NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「ひらり華麗に 蝶」File 580
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーション(語り)は俳優の 木村多江(きむら たえ)さんです。
最新エピソード 美の壺 File 621「平安の美」 もどうぞ併せてご覧下さい。
BSプレミアム(2023年11月30日まで。2023年12月1日から NHK BS(BS101チャンネル) へ移動)
初回放送:2023年5月17日(水)19:30~20:00
再放送 :2023年5月24日(水)08:00~、2023年5月27日(土)06:45〜
2023年9月22日(金)06:45〜
NHK BS(BS101チャンネル)
再放送 :2024年1月10日(水)09:30〜
BS4K(2023年12月1日から BSプレミアム4K へ名称変更)
初回放送:2023年5月17日(水)19:30~20:00
再放送 :2023年5月22日(月)14:00~、2023年5月24日(水)08:00~
2023年5月27日(土)06:45〜
BSプレミアム4K
再放送 :2024年1月8日(月)14:00〜、2024年1月10日(水)08:00〜
2024年1月13日(土)06:45〜
総合
再放送 :2023年5月31日(水)15:10~
Eテレ
再放送 :2024年5月5日(日)23:00〜、2024年5月13日(月)05:55〜
U-NEXT でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。虎に翼・らんまん・なつぞら などの朝ドラや 光る君へ・鎌倉殿の13人・真田丸 などの大河ドラマ、探偵ロマンス・正直不動産 などの名作ドラマ、ファミリーヒストリー「草刈正雄」を一気見できます。U-NEXTは初回31日間無料トライアル。NHKオンデマンド は別料金ですが、もらえる600ポイントで購入できます。PR
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美の壺 2024年度(2024年4月〜2025年3月)バックナンバー はこちらをどうぞ!
美の壺 ひらり華麗に 蝶 File 580 内容
▽「春の女神」、ギフチョウの舞い
▽僅か3か月の儚い命の輝き
▽美術家・小松孝英さんが描く!金箔に乱舞する蝶
▽江戸の画家・伊藤若冲の「芍薬群蝶図」
▽明治を代表する七宝家・並河靖之・テレビ初公開の作品も!
▽圧巻の輝き!超絶技巧が生み出す蝶のオブジェ
▽蝶のデザインで世界を魅了!オートクチュールデザイナー・森英恵さん
▽華麗なドレスが続々登場!
▽伝統の西陣織に夢をのせた蝶が羽ばたく!
プロローグ
草刈さんの家の庭に女の子が。
「あんまりお花がきれいだったから」と言っていますがどこからやってきたのでしょうか?
美の壺 一、生態:出会いの一瞬を切りとる
ひとつめのツボは 生態:出会いの一瞬を切りとる。
海野和男さん / 昆虫写真家 / 蝶の写真【長野県 小諸市】
世界中の蝶を追い求めで50年以上、昆虫写真家の 海野和男(うんの かずお)さん。
海野さんは1947年東京生まれ。小学生の頃から昆虫と写真に興味を持ち、東京農工大学で昆虫行動学を学んでいた頃に蝶の写真でも注目され、卒業後はフリーの昆虫写真家に。昆虫写真家の草分け的な存在。1990年に長野県小諸市の豊かな自然に惹かれアトリエを構え、日本はもとより世界中の昆虫を撮影。本格的な写真集を多数出版しているだけでなく子供向けの昆虫図鑑も多く手がけています。
海野さんの写真には蝶の生命力あふれる瞬間が写し出されています。
1番のお気に入りの蝶はマレーシアにいる アカエリトリバネアゲハ。
羽を広げると15cmくらい。首の周りが赤く、メタリックの緑とビロードのような黒で止まっている姿が特に麗しいといいます。
沖縄の空の下、サンタンカの花に来る モンキアゲハ。
1日かけて蝶と駆け引きした末、極上の瞬間を撮ることができました。
アゲハチョウは赤い色が好きで、白い蝶は青い色が好き。蝶は目で見る生き物で、人間も目でいろんなものを感じる生き物という共通点があります。それがとても魅力だと海野さん。
昆虫行動学を学んだ海野さんは蝶の姿形だけでなくその行動や生態もすべて魅力的に感じているようです。
名前 | 海野和男(うんの かずお) |
住所 | 長野県小諸市 |
WEB | https://www.goo.ne.jp/green/life/unno/diary |
海野和男さんの著書。
海野和男さん / 昆虫写真家 / ギフチョウの撮影【福井県 あわら市】
海野さんは、蝶の生態をよく知ることが魅力的な写真を撮る秘訣だといいます。
福井県あわら市 の早春の林で、春の女神と呼ばれる ギフチョウ を探します。
桜の咲く頃にしか見られないギフチョウは本州のみに生息する日本固有種で、黒と黄色の縞模様が特徴です。
カンアオイ を発見。カンアオイはギフチョウの幼虫が食べる草。
メスはカンアオイの葉の裏に卵を産み、産卵を終えると息絶えます。
生まれてからわずか3週間の儚い命。海野さんはその刹那の輝きを捉えます。
1年に1回、春一番に出てくるカンアオイ。毎年会えるけれど一期一会。そういうことがわかって撮れるのが楽しいと語っていました。
海野和男さんの著書。
小松孝英さん / 美術家 / 蝶の画【宮崎県 宮崎市】
宮崎県宮崎市 の美術家 小松孝英(こまつ たかひで)さんは 金箔や銀箔を背景にした日本画の技法で蝶の舞を描く画家。宮崎を拠点に世界各地で個展を開催し、高い評価を得ています。
こちらは地元九州と台湾のどちらにも生息している蝶を乱舞させた作品「玉山 群蝶図」。
金箔を使って奥行きを出すことで、蝶が飛ぶ姿に臨場感を与えました。
昆虫好きの父の影響で、幼い頃から蝶を観察するのが大好きだった小松さん。
宮崎は本温帯と亜熱帯の両方の蝶が見られるところで、たくさんの蝶に出会ったといいます。
記憶の中にある飛んでいた姿を1番描きたくて、子供の頃からずっと見てきた記憶の中での動きを表現することを大切にしています。
日本の蝶には西洋にはない独特な模様があると知った小松さん。その模様が土地土地に伝わる衣服や工芸などのデザインに影響を与えたのではないかといいます。
小松さんには、子供の頃に見た忘れられない光景があります。
雨上がりの晴れた日、山から水が流れ出し、水たまりには蝶の大群がうごめい手いました。
水を飲みに一気に集まってくる集団給水という行動です。蝶の生命力を感じる瞬間を絵に閉じ込めました。
マルス信州蒸溜所のウイスキー「マルスモルト ル・パピヨン」のラベルも描きました。
日本に生息する275種類の蝶を1匹1匹描いた作品は完成まで2年を費やしました。
名前 | 小松孝英(こまつ たかひで) |
住所 | 宮崎県宮崎市 |
WEB | http://www.takahidekomatsu.com/ |
小松孝英さんの作品集。
かわなか保育園 / 蝶の天井画【宮崎県 延岡市】
紹介されていたのは 宮崎県延岡市 にある かわなか保育園 の天井画。2019年の作品です。
小松さんはこれまで出会ったたくさんの蝶を描きました。
自然環境が変化し、生態系が脅かされる今、身近に暮らす蝶の姿を絵にとどめ、子供たちに伝えたい
そんな思いを込めました。
子供たちは天井画を眺めて色々な発見をします。「黄色い蝶々がカエルを運んでいる」などといった遊び心も忍ばせています。
こういう昆虫たちがかつてここに普通にいたということを身近にいたっていうことを知って欲しい。
ここで探して、実際に本物を探しに行ってほしいという気持ちで描いたという小松さん。
蝶が舞う環境に思いを馳せ小松さんは描き続けます。
名前 | かわなか保育園 |
住所 | 宮崎県延岡市東本小路5-1 |
電話 | 0982-32-3408 |
WEB | https://tachibana-kai.jp/kawanaka/ |
美の壺 二、色:永遠の命を吹き込む
ふたつめのツボは 色:永遠の命を吹き込む。
日本美術の中の蝶
古くから日本でも蝶が描かれてきました。日本美術の中の蝶 を紹介。
狩野晴川院(かのうせいせんいん)「源氏物語図屏風」
平安時代に書かれた「源氏物語」。胡蝶(こちょう)の1場面を描いた屏風絵です。
春の仏事に蝶の羽をつけた子供たちが山吹を手に待っている姿が描かれています。
古くから日本人は蝶を愛でててきました。
伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)「動植綵絵(どうしょくさいえ)芍薬群蝶図(しゃくやくぐんちょうず)」
江戸の絵師・伊藤若冲の動植綵絵(どうしょくさいえ)にも蝶が登場します。
芍薬(しゃくやく)の上に幻想的な蝶が飛び交う傑作です。
正阿弥勝義(しょうあみ かつよし)「蝶紋金総金具堆黒鞘合口拵(ちょうもんきんそうかなぐついこくあいくちこしらえ)」
合口(あいくち)の鞘(さや)にも蝶が。
サナギから華麗に生まれる変わることから、蝶は縁起物として武士たちにも好まれました。
村田理如さん / 清水三年坂美術館 館長 / 七宝家 並河靖之の蝶【京都】
明治の工芸界の頂点を極めた七宝家の 並河靖之(なみかわ やすゆき)。七宝(しっぽう)にはなかった様々な色を生み出した並河にとって蝶は大切な題材の1つでした。
解説してくれたのは並河の作品を多数所蔵する 清水三年坂美術館(きよみずさんねんざかびじゅつかん)館長の 村田理如(むらた まさゆき)さん。
並河靖之(なみかわ やすゆき)「瓢形花生一対(ひさごがたはないけいっつい)」
明治に作られた瓢形(ひさごがた)の一対の花瓶。透明感のある艶やかな黒い地が華やかな蝶を引き立てます。
ここに描かれているのは想像上の蝶。羽を独創的な色使いで表現しています。
並河靖之(なみかわ やすゆき)「蝶花唐草文香水瓶」
わずか7cmの高さの香水瓶。同じ図案で背景だけ色を変えた3種あり。西洋を意識したアジアならではのエキゾチックさを打ち出しています。
裏側のデザインはシンプルに。日本らしい空間の美を残して品格を出しました。
並河はなぜ想像した蝶たちを描いたのでしょうか、と村田さんに訊ねました。
自分が発明した色彩をより有効に使えるのは、想像上の極楽浄土にいるであろう蝶々。
現世にいる蝶々は色彩的に限られていて制限があるため、それを超えた現世の蝶々よりも美しいものを作りたいと思ったのではないかと語っていました。
名前 | 清水三年坂美術館(きよみずさんねんざかびじゅつかん) |
住所 | 京都府京都市東山区清水3-337-1 |
電話 | 075-532-4270 |
WEB | https://sannenzaka-museum.co.jp/ |
営業時間 | 水〜日:10:00〜17:00 |
定休日 | 月曜・火曜 |
橋本千毅さん / 漆芸家 / 螺鈿蒔絵の蝶【富山県 富山市】
富山県富山市 の漆芸家 橋本千毅(はしもと ちたか)さんは超絶技巧を駆使して蝶の作品を生みだしています。
橋本さんは1972年東京都生まれ。1995年に筑波大学芸術専門学群を卒業後に漆芸の職人になることを志し専門の短大で2年間漆工芸を学びました。高岡短期大学・富山大学助手を経て2006年に漆芸家として独立。国内外で多数の展示会を開催しています。
幼少期から蝶が好きだという橋本さん。蝶は大切なテーマの1つです。
「蝶華螺鈿蒔絵箱(ちょうからでんまきえばこ)」
橋本さんは漆を塗り、蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)など、1連の工程を全て1人で行っています。
蓋の上にはタテハチョウ。貝で装飾した螺鈿細工が施されています。
橋本さんは蝶の羽が貝の色と同じ 構造色(こうぞうしょく)であることに注目しました。
構造色とは光の反射によって見える色のこと。
蝶の羽の多くは鱗粉(りんぷん)が光の影響受けることで色づいて見えるのです。
光の具合で青空から緑へ。同じ構造色の貝を使うことで、本物の蝶さながらの色の変化を表現しました。
羽の輝きを作り出す 螺鈿(らでん)の作業を見せてもらいました。
鱗粉の粒を表現するために、できるだけ細かく貝を切り、色別に分けます。
1つの貝から12種類の色を取り出します。これはすべて天然の貝の色。
自然が生み出す色合いだからこそ、蝶が持つ神秘に迫れるといいます。
オブジェ「蝶」
蝶は神様が作った造形物みたいな感じがするという橋本さん。リアルに細部までこだわって作ろうと考えました。
蝶の羽の艶やかさには、漆の光沢を生かします。
細かい鱗粉を表現するため、針の先ほどの貝をひとつぶひとつぶ丁寧に置いて行きます。
本物にどれだけ肉薄できるのか。
わずか10cm四方の実物大にこだわったオブジェは完成までに1年以上を費やしました。
自分が綺麗だと思うものはずっと綺麗でいて欲しい。
作品にすることで100年位は持つものができる。時代が変わっても綺麗だって誰もが見て思ってもらえるもの作りたいし、作らないといけないと思っているという橋本さん。
橋本さんの蝶は時を越えて輝き続けます。
名前 | 橋本千毅(はしもと ちたか) |
住所 | 富山県富山市 |
WEB | https://chitaka-hashimoto.com/ |
美の壺 三、装い:夢をのせて羽ばたく
最後のツボは 装い:夢をのせて羽ばたく。
森英恵さん / オートクチュールデザイナー / 蝶モチーフのドレス
2022年に亡くなった日本初のオートクチュールデザイナー 森英恵(もり はなえ)さん。
森さんは大正15年(昭和元年、1926年)島根県生まれ。小学4年生で東京に移り、東京府立第十一高等女学校(現・東京都立桜町高等学校)、東京府立桜町高等女学校を卒業後、1947年に東京女子大学高等学部を卒業。
1948年に元陸軍主計少佐・森賢(もり けん)さんと結婚。森賢さんの実家は繊維会社ということもあり、ドレスメーカー女学院に通って洋裁技術を学びました。
1951年に新宿にオーダーメイド洋装店「ひよしや」をオープン。1954年に銀座にブティック&サロン「HANAE MORI(ハナエモリ)」オープン。1950年代の日本映画全盛期に数多くの映画の衣装を手掛けました。
1965年にニューヨーク・コレクションに初参加、1977年にパリ・コレクションに進出。フランス・オートクチュール組合の会員にアジア人として初めて認定されました。蝶をモチーフにしたドレス作品を製作したことから「マダム・バタフライ」と呼ばれました。
森英恵さんの長男・森顕(もり あきら)さんは元モデル・森パメラ(もり パメラ)さんと結婚。長男・森研(もり けん)さん、次男・森勉(もり べん)さん、長女でモデルの・森泉(もり いずみ)さん、次女・森雪(もり ゆき)さん、三女でモデルの・森星(もり ひかり)さん。
2004年7月7日のパリ2004A/Wオートクチュール・コレクションを最後に引退。最後のパリコレクションでは世界に認められた 蝶のデザインのドレス がランウェイを華やかに彩りました。
体にフィットした総ビーズのドレスには、色鮮やか大きな蝶が大胆にデザインされています。
森さんが幼少期を過ごしたのは、ふるさとの島根県。長い冬を経て、春に舞う蝶は特別な存在でした。蝶々は希望みたいなものだという森さん。
花が咲き蝶々が出てくると子供心にこれで春が来て外で遊べると嬉しくなった記憶。
蝶々の華麗だけども短命なはかない美しさというものが本質的に自分の美意識とすごく一致しているし、日本的なものだと語ります。
緑色のサテンのドレスに蝶の薄い羽を重ねた作品。
ボリュームのあるスカートは、優雅に羽を広げた姿を思わせます。
このドレスは手で広げると羽みたい。着る人がまるで蝶になったようです。
京都服飾文化研究財団(きょうとふくしょくけんきゅうざいだん)理事・名誉キュレーターで服飾評論家の 深井晃子(ふかい あきこ)さんは森英恵の蝶々柄は日本の美意識を表現していると分析。
蝶々柄日本の着物の柄には割と昔から使われていますが、ヨーロッパではそう頻繁に見る柄ではない。森英恵はそういう日本の美意識というものを世界の人に見てもらうという気持ちを強く持っていたと考えています。
森さんの原点には、1961年にニューヨークで見た「蝶々夫人」のオペラがありました。
そこで描かれていたのは日本女性のみじめな姿。日本文化を全く無視した演出、豊かな文明国アメリカの男に捨てられたアジアの可哀想な女として描かれた蝶々さん。そんな日本に対しての低評価と無理解を目にして「いつか日本のファッションデザインを世界に認めさせてやる」と奮起したのです。
「日本の女であるはずの蝶々夫人は、まったく日本の女ではなかった。
(中略)
ひとりの日本の女として、日本や日本女性のイメージを絶対に変えてやる。
そう心に誓ったのである。」
森英恵「ファッション -蝶は国境を越える-」より
名前 | HANAE MORI(ハナエモリ) |
住所 | 東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズノースタワー16F |
電話 | 03-5413-6590 |
WEB | https://www.hanae-mori.com/ |
名前 | 京都服飾文化研究財団(きょうとふくしょくけんきゅうざいだん)(略称:KCI) |
住所 | 京都府京都市下京区七条御所ノ内南町103 ワコール京都ビル5階 |
電話 | 075-321-9221 |
WEB | https://www.kci.or.jp/ |
営業時間 | ギャラリー 月〜金:9:30~17:00 |
定休日 | 土曜・日曜・年末年始 |
佐竹美都子さん / 西陣坐佐織 / 蝶モチーフの帯・かはひらこ【京都市 北区】
京都市北区、創業75年になる西新織の店 西陣坐佐織(にしじんざさおり)佐竹孝機業店 は伝統の製法を受け継ぎ帯を皇室に収めたこともある老舗。
三代目代表の 佐竹美都子(さたけ みつこ)さんは2012年に「蝶のように羽ばたいて現代を生き抜いてほしい」と着物ブランド かはひらこ を立ち上げました。「かはひらこ」とは大和言葉で「蝶」という意味。
佐竹さんは、1976年京都市生まれ。同志社大学卒業後に三和銀行に入社するものの三年で退職し学生の頃に親しんでいたヨットを再開。2004年アテネオリンピックでセーリング競技日本代表として出場し11位となりますが引退を決意。2005年から家業を手伝うことに。
もともと家業を継ぐことは考えていなかったという佐竹さん。しかしセーリング選手として遠征し世界の人と交流していたときに、日本文化についてうまく伝えられなかった苦い経験がありました。
アテネオリンピックから帰国後、将来を考えていたときに、日本人として伝統ある西陣織を残さないといけないのではないだろうかと考えるようになったそうです。西陣織を通して日本の伝統文化を発信したいという思いが強くなり、家業を手伝うようになりました。
自分が締めたい帯を作ろうと考えた佐竹さん。10年前に 蝶をテーマにした帯 を作り始めました。
アサギマダラアゲハという蝶が群れで2,000km海を渡るという話を聞き、過酷な中で生きる蝶が厳しい現代社会を生きる女性たちとマッチしたといいます。
女性たちに着物という羽を持って羽ばたいてほしいという思いで蝶をモチーフにした着物ブランドを立ち上げました。
佐竹さんは1から自分でデザインを考えています。
着物を着る機会が限られないよう、伝統的な柄をあえて使わず、独自性を大切にしているのだそう。
羽をどの色の糸で織るか、1本1本設計図を作って細かく計算しています。
海を渡る蝶、アサギマダラ を表現した帯は若い人にも着てほしいと宝石をイメージした華やかな羽をあしらいました。
上質の金糸を織り込む西陣織の技法の1つ引箔(ひきはく)で織られています。
立体的に織りあげることで、角度によって色が変わり羽ばたくように見えます。
光り方も1匹1匹変えています。蝶に女性の姿を重ね、個性的に輝いてほしいという思いが込められています。
節目に折り目正しい着物に袖を通すだとか、襟を整えて時を過ごすだとか、日本の文化とともに、日本の中に着物を落とし込んでもらえたら嬉しい、と佐竹さん。
蝶のモチーフが自分の生き方の表れとして着物を人生の中に彩ってもらえたらと考えます。
名前 | 西陣坐佐織(にしじんざさおり)佐竹孝機業店 |
住所 | 京都府京都市北区紫野西藤ノ森町12番地21 |
電話 | 075-441-3007 |
WEB | https://kahahirako.com/ |
エピローグ
白いワンピースに大きなリボンがとても似合う女の子。菜の花畑でハチに襲われそうになったときに草刈さんに助けてもらったとお礼を言いますが、草刈さんは覚えていません。
女の子は帰っていきましたが、姿は消え後に残るのはモンシロチョウ?
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音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
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