NHK「美の壺(びのつぼ)」は普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを解説してくれる番組。紹介されたものは何?場所はどこ?出演は誰?どこで買える?と興味津々。
そんな気になる「美の壺・美術の鑑賞マニュアル」を詳しく調べてみました。最後に番組内の音楽もまとめてあります。
美の壺「日本の心を形に 稲わら」File 650
出演は俳優の 草刈正雄(くさかり まさお)さん、ナレーション(語り)は俳優の 木村多江(きむら たえ)さんです。
X(旧 twitter)(@kininarutips)でも新作・再放送の放送日にお知らせしています。
NHK BS(BS101チャンネル)
初回放送:2025年12月23日(火)19:30~20:00
再放送 :
BSプレミアム4K
初回放送:2025年12月17日(水)19:30~20:00
再放送 :2025年12月22日(月)13:00~、2025年12月24日(水)08:00~
2025年12月27日(土)06:45〜
U-NEXT でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。美の壺 も見逃し配信中。
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美の壺 日本の心を形に 稲わら File 650 内容
▽自然を大切にする日本の心、暮らしに彩りを添える稲わら細工
▽13種類の古代米を育て、愛情込めて稲わらを編む農家
▽ホタルの明かりを愛でる虫かごの優美な造形
▽庄内地方に伝わる“ばんどり”重労働を支える先人の知恵と技
▽婚礼用の華やかな“羽根ばんどり”を作る91歳の名人
▽2人のアーティストが魅せられた父親伝授の玉しめ飾り
▽家の大事な場所を飾る「の」の字とは?
▽伝統に学ぶことから生まれる洗練されたしめ飾り。
プロローグ

草刈さんが友達からもらったという米俵。
初めて見ました!米俵!
贈答にぴったりの米俵。
美の壺 一、稲:恵みを生かす
ひとつめのツボは 稲:恵みを生かす。
高橋伸一さん / 工房ストロー / 稲わらを編む農家【山形県 最上郡 真室川町】
山形県北部、最上郡真室川町(もがみぐんまむろがわまち)。
8月の末、穂が出る前の青くて柔らかい稲が刈り取られています。
わら細工 に使うための稲です。
紹介されていたのは農家の5代目、工房ストロー(こうぼうストロー)の商号でわら細工職人としても活動する 高橋伸一(たかはし しんいち)さん。
高橋さんは1975年生まれ。高校卒業後は真室川町役場に就職。2016年に役場を退職し、家業の農業を継ぐ決心をしました。
米・野菜を栽培する他、鶏・牛などの畜産も行い、200種以上の食物を生産・採取しています。
約3haある田んぼの真ん中には食用のお米を植え、その周辺にはわら細工に使うための様々な種類の稲を植えてます。
今年育てた わら細工用の稲は13種類。
稲穂が黒い古代米や、全体が紫に染まった神丹穂(かんにほ)という珍しい稲も。
わら細工には現代の食用米に比べて、背の高い古代米などが多く使われています。
2日ほど天日干ししたあと風通しの良い納屋で保管します。
主食である米をとった後に必ずできるものが わら。その わらをいかに生活の隅々に有効に生かすか。わら細工は稲作の歴史と共に発展してきたと語ります。
米どころ山形では昭和の半ばごろまで、さまざまな生活用品がわらで作られていました。
害虫を追い払う年中行事「虫送り」にも必ず藁が登場。
ところが、時代が平成になるとわら製品が姿を消していったといいます。
高橋さんは町役場で地域資源のブランド化を図る広報部門を担当していました。10年ほど前に わら細工に出会い、身の回りに わらがなくなっていると気づいたのです。
同時にそのわらを使ってもの作りをする方も高齢化して少なくなっている。
わら細工は地域の宝なのに本当にもったいない。この地域の宝を引き継いでいきたい、と わら細工の匠に弟子入り。
そして、町役場を辞めて農業と わら細工の道へ進みました。
わら細工の卵つと

高橋さんが丹精込めて育てた稲わらで作っていたのは、卵を運ぶ入れ物 卵苞(たまごつと)。
インテリア用に木で出来た卵を入れています。
わらの断面をミクロの世界で見ると、真ん中が空洞で 外側に小さな穴がたくさん開いています。
ここに空気が入り、クッションの役割を果たすのだそうです。
運ぶための持ち手を付けて、できあがり。
かつて貴重品だった卵。割れないように届けたい、その思いが形になりました。
わら細工の蛍かご
高橋さんは、わらの匠といわれるお年寄りを訪ね、得意な技を一つずつ教えてもらいました。
とうがらしを編み込んだ魔よけの飾り、編み南蛮。わらぐつ。
その中で最も難しかったのが 蛍籠(ほたるかご)です
螺旋状に巡る美しい曲線。中に蛍を放ち、その光を楽しんだという風流な工芸品です。
まずは 材料選び。特に根気のいる作業です。
わらの太さや長さを1本1本選別し、わらの先端にも手を加えていきます。
材料が揃ったところでいよいよ編み始めます。
僅か3本のわらを使い、底の部分から編んでいきます。
やがて立体が生まれてきました。
わらが短くなると足していきます。
わらの先端部分に根元の太い部分をかぶせます。わらの特徴を生かした組細工です。
しなやかな曲線を描く わらの造形。
本当によくこんな造形を先人は生み出してくれたなと感心するという高橋さん。
蛍を入れる時はかごを少しひねって。
夕暮れどきに豆電球を入れてみると、夢のような世界が現れます。
| 名前 | 工房ストロー(こうぼうストロー) |
| 住所 | 山形県最上郡真室川町大字平岡885番地 |
| WEB | https://kobo-straw.com/ |
美の壺 二、ばんどり:やさしさを編みこむ
ふたつめのツボは ばんどり:やさしさを編みこむ。
辻一彰さん / 林業 / たけのこ運びを助ける「ばんどり」【山形県 庄内町】
山形県 にそびえる霊峰 月山(がっさん)の麓に住む 辻一彰(つじ かずあき)さん。
雪の残る初夏、立谷沢の名産の 筍(たけのこ)をとりに山に向かいます。
40kgにもなる 筍を運ぶのに気かせないのが、わらで編んだ ばんどり です。
ばんどりは荷物を背負うときの肩当て。背中にかけて腰を保護する役目をする、昔からの民具です。
荷物と体が一体となることで、重さが軽減されるといいます。
山岳地方で働く人の必需品でした。
辻さんが、今も愛用する ばんどり。
自分の体に合わせて工夫を凝らした、辻さん手作りの藁のクッション。
荷造りロープの掛け方次第で色々なものが背負えます。
やなり昔の人の技術、知恵がは素晴らしい、と辻さん。
過酷な仕事を支える ばんどりです。
致道博物館 / ばんどりコレクション【山形県 鶴岡市】
庄内地方の民族資料を収蔵する 致道博物館(ちどうはくぶつかん)。
ここには、日本一の ばんどりコレクション があります。
「ばんどり」とは「むささび」を意味するこの地方の言葉。足を広げて滑空する姿に似ているからといわれます。
色鮮やかで鳥の羽のような肩当てが付いているのは婚礼の日、嫁入り道具を運ぶ 羽根ばんどり(はねばんどり)。
嫁ぐ娘への愛情が込められています。
| 名前 | 致道博物館(ちどうはくぶつかん) |
| 住所 | 山形県鶴岡市家中新町10-18 |
| 電話 | 0235-22-1199 |
| WEB | https://www.chido.jp/ |
| 営業時間 | 木〜火:9:00〜17:00 |
| 定休日 | 水曜 |
齋藤榮市さん / わら工芸職人 / 91歳の匠【山形県 鶴岡市】
庄内地方でただ一人 羽根ばんどり(はねばんどり)を作る名人と紹介されていたのは わら工芸職人の 齋藤榮市(さいとう えいいち)さん。
御年91歳。今も現役で難しい技に挑んでいます。
齋藤さんは 美の壺 File 463「お正月飾り」の回にも出演されていました。
「難しいことでねえな、長く生き過ぎたんだな。作る人として(自分だけが)残っただけ」とおっしゃいますが相当なこだわりが。
使う藁は昭和30年代に生まれた ササニシキ。今では生産量の少ない希少品種をわざわざ手に入れています。
ササニシキは太さも手ごろでしなやかなのだとか。
ばんどりの製作工程を見せてもらいました。ばんどりができれば8割がた藁仕事ができるようになると言われるほど様々なテクニックが使われます。。
まずはササニシキの束を交差させ、ばんどりの 土台 を作ります。
さらに わらを巻いて肌触りを良くしていくと、わらが編み目を描きます。
これはわらの座布団や鍋敷きなどに使われる技。土台が出来上がりました。
次に 肩当て を作ります。
土台に仕込んだ麻ひもとわらとで縄をなっていきます。
わら縄の間に交互に布を渡す工法。これは わらじを作る時の編み方と同じだそうです。
荷物の当たる腰と背中にクモの巣のように布のひもを張り巡らせ補強します。
「クモの巣編み」といって米俵にも使われるそうです。
最後に婚礼用の ばんどりの一番の特徴である 羽根 を作ります。
すだれのように わらで編んだ羽根に布を巻きつけます。
まずは鮮やかな紫。そしてピンク。
わらという素材を自在に生かした匠の技。
91歳の作る、羽根ばんどり。庄内地方の豊かな文化を今に伝えます。
美の壺 三、しめ飾り:幸せの形
最後のツボは しめ飾り:幸せの形。
鈴木安一郎さん+安藤健浩さん / ことほき / しめ飾り【静岡県 御殿場市】

富士山の裾野に広がる 静岡県御殿場市 のグラフィックデザイナー 鈴木安一郎(すずき やすいちろう)さん。
毎年11月と12月は正月に向けて しめ飾り(しめかざり)を作ります。
縄をない、輪にするだけのシンプルなしめ飾り。富士山麓の周辺では、 のの字(ののじ)と呼ばれています。
簡単なものですが、新年を迎える心がのの字に表れている、と鈴木さん。
自宅のキッチンを飾る のの字。
水回りや勝手口など、日常の大切な所に感謝を込めて。
鈴木さんの しめ飾り作りにはもう一人仲間がいます。
友人のプロダクトデザイナー 安藤健浩(あんどう たけひろ)さん。
安藤さんは常に新しい素材で斬新な作品を発表してきました。
しめ飾りに魅了された2人のアーティスト。「ことほき」というプロジェクトを立ち上げました。
きっかけは鈴木さんの父親が作ったしめ飾りでした。
暮れになると、たくさんの しめ飾りを作って親戚やその年にお世話になった方々に配ってたといいます。
その話を安藤さんにしたところ、しめ飾りに興味を持ってくれたのだとか。
藁という素材を使ったことがなかった安藤さんは、藁の強さや美しさや匂いに初めて触れて、それだけで感動してしまいました。
父親の手ほどきを受け 作ったのは、縄の間から稲穂が下がる「玉しめ」という伝統的な形。
しかし最初はなかなかうまくいきませんでした。
習っている時はわかった気になっていますが、後で記憶が曖昧になるのです。
そこで安藤さんは鈴木さんの父親が作ったしめ飾りを克明にデッサンしました。
縄目の間から流れるような稲わら。デザイナーならではの観察眼でしめ飾りを捉えました。
スケッチをすることでしめ飾りの理解を深めていきました。
玉しめ
縄の間から稲穂が末広がりに。
俵
新しい年の豊作を願って作られた俵の形のしめ飾り。
宝珠ほうじゅ
宝のたま「宝珠」。
わらの質感を存分に生かした堂々たるデザインです。
しめ飾りに関してはオリジナルなものを作りたいと思っているわけではないという鈴木さん。
もともと日本中にいろいろな優れたしめ飾りがあり、見たりまねて作ったり伝承していくところ、それがすごくいいのだと考えています。
毎年秋の2か月間、デザイナーの2人はしめ飾りの制作に没頭します。
安藤さんが 鈴木さんの父親から教わった「玉しめ」を作ります。
わらをおよそ100本使い 3等分して、ない合わせる三つ縄みつなわという作り方。
2束を先になっていきます。そして3束目をない合わせて1本にしていきます。
ねじってねじって縄ができているという、そのスパイラルの形にはまっていく快感ゾーンに入る。恍惚の心境になる、そういうところが縄の魅力なのだと安藤さん。
しめ飾りの原型はしめ縄といわれています。
さまざまに変化し、縁起の良い形になります。
しめ飾りを作って26年になる鈴木さん。
日本全国のしめ飾りの構造や作り方を調べて記録しています。
わらの本数や細部にわたる仕上がりまで。伝統的な造形の美しさを徹底的に吸収しました。
2人は納得のいくしめ飾りのために稲まで育てるようになりました。
稲を理解しないと本当のしめ飾りは作れない。
日が当たらないように遮光ネットに包まれた青々とした新わらが保管されていました。
鳥のしめ飾り
鳥
大いしめ縄をない、その端を広げ、折り曲げています。鳥の顔になりました。
束は鳥の足に。
年神様(としがみさま)を迎えるための愛らしいしめ飾りです。
稲作文化から生まれた わらの工芸。
日本の心の形です。
| 名前 | ことほき |
| WEB | http://www.kotohoki.com/ |
鈴木安一郎さんと安藤健浩さんの著書。
日本には様々な しめかざりの種類があります。
エピローグ
米俵は藁でがっちり巻かれていてどこから開けて良いのかわかりません。
苦労した末にようやくほどけました。いただいたお米、ありがたく頂きま〜す!
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虎に翼・
らんまん・
なつぞら などの朝ドラや
光る君へ・
鎌倉殿の13人・
真田丸 などの大河ドラマ、
探偵ロマンス・
正直不動産 などの名作ドラマ、
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音楽 BGM
ジャズの名曲が流れる美の壺。番組BGMファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
オープニング曲と番組内挿入曲をまとめましたので参考にどうぞ。リンク先で試聴できます。
オープニングテーマ
オープニングテーマ は Art Blakey And The Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲「Moanin’」。ジャズドラマー アート・ブレイキーが1958年に発表した同名のアルバムに収録されています。作曲はピアニストの Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。
番組内 楽曲
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