法は日本画の絵の具をぼかして描いた上から猫の毛1本1本を描いています。思わずこう触ってみたくなるような描写。ここまで追求してる動物画はそんなにないかもしれないというほど細かで繊細な毛並みです。
モデルとなったのは八百屋の店先で見かけた猫。栖鳳は一目見た瞬間この猫にほれ込み、自身の絵と引き換えに譲ってもらったといいます。
栖鳳が毛並みの輝きを再現するために使ったのが金(きん)。金を使うことで猫という存在が持つ高貴さや気高さを描こうとしたのではないか、と山﨑さん。
名前 | 山種美術館(やまたねびじゅつかん) |
住所 | 東京都渋谷区広尾3-12-36 ワイマッツ広尾 |
電話 | 050-5541-8600 |
WEB | https://www.yamatane-museum.jp/ |
営業時間 | 火〜日:10:00〜17:00 |
定休日 | 月曜、展示替え期間、年末年始 |
「班猫」の高精細複製画。
鳥毛清さん / 漆芸家 / 沈金で描く猫【石川県】
漆芸(しつげい)の技法の一つ 沈金(ちんきん)の作品でいくつもの賞を受賞してきた 鳥毛清(とりげ きよし)さん。1955年、石川県生まれ。石川県立輪島実業高校木材工芸科卒業後に沈金を前史雄さんに師事。もともと絵描きになりたかったという鳥毛さんは作品からも画力の高さが伺えます。
今まで100点近く猫の作品を作ってきた鳥毛さん。猫の艶やかな毛並みを追求しています。
繊細な毛を表現するために鳥毛さんが欠かさずしていることは、全てを触ってみること。愛猫の黒猫のネロさんを毎日撫ででいます。
沈金の表現。まず漆が塗られた板に猫の輪郭線を描き、ここに毛並みを彫っていきます。
顔や肉球など短い毛の部分は細かい点で、毛の長い胴の部分はしなやかな線で。5~6種類の彫り方を使い分けています。
毛並みの下書きは一切ありません。修正のきかない一発勝負の彫りですが、毎日猫を触っている鳥毛さんは自然と手が動くのといいます。
彫り終えたら金粉をすり込みます。
余計な金粉を拭き取ると毛の彫り分けによって躍動感あふれる猫が現れました。
鳥毛さんの創作を支えているのが黒猫のネロ。毎日触られてつやつやの毛並みです。
鳥毛さんは角度を変えると虹色に見える黒猫独特の毛艶を再現しようと新たな挑戦をしました。
金は一切使っていませんが、光の角度を変えるとほんのり虹色の光が浮かびます。猫の艶やかな毛並みは芸術家の創作意欲を刺激してやみません。
沈金で描かれた絵が美しい鳥毛清さんの沈金絵本。
エピローグ
草刈さんが子どもの頃飼っていたモモという三毛猫。モモのオモチャや毛布を出してくると遊びに来た猫ちゃんも気に入ってくれたみたいです。
昔の写真を出してきたら、猫ちゃんはモモにそっくり。また猫と一緒に暮らしたくなった草刈さんでした。
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音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
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